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WECK瓶なら、いつでもどこでもタルトタタン

今年のフランスの夏は、例年から比べると非常に厳しい暑さが続き、40°Cを超える高温を観測する地域が続出したほどで、記録的な熱波と干ばつで水不足が深刻な状況にまで陥りました。

僕が暮らしているフランス中西部も例外ではなく、強い日差しと日本での生活を思い出すような高い湿度に見舞われた数日間は、僕は家中の窓を締め切って自宅でじっとしていたくらいです。

それでも僕の暮らす地域はパリやボルドー、リヨンといった大都市に比べて気温は5°C以上低くなる環境のおかげもあり、個人的には、

「今年のフランスの暑い夏もあっという間だったなぁ」

という印象です。

9月に入り今年も残り4ヶ月。フランスはすっかり暑さが和らいで、季節は夏から秋へと移り変わる様子を、空模様や朝夕吹き込む涼しい風から感じ取れるようになってきました。

青空が続いていた日々から、9月1日から1週間先までしばらく雨模様と、乾ききった土地を潤すかのように天気予報が知らせてくれます。

暑さが落ち着いてくると、自然と食欲が増すのは僕だけではないはずです。冷たい料理や食材のフレッシュな味わいの料理から、熱々で味付けも強めに調理された料理を欲するようになってきます。

7月、8月と食欲があまりない時は、フレッシュな果物を食べて食欲を呼び覚ましたり、食後のデザートにピッタリですが、暑さが和らいでくるとフレッシュな果物よりも甘さを強めたデザートのほうがやっぱり食べたくなりませんか?

フランスでこれからのシーズン旬を迎える果物の種類といえば、バナナ・キウィ・パイナップル・洋梨・林檎・とありますが、僕が毎年自宅で欠かさず作る秋の果物を使って作るフランス・郷土菓子といったらタルトタタンは欠かせません。

フレッシュの林檎も良いですが、甘みと香りを濃縮させたタルトタタンは、秋が近づいてくると毎年必ず食べたくなるお菓子です。

過去の記事でも、詳しい解説を含めたタルトタタンのレシピを紹介しています。

フランスの様々なりんご品種についての記事はこちらです。

今回はほぼ同じレシピを採用して、僕が愛用しているWECK瓶を使って長期保存ができるタルトタタンの紹介をします。

WECK瓶は手入れが簡単で保管もかさばらないから好き

使うりんごはフランスのお隣の国、ドイツのりんご品質、ピノヴァ(PINOVA)です。

赤と黄色が混ざり合った皮が特徴的で、ジューシーで歯ごたえもしっかりある林檎品種です。

保存瓶のメリットは、調理済みの料理をいつでも食べたい時にすぐに食べることができるの点です。

今回は林檎の甘みと香りをぎゅっと瓶の中に閉じ込めます。

もちろん脱気・滅菌工程を省いてもタルトタタンとして仕上げることができます

初めてでも失敗しないレシピを組み立てているので一緒に作っていきましょう。

✅【材料と分量】容量370mlのWECK瓶4つ分

林檎 2kg
グラニュー糖 40g(林檎にふりかける用)
無塩バター 60g(林檎の加熱用)

〈パータブリゼ〉(冷凍のパイシートで代用できます)
薄力粉 100g
無塩バター 50g 
塩 2g(有塩バターを使用するならば入れません)             
卵黄 20g
水 20g

