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出産、育児…情緒不安定な日々【第2話】

 結婚して名古屋で暮らし始め、長女を出産。よくある話かもしれませんが、初めての子育ては私にとって負担の大きいものでした。実家は岩手県と遠く離れており、名古屋に知り合いはほとんどいなかったため気の置ける友達も近くにいない。当時の旦那さんは出張が多く留守にしがちで、子どもの世話を手伝ってもらうことも満足にできず、ほぼワンオペ育児…。いつも体調は悪く、精神的にも不安定でした。

 子育てをするまでの私は、社会に出て労働の対価としてお給料をもらい、仕事ができるようになれば上司からもそれなりに認められ、「私、成長してるな」「大人になったな」と、外側にある何かから認められることで自分の価値を見出していました。

 それが子育てでは一切得られない。やってもやっても報われない。「よく頑張ってるよ」と、誰からも労いの一つも言ってもらえない。子育てに終わりはないのに「いつ終わるんだう…」と思いながら満身創痍になって、虚しさを覚えることが度々ありました。「私って一体、何の価値があるんだろう?」こんなふうに感じることも、少なくありませんでした。


 子供がちょっと成長してくると、ママさんたちとの付き合いが出てきます。当然、ママさんたちにもいろんな人がいるわけですが、“子どもたちを仲良く遊ばせること” が主体になるので、どうしても「平和に仲良くしなきゃいけない」という雰囲気になります。だからそういった場でも、「自分を出すのはやめておこう…」と思いがちで、当たり障りのない応対をしていたように思います。


 本当は家にいたい。一人で過ごす時間が欲しい。でも子どもが友達を作ることを阻害したくはないし、楽しく過ごせる時間を設けてあげたい。だからちょっと自分が無理をして、出かけていく…。

 こうした日常の積み重ねで、より一層「私、こんなふうじゃなかったのに…」と、外側の自分と内側の自分に乖離を覚え、一種の葛藤を感じていました。

 さらに、私自身が子どもの頃に鍵っ子だったため、「子どもが小さいときは一緒にいてあげた方が、子どもの情緒のために良い」という経験から作られた理想がある反面、「早く自由なりたい…!」と思っている自分もいて、別の種類の葛藤も感じていました。

 今だから笑えることもたくさんありますが、似た経験をされている女性は多いと思います。子育てで得た幸せはもちろんたくさんあります。でも振り返れば、葛藤だらけの30代(笑)。PMS(月経前症候群)の症状にも悩まされ、処方される薬を服用していた時期もあります。「私って何?私の価値って何?」と、内側に悶々とした想いを抱える日々でした。

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