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あの頃僕らはJust Blazeのビートに夢中だった

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ジャスト・ブレェェェィィィィィィィイズ!

このプロデューサータグ*1を追い続けることが僕の青春だった。

2006年。広島の片田舎に住んでいた高校生の僕は、今のようにネットも発達しておらず、限られた情報源から「Pro. Just Blaze」と記載された作品を見つけ出しガラケーにメモ。その後、親に頼み車で隣町のブックオフに連れて行ってもらい、ひたすらディグをする。これがサブスクもディスクユニオンもなく、地元のCDショップと隣町のブックオフだけが頼りの平成田舎ヘッズのディグスタイルだった。

それほど夢中になりディグをしたプロデューサーがJust Blazeである。

2024年は、DJ PremierがNasと、Pete RockがCommonと共に作品を発表するなど、レジェンドプロデューサーに注目が集まっているが、Just Blazeの存在を忘れていないだろうか。The Neptunes、Kanye West、Swizz Beatz、Timbalandなどと並び、00年代を代表するスーパープロデューサーの一人である。

Just Blazeとは

ニュージャージー生まれのJust Blazeは、幼少期から音楽好きのプログラマーの父親の影響でオルガンやプログラムを真似ていたようである。Large ProfessorやPete Rock等から影響受け音楽を志し、所持金40ドルでニューヨークに向かったという。その後、Jay-ZのレーベルであるRoc-A-Fella Records*2と契約し、Jay-ZやFreeway、Cam'ronなど、Roc-A-Fella Recordsのラッパーを中心にビートを提供してきた。

Just Blazeのビートは、90年代のヒップホップを影響を感じさせる太いドラムやベースラインに、ソウルフルなネタ使いが特徴。さらに生楽器なども組み合わせてギラギラに装飾されている印象で、壮大かつドラマティックなビートが多い。ビートの構成もワンループではなく展開が多く飽きることがない。

今日はJust Blazeのビートの中から5曲選出してみた。ぜひ聴いていただき、良い曲はプレイリストに加えて欲しい。

プロデューサータグ*1:ビートメイカーが、「これは自分が作った曲」だとアピールする為に組み込まれた「印」のようなもの。JIGG「ジグノビートガキキタイナ」など

Roc-A-Fella Records*2:Jay-ZやDamon Dashらが中心に設立されたアメリカのヒップホップレコードレーベル。Damon DashがJay-Zの「Reasonable Doubt」をNFTとして販売しようとして訴えられるなど内部の対立が多く、今は運営されていない

Just Blazeベストビート5選

JAY-Z - Show Me What You Got(2006)

イントロからド派手なサックスが鳴り響くリッチでジャジーなビート。田舎者の僕には眩し過ぎた。ここから数万曲のビートを聴くことになるが、これ以上に煌びやかなビートには出会っていない。
複数のサンプルに1500 or Nothin'*3という音楽集団が演奏するピアノやドラムなどの生楽器を複雑に組み合わせたビートで、Just Blazeの真髄が楽しめる。
ちなみにこの「Show Me What You Got」でJAY-Zは引退から復帰。完璧なカムバック・シングルだった。

サンプルは、イントロにLafayette Afro Rock Band「Darkest Light」が、メインにJohnny Pate「Shaft of Africa」
曲中の「Show 'em whatcha got」と叫んでいる声のサンプルはPublic Enemiy「Show 'Em Whatcha Got」 から。

Jay-Z - Girls Girls Girls(2001)

メロウやロマンティックなど言葉で表現できるレベルを超えた極上のビート。サンプルのループだけではなく、ストリングスで底上げされたビートは何度もクライマックスが来るような作りで音だけで泣ける。リリックの内容は奔放な女遊びのストーリーテリングもので、あんまり泣ける内容ではない。

サンプルはTom Brock「There’s Nothing in This World That Can Stop Me From Loving You」とCrash Crew「High Power Rap」

Kanye West - Touch The Sky Ft. Lupe Fiasco(2005)

Kanye Westはセルフプロデュースが多いが、この大ヒット曲はJust Blazeのプロデュース曲。他のビートと比較しシンプルな作りになっている。特にベースが格好良くてそこだけ集中して聴くこともあるぐらい。どこにでも行けそうな疾走感がありドライブでかけるにはぴったりで、今30代前後の人はドライブデートで格好つけてかけたとかけていないとか。

サンプルはCurtis Mayfield「Move On Up」

Cam'Ron - Welcome To New York City(2002)

ヒップホップにはその街に一度も行ったことないのに、曲を聴くだけで行くことができる曲が存在する。その曲の一つがこの「Welcome To New York City」である。この曲は911の翌年にリリースされたニューヨークの讃歌。ニューヨークの壮大さと力強さがビートからも伝わってきて、いまだにニューヨークは偉大な街だと頭の中にインプットされている。
余談だが、なぜかCam'Ronのこのアルバムはどこのブックオフにもあった。それだけ売れていたということだろうか。

FABOLOUS - Breathe(2004)

聴いたらすぐに引き込まれるBreathe!!!というシャウトとピアノのサンプルが複雑に交差する緊迫感があるビート。これもニューヨークの壮大さや力強さがビートから感じられる曲。
サンプルはSupertramp「Crime Of The Century」。このサンプルのクリアランスに100,000ドル(2004年のレートで約1000万)が必要で、さらにシングルとして使用するためには追加の5,000ドル(同上約50万)が必要だったらしく、Just Blazeはこの曲からお金を得ることはできていないとのこと。なんてこった。

1500 or Nothin'*3:2006年にカリフォルニア州ロサンゼルスで結成された、レコードプロデューサー、ソングライター、ミュージシャン、音楽ビデオグラファーからなるアメリカの音楽アンサンブル

1500 or Nothin' - Wikipedia

いかがだったでしょうか。1曲でもプレイリストに追加されていれば嬉しいです。

今ではプロデューサーでディグするのは今では簡単でgeniusというサイトでもプロデューサー縛りで検索できるし、Spotifyでも同じことができます。みんなもお気に入りのプロデューサーを見つけてディグろう!!

関連プレイリスト

参考

JUST BLAZE - TALKS FABOLOUS' "BREATHE" FOR THE SONG'S 10-YEAR ANNIVERSARY
https://hiphopdx.com/videos/id.17449/title.just-blaze-talks-fabolous-breathe-for-the-songs-10-year-anniversary

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