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同情と共感の違いは何なのか

個人的に、とても感度の高い2つの言葉あります。
「同情」と「共感」です。

この言葉について考えていると、いろんな問いが浮かんできます。
・この2つの違いはなんなのか?
・この2つの行為に良し悪しはあるのか?
・これらは能力なのか、それとも遺伝子に依存するのか?
などなど。

とくにやっぱり一個目の問いが気になる。
どうも明確な違いをきちんと説明はできない!

というわけで、まずは問い一つ目「同情と共感の違いは何か?」について、いろんな角度視点から考えてみます!

英語の語源から考える

私はかなり原点志向なので、まずは原点から行きたくなるサガです。

Sympathy(同情)
ギリシャ語のσυμπάθεια(Sumpatheia)に由来。("sun-":with, "pathos":feeling)
▶︎▶︎私が一緒に相手の感情を感じている状態、という風に見えます。

Empathy(共感)
これもギリシャ語のἐνπάθεια(empatheia)から派生。("em":in, "pathos":feeling)
▶︎▶︎私が相手の感情の中に入っている状態、という感じですかね。

微妙なニュアンスの違いがありそうです。
次!

言葉の歴史から考える

今度は、言葉が過去にどういう風に、どういう文脈で使われていたかについてを見てみます。

同情:
16世紀ごろ、
・心と体の不思議な結びつき(心が弱ったら体も弱る、逆も然り的な)
・同じコミュニティの仲間の感情を自分も同様にに感じるさま
などをこの言葉で表現している、とのこと。
その他にも、神経系のネットワークなどの相互連動や、感染症の伝染とかにも使われたとか。音楽の弦の共鳴とかがよく比喩として使われるとのこと。
▶︎▶︎キーワードとして、①自分と相手との共鳴、②自然発生的、がありそうです。相手の感情が水の波動のように伝わってきて、自然と私にも伝染する感じ。

共感:
100年ほど前に、ドイツの小説家レベッカ・ウェストが、空を舞う鳥と共感する自分の感情を表現した時に初めてこの言葉が出てきたとか。当時共感というのは、芸術や自然現象と共に起こっていたらしい。
山や建築の柱が上昇するように見えるのは、観察者の上昇する感覚をそれらにも投影するから。こういった美的”共感”として使われてたとのこと。
▶︎▶︎キーワードとしては、①相手への自己投影、②必ずしも自然発生的ではない、という感じでしょうか。相手の中に自ら入り、相手の感じている世界を感じている、そんな感じですかね。

なんだかんだ違いますね。
ラスト!

辞書の意味から考える

最後に、ラスボス、意味を比較してみます。

同情:
他人の苦しみ・悲しみ・不幸などを同じように感じ,思いやり・いたわりの心を持つこと。かわいそうに思うこと。
▶︎▶︎相手と同じ気持ちを自分も感じています。つまり、自分の感情が相手の感情に染まるような感じ。あとは、マイナスの感情に対してよく使われるようですね。

共感:
他人の考え・行動に、全くその通りだと感ずること。同感。
▶︎▶︎大前提に自分には相手とは異なる自分の感情・考えがあって、その上で相手の視点から見て、同じ感覚・考えだと感じている状態、かなと思いました。あと、こっちは相手の感情や考えにプラスマイナス関係なく全感情に対して使われるっぽいですね。

まとめ

こういろんな観点で見ていくと、同情と共感はどう違うのか、という問いに対して、こんな答えがありそうです。

・同情:自分の感情が相手の感情に染まり、塗り変わる感じ。感情のリプレイス。同情はよくマイナスの感情に対して発動されそう(マイナスの感情はプラスの感情よりも伝染力が強いという性質も影響してそう)

・共感:自分の感情・考え・認知はしっかりキープされていて、その上で相手の視点に立ち変わって相手の体験とか感情を追体験する感じ。自分の感情がリプレイスされるのではなく、新規でもう一つ相手の感情も感じてるって感じかなあと。

つまり、違いとしては、ベースに確固たる自分があるかないかというところなのかもしれないなと思いました。

こう色々と考えていると、ブレイディみかこさんの小説に出てくる「共感とは、他人の靴を履いてみること」という表現も、しっくりくるものがあります。

2つの言葉の違いはだいぶクリアになったので、他にもいろんな視点で深ぼってみたいと思います!ではまた〜

【参考文献】
・https://academic.oup.com/book/12098/chapter-abstract/161465158?redirectedFrom=fulltext
・https://yalebooks.yale.edu/2018/11/21/the-origin-of-empathy/

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