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【2022年5月・6月】お気に入りの新譜

こんにちは。

3ヶ月ぶりの更新にになってしまいました。
前回のPOP YOURSの記事は多くの方にアクセスいただき、ありがとうございました。
このタイミングで更新増やしたら良かったな、とも思いましたが筆が重く…

新譜は聴いてましたが、こうやって文字にしないと深く聴かず次々と消費してしまうのは良くないですね。
元々noteを書いているのも音楽を消費していることに違和感を感じたからなので。自分のためにも定期更新できるように頑張ります。

今回は5月〜6月で気に入った新譜の感想を書きます。

今月のピックアップ

Kendrick Lamar - Mr. Morale & The Big Steppers

★★★★☆ 4.2

翻訳を見る見ないで印象が大きく変わる作品。今日まで筆が重かったのはこの作品のせい。
リリースされてすぐサウンドだけで判断していた時には、オルタナティブなビートが多く正直前作の方が好みという印象でした。しかし、レビューを読んでいると、様々な問題に言及している作品だと知り国内盤を購入。

内容としては、ケンドリックが抱える様々な痛みや悩みをテーマにし、セラピーセッションをするという構成。
テーマはコロナ禍における不信感、SNS依存、キャンセルカルチャー、黒人男性のコンプレックス、LGBTQ+や近親相姦など多岐に渡っていて一定の知識や解説がないと理解できないことも多数。国内盤には解説も載っているので理解できたが、自分の基礎知識の無さを恥じた。

ただ入り込んでいくと、ケンドリックの抱える問題に対し時に共感し、時に考え、時に落ち込んだりと久しぶりに音楽で感情を揺さぶられた。それぐらい問題が大きく、他国に住んでいる僕にも無関係だと言い切れる問題はなかった。

特に5曲目に収録されているFather Timeは、黒人男性の父親に対するコンプレックスが書かれている。程度は違えど、僕も父親にはコンプレックスがあり共感する部分もあって感化された。

作品を少し語るだけで、これだけの感想が出てくる大作。今後この作品をどう捉えるかは、自分の深掘り次第のような気もする。長く付き合っていきたい。

Favorite Songs:1,2,5,8,11,17,18

深掘りのためのおススメ記事

OMSB - ALONE

★★★★☆ 4.5

Summitに所属するOMSBの7年ぶりフルアルバム。7年という沈黙の期間に家族ができたり、シーンが少しずつ動いていく中で自分自身を多面的に深掘りしている作品。

このアルバムの特筆すべき点は、OMSBという人をリリックを通じて剥き出しにしてくれるところ。時折見せるアティチュード(姿勢や態度)が魅力的なのでどんどん好きになるし、共通点もあるのでOMSBを通じて自分を客観的に見ることにも繋がっていると感じた。

中でも7曲目の大衆は、OMSBの人生を遡りながら自分の考えの変化を話していて、フックでは”誰にもなれないし自分の普通をやる毎日/仲間外れじゃなくてそこに居なかっただけ。だろ”と語っていて、自分を肯定するまでの過程が書かれている。

自身のHIPHOPのルーツを歌にしている「LASTBBOYOMSB」、小袋成彬が参加したラブソング「One Room」差別について歌った「OMSBから君へ」などOMSBのリリックのどこを切り取ってもパンチラインになる作品。
日本語でラップを聴けることの楽しさを再確認できた作品でもあったと思う。

Favorite Songs:1,3,5,7,11,12

Lupe Fiasco - DRILL MUSIC IN ZION

★★★★☆ 4.0

シカゴのベテランラッパーLupe Fiascoの8枚目のアルバム。カニエのフックアップもあり2007年のKick Pushが大ヒットし、スターラッパーに上り詰めたLupe Fiasco。現代ではシーンど真ん中のラッパーではないですが、良作をコンスタントにリリースしています。

日本の文化に影響を受けており日本に近いラッパーとしても知られていて、昨年急逝したSHAKKAZOMBIEのメンバー、BIG-Oへのトリビュート作品にも参加。

本作は3日で作り上げられたらしいですが、Lupeがこのように短い期間でアルバムを録音するという決定したのは、日本のわびさびの概念、または不完全さの中の美しさを評価するところからインスピレーションを受けたようです。

