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アメリカとイギリスのプルーフ(アルコールの強さの単位)の違い

■プルーフとは

ウイスキーに書いてある「プルーフ(PROOF)」って何だ? | 記事編集 | note

プルーフについて超訳すると、以下のことが言えます。

◇プルーフとは?

・アルコールの強さを表す単位。

・米国プルーフは、その値を1/2にするとアルコール度数となる。

・英国プルールは同じ値なら、米国のそれより少し高いアルコール度数となる。

今回は、「アルコール度数」と「プルーフ」について、マニアックに掘り下げてみたいと思います。


■アルコール度数って?

そもそもアルコール度数って、どういうことでしょうか?
(なんか、一休さんの質問みたいですね。)

一般的に、缶ビールや缶チューハイ、ウイスキーのボトルなどに表記されているアルコール度数は、「%」もしくは「度」で記載されています。

これは、

その容量(液量)全体の中に、

(純アルコール換算した場合の)
 アルコールが、どのくらいの容量割合
 入っているか?

ということです。


■演習①純アルコールは何ml?

◇問題
サントリー生ビール 500ml缶
(アルコール度数 5%)
 ↓
純アルコール換算で、アルコールは何mlが入っているでしょうか?

◇答え
500ml × 0.05 = 25ml

サントリー生ビール500ml缶には、純アルコール換算で25mlのアルコールが入っている、ということになります。

これは「5%(5度)」が「容量の割合」なので、計算が簡単です。

では、次はもうちょっと難しい応用問題です。


■演習②純アルコールは何g?

◇問題
サントリー生ビール 500ml缶 
(アルコール度数 5%)
 ↓
純アルコール換算で、アルコールは何gが入っているでしょうか?

答えの前に、スペシャルヒントです!

◇アルコール(※)の比重

アルコールの比重      = 約0.8
 ⇒ アルコール1mlの重さ =  0.8g

※ エタノール/エチルアルコール/酒精

アルコールは、水よりも軽いということです。

そして、答えです。

◇答え
500ml  ×  0.05 = 25ml
25ml × 0.8  =  20g

つまり、サントリー生ビール 500ml缶(Alc.5%)の中には、アルコールは
「25ml(容量)=20g(重量)」
が含まれていることになります。

ちなみに、アルコール重量=20gは、厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」の「節度ある適度な飲酒量」の1日の量です。
(ただし、一般的に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いので、男性の1/2~2/3程度が適当と考えられています。)

適量ってどのくらい?|DRINK SMART お酒の正しい付き合い方を考えよう|サントリー (suntory.co.jp)

話を戻して、ヨーロッパではアルコール度数について、古くから重量割合が採用されていたようです。

これが、英国プルーフと、米国プルーフとの違いの大元の要因となっています。


■定義のベースが違う米国式と英国式

◇米国プルーフの定義
 ⇒ 容量割合が定義のベース

 設定条件:華氏60度(摂氏 約15.6℃)


《米国100プルーフ》
純粋アルコール50%を含むものを標準プルーフ(=100proof)とする
 = 純粋アルコール:200プルーフ
 = 純水     :0プルーフ

◇英国プルーフの定義
 ⇒ 重量割合が定義のベース

 設定条件:華氏51度(摂氏 約10.6℃)

《英国100プルーフ》
同容量の蒸留水の12/13の重さを有するスピリット(=酒精)をプルーフスピリッツ(=100proof)とする。
 = 12/13の重さのスピリッツ
 = 比重0.923のアルコール水溶液
 = 容量率57.1%のアルコール水溶液
  (Alc.57.1%)

 = 重量率49.28%のアルコール水溶液

◇100プルーフのアルコール度数(容量比)
・米国100プルーフ = Alc.50%
・英国100プルーフ = Alc.57.1%

《参考》ウイスキーコニサー資格認定試験教本
2018 上 P140 (ウイスキー文化研究所:発行)


うーむ。算数の苦手の私には難しい・・・

まー、
「米国のプルーフはアルコール度数の2倍」で、
「英国プルーフはそれよりも、もうちょっとアルコース度数が高い」
ということです!


■(番外編)ビールの酒質の測定方法

ビールも今は糖度やアルコール度数が、計器によって測定できますが、そういったものができる前に、ビールの本場ドイツではどのように「酒質を判断」していたのでしょうか?

ちなみに、ビールのアルコール度数では火は付かないです。

なので、スピリッツのように火が着くかどうか(プルーフ)で、酒質を判断することはできません。

ここで登場するのが、醸造酒の特徴のひとつでもあるエキス分です。

醸造酒のビールには、蒸溜酒のウイスキーと異なり「エキス分」があります。
(蒸溜酒では、蒸溜の際にエキス分は取り除かれます。)

このエキス分、重量比ではビールの中の3%程度ですが、ビールの風味を決める重要な成分です。
そして、このエキス分には酵母が分解できなかった糖類が多く含まれているので、それ自体はベタベタした粘性の強いものとなっています。

ビールをこぼすとベタベタするのは、こぼしたビールの表面が空気に触れて一気に水分が蒸発し、結果的に蒸発しないエキス分が残って糊状になるからです。

そこで、中世のドリツのビールのツンフト(同業者組合)では、この「こぼしたビールのベタベタ」を活用した品質チェックを行っていたそうです。

◇ツンフトでのビール品質鑑定試験

①鹿皮のズボンをはいたビール鑑定官3人が、醸造所を訪問。

②いきなりビールを木のベンチにぶちまける!

③鑑定官がそのベンチに座り、ビールを試飲。(これが品質チェック!?

④一定の時間、ビールを試飲したら、3人が一斉に立ち上げる。

⑤この時、鹿皮のズボンとベンチが貼りついていたら検査は合格

⇒エキス分が豊富なきちんとしたビールと認定!
⇒試飲する必要あったんかーい!!

不合格の場合、このビールは廃棄しないといけなかったので、この鑑定を見守る醸造家も、さぞ緊張したことでしょうね。

そして鑑定官の方も、試飲中はお尻を動かしたするのはNGで、そうなるともちろんトイレに行くのもご法度だったそうです。

トイレに行ってはいけないビール試飲会、なかなか大変・・・

最後は、プルーフとは関係のない、ビールのお話になってしまいました。

次回も、もう少しアルコール度数についてのお話です!

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