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思い出はどこかに宿ってる

今日は、朝珍しくインスタントコーヒーを淹れた。
普段インスタントコーヒーは飲まないけど、今日はたまたまコーヒーがこれしかなかったから。

インスタントの粉をカップに入れて、お湯を注ぐ。
お湯にかき混ぜられたインスタントコーヒーが香りを湯気に乗せて、私の顔を掠める。その瞬間に、あの時のたまらなく心地よい感覚が、いつも鮮烈に蘇ってくるの。

私なんだかんだ、インスタントコーヒー好きなんだよな。
インスタントコーヒーは、正味美味しいコーヒーじゃない。馬鹿舌だけど、たぶんわかってる。はず。
だけど、これは味の問題とかじゃなくて。

インスタントコーヒーは思い出なんだ。


私がかつて、世界一周をしていた時。私は朝が大好きだった。
今も好きなんだけど。もしかしたら朝好きはここから来てるのかも?と今ふと閃いてたり。
理由はたくさんあって書ききれないけど、思い当たるやつを何個か書いてみる。

まず一つには、朝ご飯が楽しみだったから。
甚だしく単純で幼稚な理由なんだけど。でも、毎日、ここのゲストハウスの朝食はどんな感じなんだろう、って、それを考えるだけでワクワクしてた。

そして二つ、ブログを書けるから。
文章を書くのが好きだった。というよりは、自分の頭の中で混沌を極めている思考をかっぽじって、整理することに心地よさを感じていた。
つまりは、旅のブログを書くことで頭が整理できていた。

そして三つ。朝の太陽が大好きだったから!
昼の直射日光は、私には眩しすぎるので若干の苦手意識を感じてるけど、その点朝の陽光は意味が分からないほど優しい。その柔らかい光は、まるで女神を照らすかのように神聖に見える。
その優しい沈黙が、たまらなく好きなんだよなあ。


そんな大好きな朝の時間をいつも共にしていたのが、インスタントコーヒーだったんだ。


私が海外で滞在した多くのゲストハウスには、共用スペースにインスタントコーヒーが置かれてて。
世界共通の簡易飲料とともに、朝のたまらなく幸せな時間を噛み締めていた。
だからいつの間にか、インスタントコーヒーは私にとってかけがえのない存在になった。というか、その幸せとインスタントコーヒーが切り離せなくなっていた。


大好きで大好きでたまらない時間を共に過ごした相棒には、不思議な魔力が宿る。
その相棒が形あるものであれ、ないものであれ、その相棒に触れるといつも、疾風の如くぶわっっと過去の心地よい感覚に包まれる。特定の情景が思い浮かぶわけではないのに、恍惚として、体がふわふわして、頭がお花畑いっぱいになる。

インスタントコーヒーに、思い出が宿った。
だからインスタントコーヒーを一口飲めば、幸せを噛み締めていたあの空間へ、一瞬でタイムスリップするんだ。

ちなみに私的3大幸せフラッシュバックは、3大に選定するのが大変だったけど、
天日干しを極めたバスタオルの匂いと、
朝にしれっと響くニワトリとカッコウの鳴き声と、
カルディで買えるグアバネクター南国ドリンク。同不順。

きっとみんなにも、自分だけの、思い出の相棒がいるんだろうな。

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