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就活で最重要と断言できる「自己分析」の方法論を理系学生向けに解説!

就活コラム

化学生物学を専攻し修士課程を卒業後、細胞生物学に関する研究を大手メーカーにて行っているくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。

今回は個人的に就活で最重要と考える「自己分析」に関する記事になります。

当記事は、
「自己分析ってなぜやらないといけないの?」
「自己分析って何をすればいいの?」
「自己分析をやると就活でどんな良いことがあるの?」

ということが気になっている就活生に役立ちます。

『自己分析を徹底的に行うと就活で無双できる』その一方で、
怠るとエントリーシート(ES)や面接で全滅してしまう恐れがあります。

ぜひ当記事を読んで、自己分析の重要性を把握すると共に、自己分析のやり方を掴んでくださいね!


■ なぜ「自己分析」が就活において最も重要なのか?

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まず自己分析のやり方をお伝えする前に、自己分析が就活で最重要だと考える理由をお伝えします。

その理由は2つです。

【1】 企業の採用HPやネット・SNSの表面的情報に振り回されることがなくなるから。 
【2】 やらないとES、企業研究、面接などが全てうまくいかなくなるから。

1つずつ説明していきますね。


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【1】企業の採用HPやネット・SNSの表面的情報に振り回されることがなくなるから
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自己分析ができていると、

✓ 自分が将来達成したいことは何か?
✓ 自分が大事にする就活の軸は何か?

などが自然に固まるので、企業の採用HPやネット・SNS上の
“良さげな情報”に振り回されることがなくなります。

良さげな情報とは例えば、

✓ 給料が良い
✓ 福利厚生が充実している
✓ 企業の雰囲気が良い
✓ やりがいがある
✓ ワークライフバランスが充実

などです(確かに大事ではありますが)。

ただこういった情報はあくまで“表面的な情報”なので注意。

これらは“第三者”の主観であり、本当に“あなた”も同じように感じるかは保証がありません。

例えば私が『あの会社は“早く帰れるから”働きやすいよ』と言ったとしましょう。

でも仮に私が『研究室時代に毎日朝9時頃~深夜0時以降まで&土日なしで研究していた』としたら、言葉の意味が変わると思いませんか?

朝9時~夜9時でも“早く帰れる”と思っているかもしれませんよ…笑

このように自己分析で自分の軸が定まっていないと、“第三者の甘い言葉”を信じがち。

私も就活生の頃は『研究室の先輩がおすすめする企業=優良企業』だと思い込んでいました。

しかし自己分析を行った後には『良い企業かもしれないけど自分には合わないな』と思うようになりました。

自己分析をすると“自分の意思”で志望企業を選べるようになりますよ。


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【2】やらないとES、企業研究、面接などが全てうまくいかなくなるから。
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自己分析をやらないと『自分の言葉で』志望理由や自己PRを記述したり、面接で良い受け答えするのは難しいです。

「え、でも今のご時世ネットを使えば良い回答(≒内定者情報)はたくさん手に入るよね」

とあなたは思っているかもしれません。

しかし『内定者情報』はその内定者が書いたからこそ意味があっただけで、人生経験がまるで異なるあなたに当てはまるはずがないのです。

いくらでも参考にして良いですが、あなたの考えがそれらに引き寄せられてはダメ。

実際に私の知り合いで、様々な就活サイトから色々な内定者情報をかき集め、『人事受けするES』を作成して各社の選考を通過する人がいました。

ただ残念ながら、面接で軒並み落とされていましたね。

面接では『本当の自分』が評価されるので、ネットから拾った情報を組み合わせて創られたスーパーマンの正体は簡単に見破られてしまいます。

結局のところ就活は『自分がこれまで獲得してきた手札(≒実績や価値観など)』で勝負するしかなく、その手札はネット上に転がってはいません。

ネット上にあるのは『手札の探し方』だけ(今回の記事もそうです)。

あなたの手札を見つけられるのはあなただけなので、ネットの情報を調べるのはほどほどにして、自己分析に時間を割くと就活はうまくいきます!


