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本命のエポワスチーズ

今朝は近所のカフェで、教授に強烈にダメ出しされた修論の研究フレームワークを書き直し、その帰りに近所のチーズ屋さんに寄った。

ベルギーのチーズ屋は、店いっぱいに種類の豊富なチーズが並べられておりチーズ博物館のようである。初めて見る種類のチーズについてその精製方法や作られた土地を聞き、妄想を膨らませながら家に持ち帰り食べるのが日々の楽しみになっている。店員さんは皆チーズオタクなので喜んで色々教えてくれる。

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チーズには牛、ヤギ、羊など様々なミルクで作られたものがあり、さっぱりしたもの、癖のあるもの、若いもの、熟成されたもの、柔らかいもの、固いものなど多種多様な特徴を持っている。まるで人のようだ。

もちろん新しい冒険をするのも勉強になるが、時々無性に食べたくなって何度もリピートしているチーズもある。それはエポワスチーズである。

エポワスチーズは、ウォッシュタイプ*の代表的なチーズで、ブルゴーニュ地方の地酒、マール・ド・ブルゴーニュを使って熟成される。表面はピンクがかったオレンジ色の皮になっていて、常温で数十分置いておくと中はとろっとろになる。通常は木でできた容器に入れられて販売されており、ケーキのように扇形に切っていくと残ったチーズの断面が溶け出すのでそれをバゲットで救って食べるのが最高の食べ方だと思う。牛さん、菌さん、チーズ農家さん、ありがとう。

*ウォッシュタイプとは、「外皮を塩水や酒で洗いながら熟成させたチーズ」のことである。表面についている菌がチーズを分解する時に強烈な匂いが出るため、その過程で表面を塩水や酒で洗う。

エポワスはとても臭い。おそらく、癖のあるチーズの中でも特に臭いものである。でも私はその癖のあるチーズが大好きだ。このチーズを最初に食べてしまうと、その後食べるものは全て淡白に感じてしまう。着ている服や冷蔵庫はエポワスの香りに包まれるし、食べた後に人に会おうものなら本気で歯磨きをしなければならない。なのでそれなりの心構えと準備が必要になる。それでも定期的に食べたくなってしまうエポワスは私の本命チーズなのだと思う。

今夜は何も予定がないし、夕飯はエポワスチーズにしよう。