〈キャラメル〉
グラニュー糖 160g       
水 40g
バター 40g

1:パートブリゼを作る

パートブリゼとはパイのようなサクサクとした食感で、甘くない練りパイ生地です。使う材料は必ず冷蔵庫で冷やしておくことが重要なポイントです。

冷やした薄力粉と約2cmの角切りにカットしてあるバターを合わせます。

バターを指でつぶすようにして薄力粉と混ぜてから手のひらで擦り合わせるようにしてそぼろ状になるまでしっかり合わせます。

手の体温でバターが柔らかくなってくるので、バターが体温で溶けないように作業は素早く行います。
 
卵黄と水も冷蔵庫で使う直前まで冷やしたものを混ぜ合わせます。

しっかり混ぜ合わさったらそぼろ状になった生地に加えて、スケッパーを使って練らないように生地をまとめます。

全体を切るように液体をなじませながら、生地がまとまり始めたら、上から生地を押すようにしてまとめます。

生地がまとまったらラップに包んで冷蔵庫で休ませます。

生地の焼きチヂミを抑えるため一晩、冷蔵庫で休ませるのが理想ですが、時間のない場合は、最低1時間は冷蔵庫で休ませるだけでオッケーです。

以前作ったタルト・タタンでは、フランスで購入しやすく甘味の強いピンクレディーと言う品種を使用しました。他には、様々な品種を掛け合わせて生まれたハイブリット品種ロイヤルもタルトタタンに適したリンゴです。

日本のりんご品種だと紅玉に富士などがよく使用されると思います

今回もほぼ前回の作り方と同様のレシピを採用しています

2:林檎の下処理

皮をむいたりんごを半分にカットしたら中の種とピーラーで剥ききれなかった皮を取り除きます。

種子を取り除く道具、芋栗がある、作業がとてもスムーズでとても便利です。

下処理を終えた林檎にグラニュー糖をまぶします。

予め林檎全体にグラニュー糖をまとわせることで、加熱中にりんごの水分を外に出しやすくさせます。

加熱工程は2回に分けておこないます。まずはフライパンを使ってりんごから水分を出していきます。

一度に入りきらなかったので2つのフライパンに分けて調理しました。

バターを加えて蓋をしたら中火で10分、3分おきに蓋を開けてフライパンを揺すり、林檎が焦げないように注意します。

片面10分、蒸し焼きにしたら林檎を裏返して先ほどと同様に再び10分間蒸し焼きします。この時点での目的はりんごにしっかり火を入れることではありません。

りんごの表面をしんなりさせて、りんごから水分が出てきたらオッケーです。

3:キャラメルをつくる

グラニュー糖と水を鍋に入れて中火にかけます。

わき始めたら鍋の中をかき混ぜないで、色がすき始めるまでそっとしておきます。

色がついてきたら鍋から目を離さないようにしましょう。 

煙が出始めてきたら鍋を火からおろします。慌てずあせらずに火傷にも注意してください。

あらかじめ準備しておいた水を張った容器に鍋を5秒ほど入れて、カラメルの加熱進行を止めます。

あまり長く水につけてしまうとキャラメルが固まってしまうので、まとめて加熱進行を抑える作業です。

キャラメルが熱いうちに冷たいバターを加えてよく混ぜたらキャラメルの完成です。

ここでも火傷には充分注意してください。

キャラメルバターは、冷めてしまうと扱いづらくなるので熱いうちに耐熱ざらに流し入れます。もし固まってしまった場合は再び温め直すことで柔らかい状態に戻すことができます。

大きめの耐熱皿がない場合は、ケーキ型やテリーヌ方でも代用することができます

キャラメルバターは無理に全体に広げる必要はありません。

4:キャラメルを引いた耐熱皿に林檎を並べます

りんごの並べ方は、特に気をつける事はありませんが、最終的な仕上がりをきれいにすることを意識するならば同じ向きにきれいに並べた方が、加熱後のりんごが取り出しやすいので規則的に並べたほうがベストですね。

フライパンに残った、バターの香りと甘味の詰まったりんごのジュースも全体に回しかけます。

180°Cのオーブンで60分間火を入れます。

途中30分経過したらオーブンから一度取り出して、りんごから出てきた水分を全体に回しかけ、器の向きを変えてオーブンに戻して再び30分火を入れます。

1時間オーブンで焼いたりんごがこちらです。

林檎が乾かないように液体を全体に絡めながら、裏返したら粗熱が取れるまで、室温で休せます。

保存瓶の煮沸消毒に移ります。

煮沸する際の注意点は過去の動画、保存瓶で作るパテドカンパーニュの紹介動画にて、詳しく解説してますのでそちらを参考にしてください。

ここで注意点を1つお伝えします。

脱気・滅菌作業を短時間で、且つ細菌の繁殖リスクをなるべく低くするためにも、瓶詰めする食材は、煮込み料理やソースでも出来立てのアツアツの状態で保存瓶に詰める方がベストです。

