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ユーザを徹底的に理解する【共感マップ】の解説と実践


今日はユーザの感情や状況を整理理解するために使われる「共感マップ」について解説と利用方法について解説しようかと思います。

「共感マップ」を聞いたことすらない、そんな方でも明日から実践できるように書いていきます。


共感マップとはなんなのか?

共感マップというフレームワークは、ユーザや顧客の心の中を深く理解するためのフレームワークです。このフレームワークは、ユーザや対象者の「思う(think)」「感じる(feel)」「言う(say)」「する(do)」の4つの側面をマッピングすることで、その人々のニーズや動機、懸念や希望を明確にし、製品やサービス、プロジェクトの方向性をより顧客中心に持っていくことを実現できます。

共感マップはデザイン思考の文脈で使われるフレームワークです。
デザイン思考のプロセスは大きく「共感」、「定義」、「発想」、「プロトタイプ」、「テスト」の5つの要素で構成されていますが、最も重要ともいえる「共感」を捉えて整理するために使われます。

ここでの「共感」とは、ユーザの感情、状況を深く理解し、真にその視点で物事を見る能力を指します。共感マップフレームワークは、この共感のステージを具体的かつ効果的に実施するためのツールとして活用されています。

ユーザの「思う」「感じる」「言う」「する」の4つの側面を探求することで、彼らの深層心理や動機を可視化し、デザイン思考全体のプロセスにおいて、より正確な方向性や解決策を見つけ出す土壌を築きます。


共感マップ 4つの構成要素

共感マップは、「思う」「感じる」「言う」「する」の4つの領域があり、これらはユーザーの内面的な状態や外面的な行動を捉えるためのカテゴリー分けとなっています。


①「思う」領域


この部分は、ユーザーが特定の状況や製品、サービスに関して何を考えているのかを明らかにします。彼らの期待、信念、懸念など、明示的に表現されない内面的な考えや意見を捉えるための領域です。

意義
ユーザーの「思考」を理解することで、製品やサービスのポジショニングやメッセージングの方向性を見つけるヒントを得ることができます。また、隠された疑問や懸念を解決することで、UXを向上させるための改善点も明らかになります。

②「感じる」領域


「感じる」はユーザーの感情や気持ちを捉える領域です。喜び、不安、興奮、失望など、製品やサービスとの関わりの中での感情的な反応を探ることが目的です。

意義
感情は行動の大きな動機となります。ユーザーが製品やサービスをどのように感じるかを理解することで、強いエンゲージメントやロイヤルティを生み出す要因、またはそれを阻害する要因を発見することができます。

③「言う」領域

この部分はユーザーが他者に対して実際に口にする、あるいは書き留める言葉や意見を捉えます。これは、インタビューやフィードバックセッションで直接収集できるデータです。

意義
「言う」の領域は、ユーザーの公然とした意見や印象を知る手段となります。これにより、製品やサービスの現状の受容度や、市場でのポジショニングを評価する材料を得ることができます。

④「する」領域

ここでは、ユーザーの具体的な行動や行為を中心に考えます。例えば、製品をどのように使用するのか、または特定のサービスをどのように利用するのかなどの実際の行動パターンを分析します。

意義
行動はユーザーの真のニーズや価値観を反映するものです。彼らの行動を観察し分析することで、製品やサービスの実際の利用シーンや、その際の問題点・改善点を具体的に把握することが可能となります。「する」の領域が特に重要なのは、人々が時々、実際に行っていることと言っていること、または考えていることとが異なる場合があるからです。例えば、ある製品について「非常に使いやすい」と口で言うユーザーも、実際にはその製品をあまり利用していない、または使いこなせていない可能性があります。そのため、「する」の領域をしっかりと観察することで、実際のユーザーの行動や嗜好、障壁を正確に捉え、真のユーザーニーズを理解することができます。


共感マップの実践方法


STEP1:ユーザを定義
まずは、誰のために共感マップを作成するのか、明確にターゲットユーザーを定義することが重要です。この段階で考慮すべきポイントは以下の通りです。
・ユーザの基本的な情報(年齢、性別、職業など)
・製品やサービスを使用する背景や文脈
・そのユーザーが抱える問題やニーズ

STEP2:データの収集
次に、ターゲットユーザーからのデータを収集します。方法は様々で、インタビューや観察、アンケートなどが挙げられます。

・インタビュー:ユーザーの深層心理やニーズ、考えを探る
・観察:ユーザーの実際の行動や使用状況を確認
・アンケート:多くのユーザーからの意見やフィードバックを集める

STEP3:共感マップの作成

収集したデータを基に、共感マップを作成します。4つの領域(思う、感じる、言う、する)に分けて、ユーザーの情報や洞察をマッピングしていきます。
共感マップから、ユーザーの本質的なニーズや問題点、機会を抽出します。この洞察は、新しいアイディアの創出や製品・サービスの改善方針を決定する際の土台となります。


他のフレームワークとの組み合わせ方法

共感マップは単独で使用するだけでなく、他のツールや手法と組み合わせることで、より深い洞察やアイディアを得ることができます。

ジャーニーマップとの組み合わせ
ユーザーの体験の流れを可視化するジャーニーマップと共感マップを組み合わせることで、ユーザーの感情や思考が特定のタッチポイントでどのように変動するかを詳細に把握することができます。

ペルソナの作成
共感マップから得られた洞察をもとに、ターゲットユーザーの詳細なプロファイルや特性を持つペルソナを作成。これにより、開発やデザインの方向性をより具体的に決定することができます。

ブレインストーミング
共感マップをチーム全員の前に展開し、それをベースにアイディアのブレインストーミングを行う。ユーザーの真のニーズや感情に基づくアイディアを生み出すことができます。

最後に


本記事でも紹介していきましたが、共感マップフレームワークは、ユーザや顧客の心の奥深くにある思考や感情、言葉、行動を明らかにし、それを基に製品やサービスをよりユーザーセントリックに設計・改善するための強力なツールとなっています。

ぜひ共感マップを活用し、ビジネスやプロジェクトに新しい視点やアイディアを取り入れてみてください。

共感マップは一度作成しただけで完結するものではありません。定期的に見直しを行い、ユーザーの変動するニーズを探り続ける姿勢が、真にユーザーセントリックな体験を生み出す源泉になります。

わさび
栗山



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