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あなたを“正しく”理解してもらえるエントリーシート (ES)の作成方法とは?【ESは自慢合戦ではない】

就活コラム

こんにちは、企業研究職のくりぷとバイオ(@cryptobiotech)です。

前回は『分野が違う企業にもアピールする方法』をお伝えしましたが、
今回はいよいよエントリーシート(以下:ES)に関する内容です!

製薬や食品など様々な業界から研究職(≒R&D職)の内定をいただいた私が『理系就活のESで求められること』について解説いたします。

✔ ESの書き方がわからない
✔ アピールできるESの特徴って何?
✔ 研究職(R&D職)のESノウハウとは?

といった疑問にお答えしますね。

これまで後輩やOB訪問でお会いした就活生など数十人のESを見てきて、『もっとこうすれば良くなるのになあ』というポイントをまとめております。

難しいことは書いておりませんし『これなら真似できるぞ!』という内容にまとめましたので、ぜひ参考にしてもらえれば幸いです!


■ そもそもESとは?何のためにあるのか?

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まず本題に入る前に、ESに関して簡単に説明しますね。

ESって何のためにあるのでしょう?

履歴書とは何が違うのかご存知ですか?

ESとは『各企業が優秀な学生を見つけるために様々な独自質問を設けた応募書類』のこと。

応募書類には履歴書とESの2つが存在します。(理系学生なら研究概要も)

企業は履歴書であなたの経歴・特技・保有資格など基本情報を把握し、ESで思考プロセス・価値観・自分の強み&弱みなど『内面的な部分』を把握します。

この『内面的な部分』は、企業にとって『社風』と合うかどうか判断するための重要な情報。

それゆえESでうまくアピールできると、その後の選考に進める確率は大きく上がります。

ESで聞かれる内容は「志望理由」・「自己PR」・「会社でやりたいこと&その理由」など“模範解答”が存在しない設問が一般的。

企業はこれら設問を通して『“あなた”の魅力や熱意を教えてください』と思っています。

あなたはこれまでの経験を活かした文章を書くことになりますが、ESには『評価されるために知っておくべき要素(=秘訣)』がいくつか存在します。

それを知らずに作成しても、

✔ 書いてあることがよくわからない
✔ この就活生は本当にウチに来たいの?

など思われてしまうため、それら要素を知っているか否かでライバルと大きな差が付きます。

それゆえ次項では、私が就活時に意識していた『これは大事だ!』と思う秘訣に関してご説明しますね。


■ 評価されるESを書くための秘訣5選

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評価されるESを書くための秘訣は以下の通りです。

1. ES作成には想像の3倍以上時間がかかることを自覚する。
2. ES作成前に自己分析を完遂させる。
3. 研究室の先輩ES(内定者ESでも可)の形式を“真似”する 。
4. 書き終わったら数日置いて再度修正 → 研究室先輩に見てもらう。   5. 4.を最低10回は繰り返す。

1つずつ説明していきますね。

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1. ES作成には想像の3倍以上時間がかかることを自覚する。
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あなたが想像している以上に、ESは『完成』まで時間がかかると考えましょう…!

なおここで言う『完成』とは、誰が見ても『もうこれで十分でしょ!』と言ってくれるレベルのことです。

実は私も就活生の頃、ES作成を『ナメていた(=1~2週間で終わると思っていた)』のですが、実際に完成レベルに至るまで1ヵ月以上かかりました…。

また私の知り合いに『就活準備を解禁後に始めた人』が何人もいますが、結局先輩にES添削してもらう時間がなく、未完成の状態でESを提出していました。

残念ながらESでほとんど落ちてしまい、ESの段階でほとんど手持ちの駒がなくなってしまうという悲劇を何度も見てきましたね…。

断言しますがESを1~2週間でゼロから“完成”まで仕上げるのは不可能なので、評価されるESを書くためにはまず“十分な時間”を確保しましょう。

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2. ES作成前に自己分析を完遂させる。
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これまでの連載記事で『就活では自己分析が最も大事』とお伝えしてきた通り、ESを書く前に自己分析を徹底的に実施するのは『must』です。

なぜかと言うと、自己分析をしないと『あなたの言葉』でES設問に答えられないからで、ネット上の『良さげな内容』を転用することになりかねないからです。

とても不思議なのですが、就活生のESを何件か見ていると『あれ、この表現さっきも見たぞ…』となることがあります。

『大学も専攻も違うのになぜ?』と疑問に感じますが、多分ネットから『自分に合いそうな文章』を取ってきているのでしょう。

人事部でない私ですら『なんとなく』汎用的な文章に気付いてしまうので、人事の方が見たらもっとわかるんだろうなと感じます。

自己分析がしっかりできていると『あなたの言葉で』ESが作成できるようになるので、それだけでライバルと差別化できます。

それゆえ書き始める前にぜひ自己分析をしてください。

前回の記事で「自己分析の方法」をまとめておりますので、ご参考くださいね!