本作はアルバム名にドリルミュージックが入っていてドリルをするのかと思った人もいるかもしれませんが、全く関係がなく『マトリックス・リローデッド』のシーンからインスパイアされたとのこと。

サウンド面は落ち着いたジャズを基調にしたサウンド。代表曲「Kick, Push」「Superstar」をやってるSoundtrakkと組んでおり統一感があり、さらに40分と短くまとまりがある作品。
前作の「Drogas Wave」も悪い作品ではないと思うが、1時間30分超と長くマイナス点だったのでこれは良かったと思う。

曲単位では、7曲目のNAOMIの出来が突出しており、この曲だけでも聴いて欲しい。ピアノとホーンとコーラスのバランスが完璧で最高に心地良い。
タイトルは大坂なおみを連想するし歌詞の内容が気になるが、自分の英語力では全容を把握できていないのが悔やまれる。

3日間で作り上げられたとは思えない完成度の高さで確かな実力を見せつけたLupe Fiasco。最近HipHopに入った人も是非触れて欲しいアーティストの一人。

Favorite Songs:2,3,6,7,8

chelmico - gokigen

★★★★☆ 4.0

女性2人組ラップデュオchelmicoのメジャー4thアルバム。タイトルにある通り「ご機嫌」がキーワードのようで、随所にコロナ禍やSNS疲れなど現代人の問題に目を向けながら、そのような状況でも「ご機嫌」でいる考え方や行動を等身大で表現されていてる。

特にMVも公開されている「3億円」はこの状況で機嫌良くいるためには、3億円があればいいんじゃね、しかも非課税でという開き直りがchelmicoらしくて良い。

いつになったら終わるのこの日々落ち着いたらビキニ身につけて
ワイキキビーチにでも行きたいけどどんなところかはよく知らないyeah

このリリックもHipHopでよくあるフレックス(見せびらかす、格好つける、自慢すること)とは少し距離を置いて、等身大のリリックになっておりとても好きなライン。

あと、RIP SLYME(以下リップ)のDJ FUMIYAがビートを提供しているのも特筆すべき点。
chelmicoの二人はリップのファンというのを公言していて、ユニット結成のきっかけもリップの話が盛り上がっただからだそう。その二人のアルバムにDJ FUMIYAが参加しているのはドラマティックでもあるし、今までのchelmicoにはなかったキャッチーなラテン調のビートがアルバムのいいアクセントになっている。

他にもダンサンブルな「Roller Coaster」、週3勤務で週4休み年に3ヶ月夏休みでみんなで大団円という可愛いポップソング「ISOGA♡PEACH」tofubeats提供の「Meidaimae」など収録。
今後もリップやハルカリの正統後継者として、ラップの楽しさを伝えていって色んな人の入り口になって欲しいアーティスト。

Favorite Songs:2,3,4,11,12,13

お気に入りのアルバム

Wilma Vritra - Grotto

★★★☆☆ 3.8
Favorite Songs:3,4,6,7,10,11

般若 - 笑い死に

★★★☆☆ 3.2
Favorite Songs:2,7,8,9,10

tofubeats - REFLECTION

★★★☆☆ 3.7
Favorite Songs:2,3,5,6,10,15,16

BOLDY JAMES / REAL BAD MAN-Killing Nothing

★★★☆☆ 3.5
Favorite Songs:2,3,4,6,7,8

Quelle Chris - Deathfame

★★★☆☆ 3.5
Favorite Songs:2,3,4,6,7,8

VaVa - VVARP

★★★☆☆ 3.0
Favorite Songs:1,3,4,6,10

Knucks - ALPHA PLACE

★★★☆☆ 3.8
Favorite Songs:2,3,4,6,10,13

Logic - Vinyl Days

★★★☆☆ 3.8
Favorite Songs:2,3,4,7,8,11,13,16,21,25,28

Drake -Honestly,Nevermind

★★★☆☆ 3.5
Favorite Songs:2,3,5,7,8,14

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