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日々の食卓① ●月見雪見うどん

最近は布団の中が心地良くて、休みの日はついつい長居をしてしまう。
起き出して大したこともしないうちに、いつの間にか時計の針は真上を超えていた。
特別にお腹が空いている訳では無かったが、身体を温めようと思い、うどんを作り始める。
昨日買っておいた大根と茎わかめが脳裏に浮かんだ。

うどんを茹でるための湯を沸かしながら、うどん出汁を作る。
我が家の出汁は市販のだしパックと塩が味の基本だ。
そこに薄口醤油、日本酒、みりん、わずかな量の砂糖を隠し味として加えて整えると、味も色も関西風の“それ”になる。

出汁が出来たところで、沸騰した鍋に少し細めの生のうどんを加え、タイマーを15分にセットした。

大根は皮をむき、おろし金ですりおろし、白ネギを小口に切る。
予めお湯に浸けて塩抜きをしておいた茎わかめを、ペーパータオルで水気を拭いてから包丁で刻む。

『ピピピピッ』と電子音が鳴る。
ざるにうどんをあけて手が痺れるほどの冷水で滑りを取った後、沸かしておいた湯をかけて温めてから丼に盛りつける。
真ん中にくぼみを作り卵をのせて、熱々の出汁を静かに注ぎ入れると
空に月が浮かんでいるようにも見える。
その光景と 出汁が鼻腔の奥をくすぐる香りが、摂食中枢を刺激するのと
同時に胃袋をたたき起こす。
大根おろしと茎わかめ、小口切りのネギをのせ、最後に七味をぱらり。
丼に向かって手を合わせ、至福の時を迎える一言を唱えた。

『 いただきます。』

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