< 関連記事>
就活で最重要と断言できる「自己分析」の方法論を理系学生向けに解説!



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3. 研究室の先輩ES(内定者ESでも可)の形式を“真似”する 。
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良いESには、ある程度の『型』があります。

あなたの言葉を企業側に理解してもらうには『読みやすいES』を書くことが必須で、それを達成するには『先人を真似る』のが一番の近道です。

型を真似るために先輩のES(内定者ESでも可)を可能な限りたくさん読みましょう。

個人的なおすすめは、研究室の先輩から『ES第1版』と『ES最終版』を両方もらうこと。

先輩のESも最初から質が高かったわけではなく、先輩の先輩からたくさん修正されています。

『何を修正したのか?』という過程を把握できれば『ここが直されるポイントか!』と理解するのに役立ちます。

それゆえ過去ESをとにかく読みまくるべし!

ある程度の数を読み終えたら読みやすいESの『型』が見えてきますので、そうなってから自分のESを書き始めるのが吉。

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4. 書き終わったら数日置いて再度修正 → 研究室先輩に見てもらう。
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文章を執筆する際の基本ですが、人に見せる時には『できたものをすぐに見せない』ことが大事。

自分の文章を後から見直すと『これは何を言っているんだ…?』と自分を疑いたくなる表現やミスが出てきます。

ゆえにESを書き終わったら、『数日置く→再度見直して修正する』が良いでしょう。

先輩に見せるのはその後がベター。

『ES作成→数日後に修正→先輩に添削してもらう→再修正』というプロセスは、最低でも1回あたり1週間はかかります。

時間にゆとりを持って見せることが重要ですね。

特に就活解禁(3月)あたりは先輩も修論から解放されて卒業旅行に行ったりするので、ES添削が不可能になるリスクもあります。

ESは就活解禁前に完成させるつもりで動くのが良いと考えます。

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5. 4.を最低10回は繰り返す。
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ESはとにかく色々な人から意見をもらうことが重要なので、4.は最低でも10回は繰り返しましょう。

どれだけ自分が『会心の出来』だと思っても、そのESを見た人から『何が言いたいの?』と思われてしまったら無意味です。

✔ あなたらしさがESから伝わるか
✔ 回りくどい言い方をしていないか
✔ 文章構成がメチャクチャではないか

といったことを事前に確認するためにも周囲の協力を仰ぎましょう。

もちろん見せる相手は同一人物でなくてもOKですね。

これができるか否かでESの質は大きく変動するので、恥ずかしさなどは押し殺して読んでもらいましょう!

ちなみに余談ですが、私は色々な人に20~30回見てもらって『これでES通過しなかったら誰も通らないよ』と言ってもらえるレベルに仕上げました。

『どこまでESの質を高めるか?』の指標として参考にしていただければ幸いです。


■ 良いES/悪いESを見分けるための5ポイント

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本項では『良いESと悪いES』を見分けるためのポイントを5つ説明しますね。

チェックリスト的に活用していただき、あなたのESの質を高めるためにお役立てください!

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1. Why?を説明する文章(≒あなたの経験)がきちんと記述されているか
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私が就活生のESを見た際に最も感じることは『なぜ?』です。

例えば以下のような「なぜ?」を感じながらESを読んでいます。

・なぜこの企業理念に共感したのだろう?
・なぜそれが『あなたの強み』なのだろう?
・なぜその職種が良いのだろう?
・なぜ自主的にボランティアをしたのだろう?


例えば『ダメな文章例』として、以下のような志望理由の一例を挙げます。

Q:なぜ当社を志望したのですか?
A:人の命を救おうとする貴社の企業理念に強く共感を受けたためです。私は~(略)

一見良いことを言っているような気がしますが、これは誰でも書ける文章だからダメ。

『あなたらしさ』が全く含まれていません。

もし私がこの一文を修正するとしたら以下のように修正します。

例1:小学生の頃に親を亡くした経験から、人の命を救おうとする貴社の企業理念に~(略)
例2:幼少期、病気にかかった自分を救ってくれた「薬」に恩を感じており、人の命を救おうとする貴社の企業理念に~(略)


何が言いたいかというと『あなたの経験』を添えてほしいということ。

仮に企業Aに就活生が10,000人エントリーしたら、『御社の理念に共感しました』と主張する人は10,000人(=100%)います。

でも『なぜ』共感したかは10,000通りの理由があっていいはず。

それをしっかりと書いてほしいんです…!