今回は、きれいにりんごを詰めるために作業のしやすさと、最終的な見た目の仕上がりが美しくなることを優先したので、りんごはあら熱を取ってから瓶詰め工程をしています。

時間がなくて、一度に調理工程をすべて行えない場合は、りんごを一晩冷蔵庫で冷やしてから瓶詰め工程を行うこともできますが、冷めた食材を入れると、脱気と滅菌工程の時間が長くなることです。

加熱済みの林檎と液体合わせて260g入れました
Weck瓶は370mlの容器を使用しています

縁の汚れはカビの繁殖原因となり、瓶の密閉を妨げる原因にもなるので、蓋をする前に汚れをがついた場合はキッチンペーパーなどで縁を拭き取ります。

パッキンはズレないように正確に取り付けて蓋をして、最後に2つクリップを取り付けたら瓶詰め工程の完了です。

容器と蓋についた水気はしっかり拭き取ります

食材は上部ギリギリまで入れないように必ず2センチほど余白を作っておかないと脱気を失敗する原因につながります。

パテドカンパーニュを作った時同様に、脱気・滅菌工程はオーブンでおこないます。

耐熱皿やバットなどにweckの容器を移し、最後はお湯を入れた湯煎の中で、120°Cに設定したオーブンで、60分間入れて脱気・滅菌工程を行います。

オーブンから取り出したら保存瓶を湯煎から取り出して一晩常温で休ませます。

脱気・滅菌後は光の当たらない涼しい場所で保管してください。

クリップをはずしても蓋が取れなければしっかり脱気ができている証拠です。

そしてゴムパッキンの突起部分が下がっていれば脱気が成功していることを目で確認できる点がこの瓶の優れているところです。

僕はいろんな料理をこの方法でたくさん作っては1年間以上保存しています。

5:パートブリゼを焼く

生地が作業台と麺棒にくっつかないように強力粉で打粉をしながら少しずつ伸ばします。

打粉は生地の裏表両面にします。角度を変えながら伸ばせば全体的に均一な厚みで伸ばすことができます。

動画ではタルトタタンとして完成させるためにパートブリゼを準備していますが、林檎だけでもとてもおいしい仕上がりになっているので、パートブリゼのかわりに市販のビスケットなどと一緒に食べてもおいしいです。

Weck瓶の直径に合わせたセルクルで型抜きします。

直径10cmのセルクルで型抜きしたら、オーブンで焼く際に空気の逃げ道を作ってあげる必要があるのでフォークで全体的に穴を開けます。

表面にクッキングシートをかぶせてから重しをして、180°Cのオーブンで25分焼き上げます。

6:盛りつけ

冷蔵庫で1日休めるとしっかりりんごが接着して崩れにくくなります。

蓋を開ける時はゴムパッキンの突起部分を引っ張れば簡単に開けることができます。

取り出すときは焼いたパートブリゼをかぶせてひっくり返せば簡単に取り出すことができます。

食べる時は、ホイップクリームを添えてもいいですね。

瓶から取り出して盛り付けていますが、もちろん直接瓶の中に入れたまま食べても構いません。

タルトタタンの魅力はりんごの甘みと香りをぎゅっと濃縮させたおいしさに、キャラメルのコクと風味が交わるおいしさが特徴です。ほのかに残るしゃきっとした食感も味わいのアクセントになります。

カロリーなんか気にしないで、たっぷりホイップクリームを追加すれば、もう最高です。

パートブリゼのサクッとした食感とバターの香りがリッチな味わいに引き立ててくれます。

WECK瓶に興味のある方、今年の秋は是非こちらのレシピを参考にタルトタタンを作ってみてください。後悔はさせませんよっ!

他にも私の料理をYouTube動画で紹介しています。

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