■ 就活を有利に進める「自己分析」の方法論

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前項で『自己分析が最重要と考える理由』をお伝えしました。

本項では実際にどのように自己分析をしていけば良いのかご説明しますね。

私が自己分析で実施していた内容を順々に7つお伝えしますが、
自己分析は“自分史づくり”が肝です。

ただし歴史の教科書のように『事実の羅列』だけではなく、『その時の感情・価値観・達成/成長ポイント』も詳細に示した自分史づくりが大事になります。


(1):自分の人生で『思い出』として残っているイベントを全て列挙する。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄まず始めに、あなたの記憶に残っている『良い思い出』『悪い思い出』を全て列挙しましょう。

『なぜ思い出を列挙する必要があるのか?』を説明すると、『自分自身を知るため』に必要なことだからです。

人は過去があってこそ今があるので、

✓ 自分は何がやりたいのだろう?
✓ どうしてそう思うのだろう?
✓ 将来どんな人間になりたいのだろう?

の答えは必ず『過去』にあります。

その中でも『思い出』として残っているイベントは、今の自分の形成に大きく寄与していると考えるべき。

例えば『新薬を創りたい』という就活生の過去を探ると、

✓ 大切な人を過去に亡くした
✓ 大切な人が薬のおかげで死の淵から生還した
✓ 自分自身が過去に病気を患っていた

などが見えてきたりしますね。

なお『思い出』の列挙は直近の大学時代から遡ってもらっても、幼少期の最も古い記憶から現在まで辿ってもらってもOK。

大事なのは『良い思い出』ばかりを挙げないこと。

失敗・挫折・絶望・後悔などの『悪い思い出』とも向き合ってしっかり列挙してください。

『家が貧乏でとても辛い思いをした』とか『青春時代に大失恋した』とか全てですね。

自分の『今の価値観や行動理論』がなぜ形成されたのかを知るために、まず過去にタイムスリップするのが自己分析の第一歩です。

意外に自分のことを知らない人は多い(私もそうでした)ので、まずは自分史づくりをしましょう!


(2):各イベントで得られたこと(感情変化・価値観変化・達成/成長ポイント)を詳細に記述する。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
イベントの列挙が完了したら、各イベントで得られたことを詳細に記述しましょう。

例えば前項の『新薬を創りたい』と思っている就活生が、中学時代に母親が病気を患い、それが薬で救われたとします。

このイベントに対して得られたことは、

✓ 母親が助かったことへの深い感謝(=感情変化)
✓ 薬という存在の偉大さを認識(=価値観変化)
✓ 自分も病気の人を助けたいという強いモチベーション獲得(=成長ポイント)

などが挙げられるでしょう。

もう一つ例を挙げて、上記の就活生が高校時代にスポーツで主将を務めた経験があるとします。

そして残念ながら最後の大会で『自分の些細なミス』でチームが敗退してしまったとしましょう。

このイベントに対して得られたことは、

✓ 自分を責める周りからの目がいかに辛いか(=感情変化)
✓ 自分は主将にふさわしくないと悟った(=価値観変化)
✓ たった1つのミスが取り返しのつかないことになるという自覚を得た(=成長ポイント)

などが挙げられるでしょう。(繰り返しますが『悪い思い出』は極めて重要です)

このように各イベントで得られたことを列挙していくと、『自分はどういう人間か?』を客観視できるようになってきます。

これらが詳細に記述できると『綺麗な文章構成の志望理由や自己PRが書けない』と悩むことはあれど、『そもそも志望理由や自己PRが思いつかない』ということには絶対なりません。

『綺麗な文章構成』は内定者ESからいくらでも学べますが、自分の言葉で志望理由などを記述するには、自分という人間を理解する必要があります。

ここで自分が得てきたものをゆっくりと振り返り、自分を再認識しましょう!