あなたらしさが見えない『ただ読みやすいキレイな文章』なんて要りません。

ESはあなたしか書けない『リアルな・生々しい文章』を書いてください。

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2. 定量性のない表現を使っていないか
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ESを書く際には『定量性』のある文章を意識しましょう。

<ダメな文章例>
私は研究室内で誰よりも長く研究室に残って実験し、その結果、同期の中で最も優れた成果を出すことができました。このことから私は〇〇ということを学びました。

・『誰よりも長く』とはどれくらいですか?
・同期の中で『最も優れた成果』とは何ですか?
・なぜ『誰よりも長く』取り組み、『最も優れた結果を出せた』のですか?

という疑問を読み手に抱かせてしまうので、以下のように修正するのが吉。

私は負けず嫌いの性格ゆえ、研究室内で誰よりも長く(朝9時から夜24時まで毎日)研究を続けた結果、筆頭著者論文3報という同期の中で最も優れた成果を出せました。

このことから私は〇〇ということを学びました。

『凄く』頑張ったとか、『誰よりも』頑張ったとか、抽象的な表現は不要です。

誰が見ても誤解のないよう定量的な表現を心掛けましょう!

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3. 指定された文字数通りに書けているか
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指定された文字数ギリギリに文章を書くのは『マナー』です。

例えば400文字と指定されたら400文字ぴったり狙うのが基本。

誤差があっても1%以内、すなわち400文字なら396文字までは絶対書く。

もしかしたら『そんなにギリギリまで書く必要は?』と疑問に思う人もいるかもしれません。

が、せっかく400文字書けるスペースがあるのに350文字しか書かなかったら、企業側は『この人はまだ書けるのになぜ書かないのだろう?』と無駄な疑問を抱かせるリスクがあります。

50文字もあるなら『あなたの強み』を1つ盛り込むことができますし、書かないのはむしろ損。

ESは読み手に余計な疑問を抱かせるほどマイナス評価になってしまうので、こういった『本質とは関係ない部分で』つまずかないようにしましょう。

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4. 結論から書き始めているか
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結論から書けているか、もう一度ESをチェックしましょう。

意外にできていないESが多いです…!

・ 志望理由を聞かれたら「私は〇〇という理由で貴社を志望しました」
・ 自己PRを聞かれたら「私は◆◆ができる人間です。その理由は〜」
・ 学生時代に1番力を入れたことを聞かれたら「私は△△に最も力を入れました。その理由は〜」

という感じで、まず設問に答えることが重要。

なぜ最初に結論を書くべきかと言うと『人事は数百~数万人のESを相手にしているため』であり、ESを“効率良く”読みたがっています。

効率良く読みたいのに『いつになったら本題に入るんだ、この文章は…!』となったら、それだけでマイナス評価になると思いませんか。

『志望理由は?』と聞かれているのに、『私は大学生の頃、〇〇という理由で◇◇をして〜(中略)、だから貴社を志望します』というESは最悪です…。

聞かれたことにまず答えられているかチェックしましょう!

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5. 誤字、脱字がないか
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意外にESを読んでいると多いので言わせてください笑

誤字・脱字には本当に注意してくださいね。

断言しますが「一文字でも間違えていたらダメ」です。

一文字くらい良いじゃないかと思うかもしれませんが、自分の文章を添削していないと証明しているようなもので、かつ『誤字・脱字があるまま提出してしまう無責任さ』が露呈します。

あなたが『別に良いじゃん』と思っていても相手に『これくらいのこともできないのか』と思われたらアウト。

何度もお伝えしている通り、ESは『本質的でない疑問を抱かせる回数』をいかに減らすかが大事。

自分でも確認しつつ、研究室同期など頼れる人にお願いして見てもらいましょうね!


■ ESは自慢する場ではない。相手に自分を“正しく”理解してもらうのが目的。

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『評価されるESを書くためのコツ』と『良いESを書くためのチェックポイント』をまとめました。

就活生に意識してほしいのは『あなたらしさ』を経験に基づいて記述することであり、業績などを『自慢げに』記述することではありません。

ただ業績を語るだけなら履歴書に書けば良いですし、ESで求められているのはそこではないことに留意してくださいね。

大事なのは『なぜその結果が出せたのか?』に対する思考プロセス・価値観。

その情報は企業側が『この就活生が仕事でも再現よく成果を出せるか?』を判断するために大きく貢献します。

ぜひESで『あなたにしか書けないリアルな文章』を書いて「お、この就活生は良いね!」と思わせましょう!

ご一読ありがとうございました!