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「あなたが無事な世界が正しい」 ここは、観客不在の日常記録。 有益な情報はありません。

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「いつか富士山登ってみたいんだよね」

「いつか富士山登ってみたいんだよね」 「えーじゃあ一緒に行こうよ」 父と学生時代そんな話をしていた。 あれから数年経ち、富士山登頂を決行。 帰ってきてから、 父と…

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9か月前
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ラストダンスへの敗北

好きな本を聞かれて「アシモフが好き」と答えた人がいた。 その世界に潜らないと出てこないアシモフという名前。その名前を聞いて「古典SFですね!」と盛り上がれる人が一…

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1年前
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火山島にて

三宅島へ一人旅をした。 2016年神津島ぶりの伊豆諸島。 船旅が好き。窮屈な空が一気に開ける。 東京の煌びやかな夜景は徐々に遠ざかり、船は真っ暗で静まり返った海の上に…

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1年前
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「人生1回だしさ」

過去のわたしは、人間関係の終焉から逆算をすることが悪癖だった。 自分の意図しない、突然降りかかる理不尽な終焉に耐えられなかった。 半身をなくしたような感覚になり…

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1年前
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幻の燈台に向かって

週に一度、仕事が終わる一時間前にYさんとzoomカンファレンスをしている。 実際にお会いしたことがあるのは2回ほど。 集合研修に参加したときの講師がYさんで、なんとなく…

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1年前
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子離れ

わたしの両親は、お互いのことを名前で呼ぶ。さちこ。健ちゃん。 そのことが、いろんな家族の在り方がある中で、決して当たり前のことでないことを最近知った。 「結婚し…

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1年前
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わたしは死んだらダイヤモンドになるらしい

「もしあの時に戻れるなら、自分は結婚しないことを選ぶと思う。」 「人は変わるから。良くも悪くも。」 「相手を選んだ若い時の自分の価値観が、歳を重ねても同じとは限ら…

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1年前
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「いつか富士山登ってみたいんだよね」

「いつか富士山登ってみたいんだよね」

「いつか富士山登ってみたいんだよね」
「えーじゃあ一緒に行こうよ」
父と学生時代そんな話をしていた。

あれから数年経ち、富士山登頂を決行。

帰ってきてから、
父と富士山行ってきたんですよ〜と職場の先輩方に報告すると
「ああそれは親孝行だね、お父さんきっと嬉しかったでしょう」と言われ。

とはいえ、娘のわたしからしてみると、父が嬉しがっていたとはあまり思えなかった。

誘った時も、「まあそういう

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ラストダンスへの敗北

ラストダンスへの敗北

好きな本を聞かれて「アシモフが好き」と答えた人がいた。

その世界に潜らないと出てこないアシモフという名前。その名前を聞いて「古典SFですね!」と盛り上がれる人が一体どれだけいるだろうか。
「本が好き」という言葉には様々な深さのグラデーションがあるように思う。わたしは自分の「好き」の世界を最初から全開で人と話すことに抵抗がある。「ゲーテが好き」と言っても古典に興味なければ「???」だし、読んでいた

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火山島にて

火山島にて

三宅島へ一人旅をした。
2016年神津島ぶりの伊豆諸島。

船旅が好き。窮屈な空が一気に開ける。
東京の煌びやかな夜景は徐々に遠ざかり、船は真っ暗で静まり返った海の上に浮かぶ。
波風の音と、船の汽笛だけが聞こえる時間。
気張らずにいることを許してもらえるような時間だ。

まあほんとうは、一人でインドに行きたかったのだけれど、紆余曲折があって三宅島になった。

2016年の神津島は、部活が嫌になりす

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「人生1回だしさ」

「人生1回だしさ」

過去のわたしは、人間関係の終焉から逆算をすることが悪癖だった。

自分の意図しない、突然降りかかる理不尽な終焉に耐えられなかった。
半身をなくしたような感覚になり身体が動かなくなる。身体から心を離し、しばらく世界との付き合い方を忘れる。

そんな衝撃から少しでも逃れたくて、逆算をした。
終焉を仮設定し、それが訪れるまでの時間、悔いが残らないように、そしていつ終わってもわたしの心身が耐えられるように

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幻の燈台に向かって

幻の燈台に向かって

週に一度、仕事が終わる一時間前にYさんとzoomカンファレンスをしている。

実際にお会いしたことがあるのは2回ほど。
集合研修に参加したときの講師がYさんで、なんとなくこの人ともう少しお話してみたいと思い、わたしからお声がけさせていただいた。

突き抜けて明るいように見えて、個として人と関わることを避けてるみたいな、なにか背負ってる変わった空気の人だな、というのがYさんの第一印象だった。

今と

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子離れ

子離れ

わたしの両親は、お互いのことを名前で呼ぶ。さちこ。健ちゃん。

そのことが、いろんな家族の在り方がある中で、決して当たり前のことでないことを最近知った。

「結婚してすぐはお互い名前で呼んでましたけどね。子どもが出来てからは、お互いにパパママ呼びになっちゃった。だから俺もう何年も嫁の名前口にしてないです。」
わたしの髪を染めながら美容師さんは言う。

確かに、弟はわたしのことを「お姉ちゃん」と呼ぶ

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わたしは死んだらダイヤモンドになるらしい

わたしは死んだらダイヤモンドになるらしい

「もしあの時に戻れるなら、自分は結婚しないことを選ぶと思う。」
「人は変わるから。良くも悪くも。」
「相手を選んだ若い時の自分の価値観が、歳を重ねても同じとは限らないわ。」
「人として、とても魅力的だと思う。良い母になると思う。けれど女として見れない。」

すべて結婚歴がある諸先輩方からの言葉だ。
結婚について経験者から話をきくと、ああこの人とでなければ、という後悔や、これからの人生への諦めの言葉

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