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山田詠美のおすすめ恋愛本ベスト1はこれだ!小説『指の戯れ』ネタバレ感想レビュー

ヨコシマ相談室 # 18.

【登場人物】
貞節の猥談師★家永マヨコンヌ
島根の伝統仏教寺院&教師一族の娘にして結婚20年間一度たりとも浮気したことがない、瓶底メガネの、皇族が被災地を緊急慰問する時のような服装の、清楚で上品な、爆乳Hカップ主婦。よく似ていると言われる女優は吉永小百合と愛新覚羅溥儀。しかし、親族郎等含めて代々13代以上も狭い田舎であまりにお上品な立ち位置の人生を強いられて生きてきた結果、腹の中に代々約260年分の溜まりに溜まった下ネタが溢れ沸き立ってついには鶴見中尉の脳汁みたいに漏れ出してしまいそれを酢醤油で食べてしまったきっかけで『貞節の猥談師』となった。

ナンパ師★江渡貝ラマクリーム
元々はクラスの女の子と卒業式までひとことも喋れた事がない埼玉のコミュ障過ぎる超陰キャ少年。しかし、慶應義塾大学に受かったきっかけで悪い魔法使いに『毎週末必ず女と2発セクロスし続けねば股間が爆発して死んでしまうが、同じ女と一晩以上付き合うと気疲れでストレス死してしまう』という恐ろしい呪いを授かってしまう。だが次にまあまあ良い魔法使いが遅れて現れとりあえず対処療法で『服を着るならこんなふうに(原作監修MB)』と『クラブナンパに於けるワンナイトの方法と実践』の、Amazonで誰でも買えるような2冊の教本をポイっと与えただけで用事を思い出しすぐ去っていった。たった2冊の学習だったが、彼の生来の天才的ガリ勉体質が功を奏し、まるで産まれた時から港区のクラブで踊ってた生来の遊び人のようなシャレオツ★ワンナイトナンパ師に生まれ変わった。そして毎週末にガラスの靴を履いては舞踏会に行き、とりあえず爆死しないため女達とワンナイトしまくってるが、でもいつの日か、舞踏会で本当に魔法を解いてくれる本物の王子様=鶴見中尉を見つけ出し中尉殿のヨシヨシペロペロを受けることでこのおぞましき股間の呪いから完全に解放して貰うんだッ!

ーーー本文ーーー

江渡貝ラマクリーム: 
こないだの生クリームプレイ、もとい、山田詠美先生の話なんだけど。マヨたんの愛読書をディスってわるいけどさあ、ボク、正直、山田詠美はあんまり好きじゃないんだよね…。まあ、個人的な私怨めいた理由なんだけどネ。

家永マヨコンヌ: 
あ、なんか解るかもそれ。

ラマクリーム: 
というのはね、ボク、主に音楽を楽しむためにラップとかのクラブにもいくけどそこには20代前半とか下手すると10代のお子様しかいないから、ボクにとって好みかつめんどくさくないアラサー女子~熟女なお姉さまとワンナイトするためにはジャズとかR&Bとかオールディーズとかそういう系のクラブにも行く。つまり週末はまずクラブAに同世代~熟女を狩りに行き、ダメだったら諦めてクラブBで純粋に音楽を楽しんで一人で帰る。一晩に両方通ってるワケよ。

マヨコンヌ:
・・・年上とワンナイトするために自分の好みと方向性の違うクラブに我慢して日々通っとるのかい・・・お前は本物のイカレポンチ、もとい、情熱のハンターねえ・・・

ラマクリーム: 
でね、その手のクラブには、クラブ内に『日本人男女』『不良外人&それに群がる女子』みたいなふたつのコミュニティがあってて・・・そんで・・・そこにいる『黒人好き女子』がね、なんかもう最高にスンゲー感じ悪い不愉快な態度を取ってくるんだ!

マヨコンヌ:
ほう

ラマクリーム: 
こっちはなんにも意地悪はしてないし、むしろケンカにならないようににこやかに挨拶したり気を遣ってるのに、もう天文学的に高飛車な悪意的な態度で『日本人の男なんてゴミ!』みたいな態度吹っ掛けて来るの。それでいて黒人男にはすげえペコペコして1人の黒人男に2人も3人もの日本人女が腕にぶら下がって群がってたりするのもすげえ卑屈で気持ち悪いよ。

マヨコンヌ:
あー。文献でしか見た事無いけど、日本人としての恥を知れ!みたいなあれね。

ラマクリーム: 
しかもそいつらそろいもそろって(アメリカ人好みの『美人』=)ポカホンタスとつのだじろう恐怖新聞の妖怪を更にどブスくしたような…いや見た目をディスるのはマナー違反でしょうけど、あそこまで攻撃的にされると『おまえら、黒人が好きなんじゃなくて、日本人には到底モテない程どブスなだけだろ!』って心で毒づきたくなるよ。

