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対照的なウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領の新年の辞が示すもの

ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領が、それぞれ新年の国民向けビデオ演説を発表しました。

ゼレンスキー大統領の演説は、「われわれは一つの家族、一つのウクライナだ」と引き続きの結束を訴えました。そして「(侵略が始まった昨年)2月24日、われわれは白旗ではなく、青と黄色の旗(ウクライナ国旗)を選んだ。逃げるのではなく、抵抗して戦うことを選んだ」「われわれは涙を流し尽くし、祈りを叫び尽くした」「あなた方は信じられないことをなしている」としてウクライナ国民を鼓舞し、2023年の勝利を誓いました。

一方、ロシアのプーチン大統領は20人近くの兵士らを背にして、ウクライナ侵略を正当化する演説をしました。彼はウクライナ侵攻は「ロシアの真の独立」のための戦いであるとし、「道徳的、歴史的な正しさはわが方にある」と主張しました。そしてロシア国民に、欧米などの経済制裁に耐えて「祖国防衛」の責務を果たすよう求めました。

実に対照的な新年の辞です。プーチン大統領の発言は、まさに盗人猛々しいと言う他ありません。ロシア軍が「道徳的、歴史的に」完全に反した戦争犯罪を繰り返していることをまったく理解していないかのようです。ひょっとしたらプーチン大統領は、自らの行いを客観的に見ることができないのかもしれません。そしてさらにロシア国民に苦難を強いようとしています。

プーチン大統領周辺やロシア軍の秘密情報を定期的に発信している、ロシアの「SVRの将軍」は1月2日の発信で次のように伝えています。

「プーチン大統領は新年をモスクワから遠く離れた、ウラル山脈の向こうにある秘密のバンカー(避難壕)で迎えた。もともとは、プーチン大統領は、ソチにある邸宅で迎えるつもりであったが、クリミア大橋への攻撃が、その計画を再考させ、リャザン、サラトフ両州空軍基地への攻撃が、先ず安全という位置関係にある、ウラルの避難壕で新年を迎えることを余儀なくさせた。
プーチン大統領とともに新年を新年を祝ったのは、愛人であるアリーナ・カバエワら家族とごく限られた親友だけだった。招かれた客の中には、ユーリー・コヴァリチュクとニコライ・パトルーシェフがいた。パトルーシェフは、大統領の新年の宴席に招かれた現政権の唯一の代表者であった。プーチン大統領は疲れ果てていた。彼専用に用意された、特製治療食のピューレを口にして、彼は、乾杯の音頭をとったが、その内容は殆どが戦争に関するものだった。宴席の参加者は、早期の戦闘の勝利と諸計画の達成を願って、大統領を元気づけようと、努力したが叶わなかった。」
という極めて寂しいものでした。この寂しい新年会がプーチン大統領の今年の姿を象徴しているかもしれません。
今年こそウクライナの平和を強く願います。

2023年1月6日              青山 正

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