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ヨコハマ・フットボール映画祭2022作品紹介!

みなさんは、サッカーはお好きですか?
また、映画はお好きですか?

6月に神奈川県のかなっくホール、シネマ・ジャック&ベティでサッカー映画専門のイベントヨコハマ・フットボール映画祭が開催されます。

今回、試写にて一足早く上映作品を観ましたので3本の作品を紹介していきます。

1.サンシーロの陰で(2020,Tigrar)

第94回 アカデミー国際長編映画賞スウェーデン代表作品。インテル・ミラノと契約し、イタリアへ渡ったものの鬱病を患い、引退したマルティン・ベングソンの自伝を基にした作品。

才能が認められ、インテル・ミラノに入るベングソン。イタリア語がわからない状態、不安と期待を胸にチームメイトたちに会うが重々しい空気が流れている。ここは弱肉強食の世界。莫大な富と名声に近い場所であるが、常に解雇と隣り合わせの地獄であった。ベングソンがチームに入ったことで、誰かが解雇となってしまうのだ。だから憎悪と嘲笑の眼差しが注がれるのだ。また、イタリア語がわからないことを良いことに、プレーの邪魔をしたりベングソンにはわからない悪口を吐いたりする。チームのオーラで彼は悪意を向けられていることを知るのだ。そんな地獄の状況でも、手を差し伸べてくれる仲間はいたりする。一緒に車を運転したり、雑談をして絆が深まる局面もある。しかし、それで傷が癒ぬほどの息苦しい世界が広がっていた。

本作は、サッカーのみならずスポーツや会社など、過度な弱肉強食社会がメンタルにもたらす影響を見つめた作品である。娯楽であるはずのサッカーが苦痛になる。でも苦痛の顔を見せずにサバイバルしなければいけない状況に胸が締め付けられました。

■作品情報

2020 / スウェーデン、イタリア、デンマーク / 116分 / "Tigrar"
監督名:ロニー・サンダール
出演者:エリク・エンゲ / フリーダ・グスタフソン / アルフレッド・イーノック

■上映スケジュール

・6/5(日) 10:15-12:39
 ゲスト:木村好珠(スポーツメンタルアドバイザー)
・6/10(金) 19:00-
 シネマ・ジャック&ベティにて追っかけ上映

2.バモス!ドミンゴ -夢の実況席-(2020,Domingo)

サッカー映画といえば、どうしてもサッカー選手たちの熱いドラマを思い浮かべてしまうだろう。だが、本作は「実況」に目を向けた異色作だ。

料理をしたり、ガソリンスタンドでバイトしたりしているサッカー大好きおじさんのドミンゴ。妻にも出ていかれ、友人に慰めてもらう。

「楽しめる職を探せ!」

と言われたドミンゴは、サッカーの実況者なら自分に向いているのではと考える。鉄は熱いうちに打て!近所でサッカーをする人たちにインタビューを始める。そしてグラウンドにドラム缶を置き、そこで勝手に実況練習を始めるのだ。今まで、嫌々仕事をしてきたドミンゴだったが、主体的に情報を集め、自分の語りの血となり肉としていく。

果たして彼はプロのサッカー実況者になれるのだろうか?

本作は、今の仕事や環境に不満を感じる者への清涼剤ともいえる作品だ。全体的にゆるいテンポで進む。プロのサッカー実況者になるための戦略もあったものではない。しかし、自分の好きなものと向き合い、それを人生の生き甲斐にしようとがむしゃらに特訓し、それに近所の人たちが付き合ってくれたり、時に応援してくれる姿は熱いものがある。そして、ゆるいまま映画が終わることなく、ある時に現実の厳しさも突きつけされ、それでも好きなことを人生の軸に置いていく着地点は、不安定な今の時代にとって元気を与えてくれる作品であろう。

■作品情報

2020 / メキシコ / 94分 / "Domingo"
監督名:ラウール・ロペス・エチェベリア
出演者:エドゥアルド・コバルビアス / マルサ・クラウディア・モレノ

■上映スケジュール

・6/5(日) 13:15-14:59
・6/8(水) 19:00-
 シネマ・ジャック&ベティにて追っかけ上映

3.アディダスVSプーマ -運命を分けた兄弟-(2016,Duell der Brüder - Die Geschichte von Adidas und Puma)

みなさんは、アディダスとプーマの創業者が兄弟なことをご存知だろうか。そんな兄弟の激動の時代を基にした作品が『アディダスVSプーマ -運命を分けた兄弟-』です。

サッカーにおいて靴が重要視されていない時代。アドルフ・ダスラーは薄くて雨にも強いスパイクの研究に没頭していた。発電機を自ら作り、試行錯誤を繰り返す職人魂溢れる男であった。そんな弟を応援するため、兄ルドルフ・ダスラーは持ち前の営業トークで「ボールがゴールにさえ入ればいい」と考えている銀行から融資を得ようとする。

やがて靴工場を創業することに成功し、技術のアドルフ、経営のルドルフで道を歩むことになるが、忍び寄るナチスの影が対立を引き起こしてしまう。スポーツ選手に良質な靴を届けたいアドルフと、ナチス党の顔色を伺うルドルフ。二人の溝は深り続けてしまうのだ。

本作は池井戸潤の小説のように泥臭い人間ドラマが展開される。サラリーマンの世界では、よく現場と経営層の見える/見えないが平行線の対立を引き起こしてしまう。本作で描かれるダスラー兄弟のぶつかり合いは、普遍的人間の軋轢とそれに伴う影響を見つめた作品といえよう。

■作品情報

2015 / ドイツ / 115分
監督名:オリバー・ドンメンゲット
出演者:ケン・デュケン、トーベン・リーブレヒト、ピッコ・フォン・グルーテ、ナジャ・ベッカー

■上映スケジュール

・6/5(日) 15:30-17:52
 ゲスト:スパイクマイスターKohei
・6/9(木) 19:00-
 シネマ・ジャック&ベティにて追っかけ上映

【開催情報】

■かなっくホール・音楽ルーム上映

・開催日:6/4(土)〜6/5(日)
・開催場所:かなっくホール・音楽ルーム
  -住所:神奈川県横浜市神奈川区東神奈川1丁目10-1
  -アクセス:
  東神奈川駅(JR 京浜東北線・京浜急行)から徒歩1 分
  東白楽駅(東急東横線)から徒歩10 分

■シネマ・ジャック&ベティ

・開催日:6/6(月)〜6/10(金)
・開催場所:シネマ・ジャック&ベティ
  -住所:神奈川県横浜市中区若葉町3-51
  -アクセス:
  黄金町駅(京浜急行線)から徒歩5分
  阪東橋駅(市営地下鉄)から徒歩7分
  関内駅(JR京浜東北線)から徒歩15分



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