マヨコンヌ:
それはまあそいつらも悪いわね。わたくしはそもそもラマクリームの狂気のワンナイトナンパ行脚人として完全にアレだろうとは思ってるし、人種差別は醜いとは思うけど、逆差別や過剰な被害妄想だって同じくらい醜いわ。彼女たちがラマクリームの微妙な冷笑的視線(たぶん全然隠しきれてないw)ごときにいちいち苛つくのはラマクリームのせいではなく、彼女たちが実は自分の生き様を内心ではすごく恥じててすごく不安だからね。

で、本当に怒るべき真の敵にではなく、イジっても怒らなそうなおだやかなラマクリームに狙いを定めて八つ当たりしてるのよ。

彼女たちはまず自分を見つめこの道でいいと思うならちゃんともっと開き直って誇り高く自分の選んだビッチ道を好きなように爆進すればいいだけなの。

何よりも、ラマクリーム、そんなつまらない奴らなんかのせいでめげちゃだめ!日本男児として誇り高く生きるのよ!

ラマクリーム: 
うん。まとめると、ボクの意見としては、山田詠美の小説ってさ「チャラい黒人底辺米兵と馬鹿な底辺日本人ビッチが恋愛したあげく浮気される話」などのイマイチ悲惨かつ頭悪そうなプロットが嫌だし…それでいて自分の事モテモテ女だって勘違いして鼻にかけてる感じとかサムいし…とにかくポカホンタス恐怖新聞シスターズを思い出しちゃって、どこがいいのかよくわかんなかったんだ。

マヨコンヌ:
解かったわ。でも安心して。山田詠美漬けで厨二時代(小・中・高)をおくったマヨコンヌが今からラマクリームに山田詠美先生の素晴らしさを完全伝授してあげる、一瞬で山田詠美大好きリームにしてあげるから安心して。

山田詠美大好きかもリーム: 
えええっ(笑)まじ(笑) 

マヨコンヌ: 
まずね。山田詠美のね、話の筋はどうでもいいの。山田詠美の小説は小説じゃないの。。。詩なの。それも、漢詩なのよ。

ラマクリーム:ファ?!漢詩?!


マヨコンヌ:
個人的には彼女の作風は白居易(白楽天)に似てると思う。

ラマクリーム:山田詠美が白居易(白楽天)?!


マヨコンヌ:
山田詠美は白居易(白楽天)とか杜甫と同じように、(人類のエロい営みという)自然現象をエモーショナルにせつなく謳い上げて、読者の胸を掻き立てるような感情を呼び起こす名人=つまり大詩人なのよ。

漢詩の世界では『恋愛・性愛』をそれとはっきりわかるようにメインテーマにして具体的に歌うのは文学的ではない、ダメだ、という文化があるそう。だから、女性との恋愛をストレートに歌う詩はとても少ない。

でも実は『女性=花』に例えたりとかのなんらかの喩え話のように違うテーマを重ねて愛欲や恋を歌うのは良いという文化があるそうなの。

終わりゆく美しい季節への惜別は、道ならぬ愛欲のおわりを暗示して居たりとか、夜の自然の情景を歌い上げているけど愛欲の情景を暗示するとか…。

はっきりとは描かないが、どうやら書いた人もそれを読む人も、自然などを描いた歌を恋愛の歌と解釈するという文化がある。

夏の終わりに命を絞るように鳴く無数のセミの鳴き声に、失恋の慟哭を重ねたり、

雨に濡れつつ華奢な花首をうなだれている玖瑰花と、その香り、雨の湿度に、のっぴきならぬ事情で別れなければいけなかった女性との情事と別れの場面が重ねあわされたり。

すると、単純な人間の失恋の歌よりも、自然描写のせつなさと恋愛のせつなさが重ねられて歌われることでむしろ、

その情景がより五感に訴えるように増幅されるから、しかも自然の清冽な情景に重ねられて美しさも増し、読者には到底一生経験がないようなドラマチックな古代の王族の恋愛話とかでも、すごくエモーショナルにリアルに迫ってくる。

エイミー様は(漢詩の世界と違って色恋沙汰をバチバチに具体的には書きますが)そういう漢詩テクニックと似た人間の感覚を呼び起こす&再合成するテクニックがすんごく半端ないのよ。

