図書館のある町

私は、日本で、8つの都市に住んだ。父の仕事の関係で、自分の意志とは関係なくあちこちに住んだ。

自分で、この都市に住みたいと思って住んだのは、就職してからである。

就職してから住んだ町の図書館は、蔵書数も多く、蔵書内容も素晴らしく、私にとっては、ものすごくよかった。

図書館が良かったため、振り返れば、私が日本で住んだ都市の中で、一番長い在住年数になった。

子供の時から、家には絵本があふれていた。カラーボックスにたくさんの絵本があった。
しかし、その当時住んでいた都市の図書館は、朝日年間の統計を見ると、全国の最下位から2番目という図書館環境の悪い都市だった。
母と母の知り合いは、そのことに気づき、図書館をよくする運動をしていた。
その都市の当時の図書館は、2階にあり、2階へ行くには、階段のみという環境だった。エレベーターがなかった。また、図書購入費用も少なかった。
図書館をよくする運動では、移転先を調べたり、新築の図書館にどんな施設があるといいかなどを調べたり、他の自治体の図書館見学に行ったりしていた。
まあ、母はこの活動途中で、またもや父の転勤で引っ越すことになり、新しい図書館のオープンまで活動をしなかったが、のちに、新しい図書館がオープンした。

幼稚園、小学校の頃の図書館に関する母の運動を見ていて、図書館のいいところに住みたいなあと漠然と思っていたのかもしれない。

就職して家探しをするときに、図書館がいいか悪いかなんて、考えている暇もなく、勤務先に通いやすいかどうかで決めた。

就職して、2年目の時に、図書に関わる仕事をすることになった。それで、住んでいる都市の図書館を利用することが多くなり、居住地の公立図書館は、私が住んだ都市の中で一番いいと感じた。
それが分かってからは、他の都市へ引っ越す気は、完全になくなった。

また、国立国会図書館や、東京芸大、桐朋音大などの図書館も使いやすかったのも良かった。

そして、現在、モスクワに住んでいるが、これまた、偶然、徒歩5分のところに図書館がある。
私が今まで住んだ町のどの図書館よりも近いところにある。
この図書館で、日本人が図書カードを作ったのは私が初めてだったから、職員も私のことをよく覚えてくれて、ある職員は、名前も覚えているほどだ。

もちろん、モスクワだから、レーニン図書館もあり、ここの読書室は私のお気に入りの場所でもある。


私が、この街がすきと思うのは、図書館がいい町だ。

#この街がすき

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