(3):(2)で気づいた自分の実績・性格・価値観を箇条書きで整理する。
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✓ 自分ってこんな奴だったのか
✓ 自分はこんな風に成長してきたのか

ということがなんとなく理解できているはず。

さあ、次はその『なんとなく』をさらに整理しましょう。

自分の人生における『実績・性格・価値観』を、箇条書きでわかりやすくまとめます。

なお『自分がどう変わってきたか?』という変遷がわかるよう、幼少期から現在に向けてまとめるのがおすすめ。

例えば先ほどの『新薬×スポーツ主将の就活生』を例に挙げると、

✓ 実績:スポーツ主将経験
✓ 性格:芯が強い・責任感溢れる
✓ 価値観:病気の人を“新薬”で救う、ミスをした人を非難しない

などでしょうか。

もっともっと色々なイベントが追加されていくと『実績・性格・価値観』がさらに増え、あなたを表すオリジナリティが自他ともにわかるようになってきます。

このように自分をできるだけ客観視できるよう『自分史』を整理していきます。

もしあなたさえ良ければ、研究室同期や先輩に『自分はこういう人間だと思っているけどどう思う?』と聞いてみるのもあり。

『自分のこと客観視できすぎだろ!』とツッコミが入るくらい自分を箇条書きで表現できていればOKです。


(4):「自分は将来何をやりたいか?/どうなりたいか?」を(1)~(3)の情報から決める。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(1)~(3)までが完了すると『自分のことは自分が一番わかっている状態』になっているはず。

ここまで来たら『過去』を見るのはもうおしまい。

次はいよいよ『未来』を描きましょう!

(1)~(3)の情報を活用しながら『自分は将来何をやりたいのか?/どうなりたいのか?』を決めます。

例えば『新薬×スポーツ主将の就活生』なら、

✓将来は新薬を創りたい

である可能性が高く、もっと言えばスポーツ経験を活かして、

✓新薬を“チームで”創りたい

と思っているかもしれませんね。

こういった『自分の理想』を思いつく限りどんどん挙げます。
数に制限はありません。

挙げられるなら無限に挙げてもらってOK。

むしろたくさん挙げた方が『将来の進路』に多様性が生まれるのでGOOD。

なお、お気づきかもしれませんが、ここまでの時点で『企業情報』は一切考慮する必要なし(例:業界とか給料とか福利厚生とか)。

調べてしまうと余計な前提条件が刷り込まれてしまうので、自己分析が完了するまでは調べなくて大丈夫ですよ。


(5):(4)で決めたことを達成するために何が必要かを定義する。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
次に『(4)で定義したことを達成するには何が必要か?』を考えます。

例えば『新薬を創りたい』なら必要なことは『製薬企業に行くこと』ですね。

昨今の情勢を踏まえると『Ph.Dを有すること』も大事でしょうか。(絶対条件ではない)

かつこれからの時代を生き抜くには『世界で戦える語学力を持つこと』も必要でしょう。

このように、自分が将来やりたいこと/なりたいものが決まると、その実現に必要なことも勝手に決まり、行くべき企業も勝手に絞られます。

自己分析が徹底的にできると、企業情報を調べなくても志望業界を絞り込むことが可能です。

ちなみに(5)を深く考えると『あれ、自分って就職が本当に最善だっけ?』と気づくこともありますが、それは別におかしいことではありません。

個人的な意見ですが、別に学部生でも修士でも博士でも、企業に縛られる必要は全くなくて、大事なのは『本当に自分のやりたいことができそうな環境』を見つけることです。

私はたまたま自己実現できそうなのが『企業』だと思っただけの人間で、さんざん自己分析した結果『やっぱり進学 or アカデミア』という選択肢になっても全く構わないと思います。

むしろその悩みを顕在化できるのが『自己分析の良いところ』なのかなと。

自己分析は内定をもらうためだけにするものではないということを強調しておきますね。


(6):5W1Hにて深堀する(自分自身に納得するまでやる)
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(5)が終わったら5W1Hで自分自身と徹底的に向き合いましょう!

