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chen_kana
2019年12月29日 22:58
12月29日 父親の葬儀が終わり、日常が帰ってくる父は、死んだのではなく、生まれ変わった。「終わった」のではなく、「新しく始まった」のだと思う。私たちの身体は、この世で生きるための入れ物だ。身体が運悪く使い物にならなくなってしまっても、あの世で別の身体をもらって、また元気に暮らし続けることができるのだと思う。新宿でバイトをしていた時、女の子の魂を持つのに男の子の身体に生まれてしまった人
2019年12月24日 09:05
12月24日 パパが天国へ行く。56歳だった。午前2時まで父の隣で起きていたが、呼吸が落ち着き安定したため、安心して隣で寝ることにした。午前3時30分ごろ目覚めた。寝息が聞こえないので心配になり、顔をのぞいた。呼吸をしていなかった。父は、静かに息を引き取っていた。最期の時、隣にいることができたが、その瞬間を確認することはできなかった。父は、きっと私が眠ったのを確認して、安心して自分も眠
2019年12月23日 19:21
12月23日 呼吸が正常でなくなり、意識レベルが低下する。おむつに大量の血がついていたことから、腸が通常の機能を失い、出血が起こっていることがわかった。そして、頻脈や高熱が起き、血圧が測定できないなど、普段起こらなかった事態が沢山起きた。ミオクローヌスもほとんど消失し、目も開かなくなってきた。酸素濃度もかなり低下していた。その時が確実に、一歩一歩近づいていることは、誰の目にも明らかだった。
2019年12月20日 21:56
12月20日 徐々に血管がもろくなり、点滴に耐えられなくなって来ていることが分かる。ちょうど1カ月前、延命をどの段階まで行うかについて主治医と話し合った。このノートにも書いたように、私たちは無理な延命をしないという決定をした。しかし、経口摂取が困難になった当初は、あまりに意識がはっきりしていたので、そのまま命が終わるのを黙って見ていることはできなかった。そこで、人間の自然な死に逆らわず、痛
2019年12月18日 19:09
12月18日 内臓の機能がかなり落ちていることが分かる。口の粘膜がだいぶ弱くなり、少しの刺激でも出血するようになった。そして、何も食べていないのに下痢気味の日が続き、今日は血便が出てしまった。胃や腸も、口と同じように少しの刺激で出血し、ただれている証拠だった。そろそろ覚悟を決める時だと言われた。容態の急変が十分にあり得る時期に差し掛かってきた、と。一気に死が身近になった気がした。今
2019年12月16日 11:34
12月15日 目を開けている時間が殆ど無くなるここ3日間、父親ははっきりと目を開けなくなった。以前のように大きく目を見開いてびっくりしたような顔もあまりしなくなった。そのような表情らしい表情は、1日のうちに5分見られるか見られないかだ。こちらが話す内容をわかってリアクションをとることも、一切無くなった。あるといえばある気もするのだが、それはきっと希望を持っているからそう見えるだけだろう。看護師
2019年12月11日 21:45
12月11日 父親の意識がはっきりする時間が長く続く夜中ぐっすりと寝ていた父親は、朝の5時半ごろに飛び起き、下半身がベッドから落ちてしまうほどだった。まだこんなに動けるとは思わなかったので、驚くのと同時に嬉しかった。看護師と一緒に体を整えると、それから7時ぐらいまでまたよく寝ていた。7時ぐらいから唸ったり動いたりし始め、9時頃にははっきりと目を開けていた。私の方を見てニカッと笑ったり、「誰
2019年12月10日 06:02
12月9日 2日ぶりに父親と再会するこの二日間、叔母が大阪から来ていた。今まで会えなかった分、施設に泊まって父親と時間を過ごしたいとのことだった。私はちょうど友達との約束もあったので、二日間父親から離れることになった。2日ぶりに父親を見ると、逃避していた現実が一気に戻ってきた感じがした。妹の家族に会って笑顔でいる父親の写真が送られてきていたので、もしかして表情や認識のレベルが回復していたり
2019年12月6日 23:32
12月6日 激しい手足の動きが戻ってくる。父親は最近、以前のように何かの拍子で手足が大きく動くというよりは、突発的に呼吸筋がけいれんを起こすことの方が多くなっていた。しかし今日は、何度か手足も大きく動かし、ベッドから落ちそうになることもあった。こんなに大きい全身の動きは、もう一週間近く見ていなかった。これを見た祖父母はショックを受けたようだが、私は嬉しかった。まだこんなに動けるんなら、もうしば
2019年12月6日 03:03
12月4日 久々に父親が笑顔を見せる。朝の9時ごろ、父親が上体を起こそうとしていた。私はベッドに乗り上げて父親の両脇に手を入れ、せーのの合図で父親の上半身を起こした。ちょうど抱きかかえて座るような姿勢になり、父親は私の肩越しに青空を見ていた。天候によっても、体調はかなり変化する。病状が右肩下がりなのは変わらないが、その中でもムラがあるのだ。特に晴天の日は機嫌が良いことが多い。この日も朝
2019年12月4日 09:47
12月2日 安定剤を中止する。父親は、今日もほとんどの時間を眠って過ごしていた。ミオクローヌスの動きもだんだん小さく、少なくなってきたので、夜間の安定剤は必要なくなった。夜中に起きてしまうことも無くなり、ぐっすりと眠れているようだった。逆に言えば、夜中にあれだけ寝たのに、昼間も夕方もほとんど眠っていた。父親が出す声もだいぶ小さくなった。以前は部屋の戸を閉めていても、声を出せば遠くから看
2019年12月2日 02:28
11月30日 点滴を中止する。父親は、格段に起きている時間が減った。反応もあまりないので、それに伴ってここに書くことがなくなってきた。とても寂しいことだと思う。介護拒否や、本人に病気を宣告するかについて悩んでいた時期が懐かしくなった。懐かしいと言っても、まだほんの2週間前の話なのだが。父親の腕は点滴の管が通っているにもかかわらず、勝手に激しく動いてしまっていた。抜けてしまったり、漏れてしま