まとめるとエイミーさまは
①現代日本人なら必ず体験するようなせつない記憶やら美しい記憶を詩的に呼び起こしうまく増幅させながら、そこに
②日本人ならふつうは体験しないような外国人とのエキゾチックな恋愛模様を重ねて、
凄くリアルで五感に訴えるポエティックな夢幻世界を読者にバーチャル体験させるわけ。

漢詩が肉欲や恋愛を徹底的に伏せて、ひたすら美しい自然現象に喩えそのイメージと重ねることで、肉欲や恋愛の中の汚らわしかったり情けなかったり馬鹿馬鹿しい部分を伏せて、美しく切ない詩的なイメージが増幅していく。

反対に、山田詠美は肉欲や恋愛をバチバチに表に出し、そこにある汚さやみっともなさをこれでもかと表現するんだけど、その汚さみっともなさに、幼少期の想い出などの、性とは遠い郷愁や、美しい自然描写であるとか、エキゾチックな外国などのイメージを覆いかぶせるように重ねることで、我々はこどものようなピュアな気持ちに還り、普段人生の中で身に着けてしまった、肉欲や恋愛への蔑みの感情をしばし忘れ、エイミーが描く愛欲の美しく切ない詩的なイメージに素直に身を任せてしまえる…。

ね。似てるのよ。

ラマクリーム: 
な、なんと・・・・!!!そういう観点は全くなかった…だがしかし、確かにエイミーの文体にはエモーショナルなポエティックな感じあるナ。フランス文学の詩とかを思わせるかも。

マヨコンヌ:
今回の「指の戯れ」で最高にうまいなと思うのが冒頭のつつじの場面よ。

アパートの窓から階下を見下ろすと、真下のつつじの植え込みにひとりの黒人の男がいる。不思議なことに、その男は大人でありながら、まるで子供がやるように、つつじの花を摘んでは蜜を吸っている。その男姿かたちはどうも自分が捨てた昔の風采の上がらない男としか思えないのだが、だが昔と違って誰から見てもとても格好のいい男となって自分のアパートメントの真下にいる。男はゆっくりとアパートメントを見上げて、窓から階下を見ている自分を鋭い眼光で見つめた、驚いた自分は(本当にあの男だろうか?)と目を凝らしてもう一度みると。。もうその男はいなかった。

で、『つつじの蜜を吸う』って情景は、誰もが小学生時代にやるような、日本人なら誰もがセンチメンタルな子供のころに心にかえるような思い出の情景じゃない。

ラマクリーム: 
うん

マヨコンヌ:
そんな子供時代にしかやらない懐かしの『つつじの蜜を吸う』情景を、昔棄てた男(しかも外国人)が戯れにやっていて、調べ上げて突き止めたのか、はたまた偶然なのか、なぜか自分のアパートの階下に訪れていて、そこから、鋭い瞳で睨みつけるという情景に重ねることで読者が到底体験しないような奇抜なシチュなのに凄い臨場感が出て!

更には過去にその男が奴隷のように自分を愛していた時代に『つつじの花色と全く同じ色のペディキュアを塗った自分の足指を愛おしそうにそうっと吸い、舐めまわした』情景とも重ね、

不思議な白昼夢の淫夢のごときエロティックなイメージが増幅されてゆく…

エイミーはやっぱ天才詩人なんですよ!

(実際の文章を読めばわかるけど、『風がない』のに『つつじ』の花壇がざわと『揺れる』という描写ひとつで、黒い大男の動きや圧倒的な存在感が暗示されてる。しかもその3個のキーワードで、読者の体験したはずの過去の記憶・・・風のない初夏のつつじの植え込みから薫る生ぬるい草いきれや、背中に照りつける太陽や、甘酸っぱいようなえぐいようなつつじの蜜の味やら、唇に触れた花弁のなめらかさ。。。などのありとあらゆるディテールがそこに重なり・・・ねっ、本当に最高に巧みな詩人なのよ!)

で、いろいろあって、最後のシーンで情事を終わらせてしまった主人公の女は、自分がいまやその蜜を吸い取られて地面に棄てられた『蜜を吸い取られ、揉みしだかれた、(つつじの)花の屍』になってしまった、と語るのよ。

誰もが絶対に経験のある子供のころの光景、

ぴかぴかに咲いていたつつじの花を摘み取って蜜を吸ったら、足元に自分が地面に棄てた花がぐしゃりと潰れて地面に落ちている…取り返しのつかない無惨な姿に変わってしまった花に、うっすらとした哀れを感じる…

たったの1行でそんな光景が当時の匂いや陽射しの臨場感すらもってびりびりと迫ってくるの…

こういうエイミーさまが縦横無尽にちりばめたによって、何の恋愛経験もない中坊だった私にも、

(外人ピアニストとの米軍基地における恋愛模様という)本来は自分的には完全について行けない異世界転生ストーリーじみた恋愛話が凄まじい臨場感のあるリアルストーリーに再構成されてちゃんと胸に迫るわけよ。。。。

ああもう!イイっつ!エイミー!最高!