例えば先ほどの『新薬×スポーツ主将の就活生』であれば、

✓ なぜ自分は『新薬を創る』が最上位の価値観なのか?(Why)そのきっかけは本当に母親の一件か?
✓ 新薬を創ると言ってもどんな新薬を創るのか?(What)それはなぜ?(Why)
✓ そもそもどうやって新薬を創るつもりなのか?(How)
✓ いつまでに新薬が創出できれば満足するのか?(When)

など自問自答できるはずです。

もはや志望理由とか自己PRとか『就活のための』自己分析ではなく『キャリアデザイン』のための自己分析ですね。

あなた自身が『これ以上“自分を”納得させられる答えはない』と思えるまでじっくりと回答を練りましょう。

ここで練り上げた質問や回答は、ESや面接で大いに役立ちますので妥協せずに自問自答しましょう!


(7):他人に自己分析結果を聞いてもらう&質問攻めしてもらう。
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(6)まで完了するとあなたはもう『自分のことなら免許皆伝状態』になっているでしょう。

とはいえ自分の中で色々整理できていても“他人に理解してもらえなければ”意味がありません…。

そこで最後に研究室同期や先輩に頼って『自己分析』について、とことん話を聞いてもらいましょう!


ここでは『自分が言いたいこと』と『他者が聞きたいこと』が一致するか確認するのが大事で、他人を納得させられない≒相手に響くESが書けず面接も上手くこなせない状態と考えるのが良いでしょう。

何人にも話して『君のやりたいことはよくわかったし、なぜやりたいのかも理解できた』と言ってもらえるまで試行錯誤すると、自分の頭の中もかなり整理されます。

なお『先輩や同期に頼るのが恥ずかしい』という方もいらっしゃると思いますが、その場合はOB訪問や、大学の就活支援課の方と話すのが吉。

なおOB訪問なら今はビズリーチ・キャンパスMatcherなど便利なツールがあるので遠慮なく使うべし!


以上、実際に私が就活の頃にやっていた『自己分析の方法』でした。

一度読んでそのまま実践することは難しいかもしれませんが、『そういうことか!』となるまで読み返してもらえれば、周りよりも質が高い自己分析ができるようになりますよ。


ここまでやれば、もう志望理由や自己PRに悩むことは無くなっているはず。

あとは実際にESを作成したり、Webテストの勉強をしたり、企業研究したりしましょう!


■ 自己分析を制する者は“就活”を制する。

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自己分析の方法、やり方は掴めたでしょうか…?

もし上手く掴めずとも、実際に進めていけば少しずつやり方がわかってくると思います。

もう一度簡潔に振り返ると、自己分析は『自分史づくり→自分史から未来を描く→それを他人に伝えて納得してもらう』です。

ここまでできればESも面接も恐れる必要なし。

ここまでやってから初めてネットやSNSで『実際に面接で聞かれた質問』など調べることをおすすめします。

もう『あなたなりの回答』をはじき出すことが可能で、『表面上の情報』に踊らされることはないと思いますので。


冒頭でもお伝えしましたが、自己分析は就活において最重要で、かつ『あなたのキャリアデザイン』にも極めて役立ちます。

自己分析を制する者は“就活”を制す。

ちなみに余談ですが、私は就活解禁の半年前から就活をスタートさせ、自己分析だけで2~3ヵ月は費やしていました。

自己分析は予想以上に時間がかかるので、まだ就活準備を始めていない方は今すぐ始めてください…!

就活は早く動き出したもの勝ちですよ!


さて、今回は長文になってしまいましたが、当記事は以上です。

ご一読ありがとうございました。