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客人に利賀村をご案内してみて&蕎麦の生育経過【茶屋のお便り9月4日号】


■ 今回利賀村へお招きした客人まろうど

 サムネに足あとを残していったクマかなにか。ではなく、noteを通じて知り合ったEijyoさんです。旅行記や食に関する記事で人気を博しており、note編集部の『今日の注目記事』にピックアップされたこともある方です。羨ましい。

 えーっと。下手な導入のせいで誤解を招くとよろしくないので念押ししておきますと、Eijyoさんは野生の獣とは正反対の気品あふれるジェントルマンです。思い違いなさらぬようお気を付けくださいませ。獣は本稿の後半の内容に係ってきます。

 このたび遠路はるばる富山県の奥の奥にある利賀村までご夫妻でお越しくださいました。その詳しい模様はこちらの記事を是非お読みになってください。

■ 当ファームの蕎麦畑視察と経過報告

 本稿では、当ファームの畑をご案内した際とその後の蕎麦の生育経過について触れていきたいと思います。

◇ 中村地区

 当ファームの3分の2の畑が中村地区にありまして、『信濃1号』という品種を育てています。最近まで田んぼとして使われていた圃場で水はけが悪いのが難点ですね。ただ1枚当たりの面積が3反(3,000㎡)と広く区画整理されているので、トラクターやコンバインといった農機で作業しやすいといった利点はあります。

Eijyoさんの記事より拝借

 上の写真は播種してから10日ほど経過した状態です。地面が濡れていますね。今年は雨が多い印象です。

 それから2週間経ち、播種から25日ほど経過した状況です。20~40cmくらいの背丈になっています。均平な圃場ではないため水が抜けにくい箇所があります。蕎麦は水に弱いので、そうした箇所は生育が遅れます。背丈に差があるのはそのためです。

 高温多湿なおかげで雑草もスクスクと育っていますが蕎麦の方が草勢が強いので、とりあえずは除草はしなくても大丈夫かなと思っています。ちなみにもう蕾がついていまして、アップした写真がこちら。

ちょっと可愛すぎやしないか

 もうじき白い花が一面に咲き誇りそうです。

◇ 気付いたこと

 蕎麦の栽培方法などについてご説明しながらEijyoさんとお話をしていて気付いたことは『農薬や除草剤、化学肥料を使っていないことに価値がある』ということです。

 蕎麦は病気に強く、またアレロパシーといって他の植物の発育を阻害する作用をもつため、農薬や除草剤を使わなくても育てられます。蕎麦は元々そういう植物なので殊更にアピールすることでもないと思ってました。

 それは違うと。

 Eijyoさんのご友人が経営されている川上農園さんのことを教えていただき、ホームページを調べてみると「『人と地球にやさしい農業』をモットーに除草剤や化学肥料を使わず、減農薬農法で畑を守り続けています。」と自分たちのこだわりをしっかりと打ち出されておられました。

 見習わないといけません。

◇ 豆谷地区

 さて、続いて残りの3分の1の畑がある豆谷地区です。こちらは雰囲気が変わって、まさに山の中にある畑が点在しています。『常陸秋そば』という品種の蕎麦を蒔いています。

こんな道の先に畑があります

 まずはEijyoさんの記事から拝借した写真をご覧ください。

中村地区の畑と違って四角形ではありません
そばの種が足りなくなったので、控えめに蒔いてあります

 中村地区とは様子が異なることに気付かれましたでしょうか。天気予報によると晴れ間が短かったので中村はトラクターに播種機&溝堀機をつけて、豆谷は手作業で播種、といった感じで班分けして同時進行しました。

 耕地面積が狭いのと、水はけが良いため溝堀りの必要がないことから豆谷地区は手作業でやることに。こんなのを背負って筒を左右に振りながら蒔きます。

満杯にして約15kgほど。なかなかキツイ作業です。

 豆谷の畑をご案内したのは獣の足あとを見ていただきたかったからです。人家から離れたところにあるので、獣たちがお構いなしに闊歩しています。獣害に悩む中山間地の農業を知っていただきたいと思いました。

 ということで、サムネ画像の再掲です。

足あとの大きさは目測でだいたい10cm弱でしょうか

 これ以上踏み荒らされたくないので、後日電気柵を設置しました。「獣が出ない地域なら、別にやらなくていい作業なのにな。」と思ったりもします。ただ、利賀村で育てるからこそ得られる蕎麦の味わいがあったりするので痛し痒しといったところです。

当たり前ですが
線に触れると
めちゃくちゃ痛いです。

 電気柵設置後は侵入された形跡もなく、順調に育っています。水はけの良い畑なので生育にバラツキがなく背丈も揃っています。

 実を言いますと一昨年まで蕎麦に関しては獣害はありませんでした。村の人口の減少と反比例して獣の数が増加していっています。エサが足りなくなって、いよいよ蕎麦も食べるようになったのではないかと推測中。去年はイノシシによって豆谷地区は壊滅的な被害を受けたので、今年は是が非でも収穫まで漕ぎつけたいです。

■ 最後に

 正直なところ、お会いできる嬉しさよりも、わざわざこんな遠くまで来ていただくのに骨折り損になってしまわないかと不安に思う気持ちの方が強かったです。「利賀村に来て良かった。」と仰っていただけたときは本当にホッとしました。

 それから富山の魚に感謝ですね。Eijyoさんの記事にあります通り、山を下りて砺波市の居酒屋で夕食を共にさせていただいたのですが、富山の魚は間違いなく旨い。美味しいものを食べると人って自然と朗らかな気持ちになりますよね。とても楽しい時間を過ごすことができました。

 心残りがあるとすれば、奥様が曲がりくねった山道の移動疲れが出たのか、ホテルでお休みになられて食事をご一緒できなかったことです。幸いなことに次の機会がありそうなので、今から待ち遠しいです。

 Eijyoさんご夫妻、改めましてこの度は利賀村までお越しくださり本当にありがとうございました。そして皆様も最後までお読みいただきありがとうございます。それでは、おふたりの今回の旅の軌跡を辿りながらお別れといたしましょう。

 まだまだ旅の3日目松本編が控えています。ご興味ある方はフォローなさって、記事が投稿されるのをお待ちくださればと思います。他にも充実した記事が目白押しですので、是非こちらからどうぞ。

【2024.9.9追記】
 松本編『松本探訪 1️⃣ 草間彌生 Eternal Soul』が更新されましたのでご案内します。

【2024.9.17追記】
 松本編『松本探訪 2️⃣ ふら~りぶらり』が更新されましたのでご案内いたします。

【2024.9.23追記】
 松本編『松本探訪 3⃣ さあ穂高神社で夏を〆よう』が更新されましたのでご案内します。これにて最終回です。毎度のことながら、自分も旅に連れて行ってもらったような気持ちになります。まだ読んでいない方がいらっしゃれば、ぜひご覧ください。

おしまい。


 私ども茶屋ファームは富山県南砺市利賀村で主にソバの栽培をしている農業法人です。日頃の農作業や六次産業化の過程、そばを使った料理、蕎麦についての豆知識など色々と発信していこうと思っています。

 ご興味を持っていただけましたら「スキ」や「フォロー」もよろしくお願いします。「コメント」もお待ちしております。お気軽にどうぞ。
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