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父親が「ヤコブ病」と診断された

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#看護

意識レベルの急激な低下

12月23日 呼吸が正常でなくなり、意識レベルが低下する。

おむつに大量の血がついていたことから、腸が通常の機能を失い、出血が起こっていることがわかった。そして、頻脈や高熱が起き、血圧が測定できないなど、普段起こらなかった事態が沢山起きた。ミオクローヌスもほとんど消失し、目も開かなくなってきた。酸素濃度もかなり低下していた。その時が確実に、一歩一歩近づいていることは、誰の目にも明らかだった。

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天候と体調

天候と体調

12月4日 久々に父親が笑顔を見せる。

朝の9時ごろ、父親が上体を起こそうとしていた。私はベッドに乗り上げて父親の両脇に手を入れ、せーのの合図で父親の上半身を起こした。ちょうど抱きかかえて座るような姿勢になり、父親は私の肩越しに青空を見ていた。

天候によっても、体調はかなり変化する。病状が右肩下がりなのは変わらないが、その中でもムラがあるのだ。特に晴天の日は機嫌が良いことが多い。

この日も朝

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私を覚えていて欲しい

私を覚えていて欲しい

11月15日 父親はまだ色々と覚えていることが分かる。

父親が懇意にしていた保険の営業担当者が見舞いに来る。私は面識がないつもりだったが、私の顔を見た瞬間「あら大きくなって」と言われた。本当に昔からお世話になっていた方のようだった。

その顔を見て、父親は起き上がろうとし、保険会社の名前を言った。いつも「◯◯生命の◯◯さん」という呼び方をしていたから、恐らくそう言おうとしたのだろう。病気に倒れて

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救急車を呼んで後悔した話

救急車を呼んで後悔した話

11月6日 21時53分 救急搬送され、救急病棟へ入院する。

脱水の症状が顕著になってきた父親は、明日、かかりつけの大学病院に入院することになっていた。

しかしそれを待たずして、濃いピンク色の尿が出て、脈拍が120を超え、微熱だが発熱があるため、救急車で病院に運ばれた。これらは脱水が進んで危険な証拠だからだ。ただ、訪問看護師からは電話で「主治医に確認をとってみます。ですが、ご家族が辛そうな本人

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