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現代経営に求められる「デザイン・共感と複眼思考」


今日は「デザインと共感、そして複眼思考」について書いていきたいと思います。

最近、D.A.ノーマンさんの名著「誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論」を読みなおし、人間中心デザイン(ヒューマンセンタードデザイン)について改めて考え直し、”共感”や”複眼思考”も交えて整理しようと思いました。

現代経営に求められる「デザイン・共感と複眼思考」という切り口で整理していきたいと思います。

現代経営の現状と新たな課題

現代の経営環境は、過去数十年で急速な変化を遂げてきました。
グローバル化の進行、テクノロジーの進化、消費者の価値観の変化など、多岐にわたる要因が変革を加速しています。さらに上記に加え、ポスト工業化も進み、企業の競争力の源泉が変わりました。物量や生産量を追求するだけではなく、質やサービスの差別化、革新的なアイディアやビジネスモデルが求められるようになりました。

このような背景の中で、「デザイン・共感と複眼思考」という言葉が浮上してきました。これは、単に製品サービスの品質や機能だけでなく、消費者の心に訴えかける価値を提供すること、そして複雑化する経営環境の中で多様な視点を持ち合わせ、柔軟に対応することの重要性がより増しています。


人間中心デザインの価値

経営や製品開発の現場で頻繁に取り上げられるようになった「人間中心デザイン」。人間中心デザイン(Human-Centered Design)は、サービスを開発する際に、最終的なユーザーのニーズ、考え、感情を中心に置くデザイン思考の手法です。具体的には、対象となるユーザーとの対話や共同作業を通じて、真のニーズや問題点を明らかにし、それを解決する方向で設計や改善を行います。

先述の通り昨今のビジネス環境は変化や競争が激しく、顧客の要求も日々高まっています。このような状況で、企業が差別化を図るためのキーとなるのが、UXの質です。人間中心デザインを採用することで、サービスはユーザーの実際の生活や仕事の中での役割や価値をより深く理解し、それを最大限に活かすことができます。
その結果、顧客の満足度やロイヤルティを高め、持続的なビジネスの成長を実現することが可能となります。

AppleのiPhoneやiPadは、人間中心デザインの典型的な成功事例かと思います。Apple製品は、単に優れたデザインを持つだけでなく、ユーザーの日常生活や作業の中での使いやすさ、直感的な操作性を追求しています。この結果、Apple製品は多くのユーザーから高い評価を受け、高い市場シェアとブランド価値を維持しています。

「複眼思考」と「共感」が現代経営のソリューション

現代の経営を取り巻く環境と人間中心デザインの重要性を解説したところで、多様化するニーズ、進化するテクノロジーの中でどう人間中心デザインを実現し経営に反映していくか、その答えとなる1つの答え「複眼思考」についてご説明します。

複眼思考とは、文字通り昆虫の複眼のように、一つの対象を多方向から見る思考法を指します。これは、一つの問題や課題に対して、異なる角度からのアプローチや視点を持ち、総合的な理解や判断をするための方法論として捉えられます。
現代の経営環境は、変化が速く、多様な要因が絡み合っています。このような状況下で、広い視野で事象を捉えることは、極めて重要です。

複眼思考の養い方
それでは複眼思考はどのように養ったらよいのか、個人の意見をお話したいと思います。

複眼思考、さまざまな視点を持つというのは単一的な思考や環境では中々養うことはできません。
では、どのように養うか。結論、私は「合理性を考えず無駄なことをする」ことが必要だと考えます。
例えば、Googleの「20%」制度は成功例として有名です。。これは、従業員に自分の主な業務以外の20%の時間を、自分の興味や専門性を生かして新しいプロジェクトやアイディアに取り組む時間として提供するものです。これにより、異なる背景や専門領域を持つ従業員同士の協力や新しい視点からのアイディアが生まれ、多くの革新的なサービスや技術が生まれてきました。

もし経営者が単に合理性だけで従業員を働かせようと思い100%業務に従事させていたらGoogleが打ち出す素晴らしいサービスやプロダクトは実現していなかったかもしれません。

経営における共感とは何か

複眼思考ともう一つ現代経営の重要な成功要因となるのが共感です。
経営においては、共感力は単なる人間関係の築き方にとどまらず、企業の方針や戦略を形成する上でも極めて重要な役割を果たします。
この能力が高まることで、顧客ニーズや従業員の意見、ステークホルダーの思考をより深く理解することができ、より適切な経営判断を下すことが可能となります。

共感とコミュニケーションに優れるスタバの事例
スターバックスは、顧客との深いコミュニケーションを実現させるための取り組みとして2012年から「My Starbucks Idea」というプラットフォームを開始しました。

このプラットフォームでは、「お客様と共にブランドを創る」をコンセプトにスタートし、顧客からのアイディアやフィードバックを直接受け取り、それを基にサービスや商品の改善を行っていました。経営者が直接顧客の声に耳を傾け、共感することで、企業としての方向性をより顧客中心にシフトさせているのです。

また顧客に共感し信頼やブランドを構築することでさらなるメリットがあります。それは働き手の採用も有利になるという点です。特に日本の飲食店経営における大きな課題に人材不足があります。
スタバのアルバイトの倍率が5倍以上と非常に高い人気を誇っており、働き手もまたスタバのファンであることが特徴です。

このような共感を基盤とした経営は、顧客ロイヤリティの向上やブランドの価値向上に繋がり、経営の持続と成長をもたらす鍵となります。


最後に

今まで書いてきた通り、現代経営の重要要素の一つとして、複眼思考、共感のような人間中心のアプローチです。

共感をもとにした顧客理解は、サービスの改善だけでなくファンとなる顧客を増やしまし、複眼思考を持てば、さまざまな角度からの視点を取り入れることで、柔軟かつクリエイティブな経営判断ができます。

「デザイン・共感と複眼思考」を組み合わせ、より自社だけでなく取り巻く環境を良くしていくことが現在、そしてこれからの経営に求められると考えます。

わさび
栗山



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