ラマクリーム: 
ふ、ふーむ!そんな読み方があったか!

マヨコンヌ:
まあこれ、話の筋の内容としては『アタシ、すっごいモテモテ女で、いつも男を沼らせて遊んでたの!だけど今回だけは逆でした。男にメチャクチャに沼らせられて捨てられちゃった。でも、うん、沼らせるより、沼る方がキモチいいよね!』ってだけの内容。

で。
それはまあそう。

他者を恋愛沼に堕とすってのはあくまで相手が『沼に嵌ってるように見える』だけで相手の感情が本当にどう思ってるのかは永遠に解んないけども、自分側が『沼に嵌まる』どM行為のほうが間違いなくエモーショナルですもの。(もちろん愚かだけども)

ラマクリーム: 
むむ、自分側が『沼に嵌まる』方が間違いなくエモーショナル、か。。。

マヨコンヌ:
あとのツッコミどころとしてはネ、正直なところ、この話の基本プロットみたいな『一方的なすごい恋愛沼関係』って、完全にあべこべにふたりの立場が『大逆転』する事ってたぶんありえないと思うのよねーーー。小説の構成としてはすごく面白いけどちょっと現実味がない。

(突然正気になってすごい恋愛沼関係から醒める、とか、ある異性をものすごく振り回していた人が、今度は「別な相手に」滅茶苦茶振り回される、とかならありえると思うけどね)

ラマクリーム: 
そ、そうか…なんか…山田詠美を『日本人にモテないのに勘違いしてるサムいだけの作家、しかも結局、その黒人とは離婚したじゃーん?バーカバーカ』みたいに誤解していたかもしれないな…
ありがとう、マヨたん。ボク、開眼したよ。読んでみる。

マヨコンヌ:
良かったわ。
で、ところで…
ねえ、ラマクリーム先輩…
マヨ子、前回の記事で書いたように、
なんと弱冠20代のラマクリームが
すでに山田詠美先生が書いてらした
『クラブ通い』と『生クリームプレイ』
の両方を実際に履修してた
って聞いて

ラピュタ(山田詠美小説な異世界な行為をリアルでやってる人)がこの日本にマジで実在したことに大感激したじゃない?


ラマクリーム: 
えへへへへ。
う、うん。
ちょっとマヨたんの喜んだツボが僕にはワケわかんなかったけど
まぁ喜んでもらえてよかったよ♡

マヨコンヌ:
てことは…!ねえ、教えて!

ま、まさか、ラマクリームやナンパ師の皆さんって、この小説の話に出てくるプレイも日常的にしてるのかしら?

『指の戯れ』におけるラピュタもまさか東京や福生にふつうに実在するの?(ドキドキ)


ラマクリーム: 
え♡なになに(*´∀`*)エヘ
『指の戯れ』のどのプレイが気になったのよ?
(*´∀`*)
さあマヨたん、
この都会の百戦錬磨なオシャレナンパ師に聞いてみるがよいぞ(エヘン)♡

マヨコンヌ:
あのね、主人公の男はクラブでヒロインの女と初めて出会ったとき…とても礼儀正しい態度を取り「外で朝食を取りませんか」と夜明けのクラブをふたりだけで抜け出そうように誘って…その後…

ラマクリーム:
ふむふむ(*´∀`*)
とても礼儀正しい男とふたりで抜け出して・・・
その後!

マヨコンヌ:
ふたりは公園に行って
ヒロインはストッキングを脱ぎ、
スカートをまくり上げて股間をグワバッと晒し

「来て。火を付けるのはここよ」

と男にのたまい、
ふたりは夜明け前の…六本木だか福生だか知らんけど、繁華街のクラブのそばの公園の芝生でセックソするんですけど…

リア充な都会のクラバー達は…東京のナンパ師さんたちは…ま、ま、マジでみんなそんな大胆なことをしてるの…?ほ、本当に繁華街の芝生で青カンとか「さあこい!股間に火を付けろ!」的なセリフ…言ってるワケ…?

ラマクリーム: 


やってるわけねーーーーーだろ!

おれたちナンパ師はどーぶつじゃねーんだど!

前言撤回する!

ボク、山田詠美、やっぱりキライっ!

いくらなんでも野蛮すぎるよ!

絶対読まないもんっ!



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