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「こんなツレでゴメンナサイ。」読了

「こんなツレでゴメンナサイ。」

望月昭著(文春文庫)

この本は、ドラマ化・映画化された「ツレがうつになりまして」のツレである著者が、妻細川貂々(てんてん)さんとの出会い、結婚、仕事、うつ病になってからの生活などをまとめたエッセイである。
細川さんのコミカルな絵と、著者の淡々とした語り口がなかなか特徴的だ。

著者はうつ病になり、妻である漫画家のてんてんさんが闘病記をコミックエッセイにして大ヒットした…という経緯もあり、注目されるのは「僕とうつ病」の記述だろう。
しかし、私は少しずつ不器用な感じのする二人が、結婚して夫婦らしくなっていく様子を微笑ましく懐かしく読んだ。

私も「へっこき嫁さ」かもしれない。大雑把で、細かいところに気づかない。電子機器は、オンチ。性格が格別良い訳でもなく、突出した才能もなく、ただ本を読み文章を書いては「へをこく」(オナラをする)くらいしか取り柄がない。
でも、本当の「へっこき嫁さ」がオナラで風車を回して見せたように、私も主人のピンチの時には役に立ちたい。

うつ病の記述は、「わかる部分」と「分からない部分」があった。

私は統合失調症に始まり、妄想性障害、うつ状態…と、病院を変わるたびに病名がコロコロ変わり、本物のうつ病ではないのだろう。
今は抗うつ薬を中心に治療をしていて、抗精神病薬は睡眠剤の代わりにちょびっと使っていて、状態は恐ろしく安定している。躁転どころか、イライラもない。
著者は、一発で医者が分かるくらいの典型的な「うつ病」で、回復期には少し躁転している。

精神疾患が誰でもかかる可能性のある病気、という部分は、とても納得できた。
私はクリスチャンではないが、牧師さんに結婚式を挙げてもらい「病める時も、囚われし時も…」の言葉を聞いた。多分著者夫婦が聞いた言葉と同じだろう。
著者は「病めるとき」に、夫婦で乗り越えた。
私たち夫婦も、共に乗り越えていきたい。

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