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クラフトのお酒ブームの中で、なぜジンは特に流行っているの?《ジン②》

■クラフト・ジン人気の理由とは?

最近、ジンに限らず、クラフトのお酒が流行っていると、前回ご紹介しました。

その中でも、特にジンは人気が急上昇しています。
なぜでしょうか?

私チャーリー的には、以下の2つの理由があると思います。

◇クラフト・ジンが人気な理由

 《理由①》ウイスキーブームだから
 《理由②》特色を出しやすいスピリッツだから

それぞれについて、解説してみたいと思います。


■《理由①》ウイスキーブームだから

これは、以前にもご紹介した内容になります。

現在は、日本でも、他の世界各国でもウイスキーブームです。
そのウイスキーブームを受けて、新規の蒸溜所が、これまた日本でも、他の世界各国でも、次々と開設されています。

そして、ウイスキーは「木樽」で、通常は3年以上熟成させなければなりません。

その木樽熟成によって、蒸溜したては透明だったウイスキーの赤ちゃん(ニューポッド)が、魅惑的な琥珀色へと、色付くのです!

ウイスキー 琥珀色の正体|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

でも、繰り返しになりますが、ウイスキーは3年以上の熟成が必要なため、その3年間はキャッシュが入って来ないという、致命的にキャッシュフローの悪いビジネスです。
(その分、参入障壁が高いとも言えますが。)

土地を見つけて、
工場をつくって、
設備を買い入れて、
従業員を雇って、
麦芽などの原材料を仕入れて、
ウイスキー原酒をつくって樽に入れて・・・

こんだけのことをやっても3年間は、売上ゼロ
普通の会社なら潰れますよね。

サントリーは赤玉ポートワインで稼いだ利益を投入して、ウイスキーづくりに参入しました。

ニッカ(=大日本果汁)は、りんご果汁を売った利益で、ウイスキーづくりに参入しました。(りんご果汁は、あまり売れなかったようですが・・・)

現在は、熟成の必要のない『ジン』を、ウイスキーが熟成するまでのビジネスとして採用するクラフトウイスキーメーカーが多いのです!

つまりジンは、ウイスキーよりも『現金化しやすい』わけです。

そのため、

ウイスキー人気 → クラフト・ジン人気

という流れになるのです。

そのクラフト・ウイスキーづくりをはじめるにあたり、

「まずはクラフト・ジンを発売しとこっか」

というロールモデルをつくったのが、スコットランドのストラスアーン蒸溜所です。

このストラスアーン蒸溜所は、それまで慣例的に認められてこなかった「2,000L以下の小さな蒸溜機」をロビー活動によって当局に認めさせて、スコットランドのクラフト・ウイスキー蒸溜所の第1号となった、気合の入っている蒸溜所です。

法改正までのパッション! 世界で急増、クラフト蒸溜所!!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

で、このストラスアーン蒸溜所を見学して、

「こんな小さい蒸溜所でウイスキーをつくることができるなら、ウチでもできるんじゃね?」

と、同じ形状のポットスチル(本来はブランデーをつくるときに使用することが多いタイプ)を導入して、2016年にウイスキーづくりをはじめたのが、長濱浪漫ビール=長濱蒸溜所です。

長濱浪漫ビールウイスキー - 長濱浪漫ビール (romanbeer.com)


ただ、そういうジンを発売するクラフト・ウイスキー蒸溜所が多い中、ウイスキー専業でやっているところもあるので、私のようなウイスキー愛好家は、そういった蒸溜所に「グッと来ちゃう!」というわけなのです。

ジンはつくらない! ブレないウイスキー愛『イチローズモルト』|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)


■《理由②》特色を出しやすいスピリッツだから

ジンは、ほかの有名スピリッツに比べて、特色を出しやすいです。

なぜ特色を出しやすいかというと、その理由も2つあります。

◇ジンが特色を出しやすい理由

 ① ベーススピリッツが自由
 ② 入れて良いボタニカルが自由

①    ベーススピリッツが自由

例えば、テキーラなら竜舌蘭、ラムなら糖蜜を、原料としなくてはいけません。

しかし、ジンのベーススピリッツには、原材料の規定はありません。
なので、大麦でも、小麦でも、米でも、様々な原材料を使用することができます。

そして、大麦を使って良いので、ウイスキーづくりと親和性が高いわけですね。
ウイスキーのニューポッド(蒸溜したての透明なアルコール度数の高い液体)を、そのままジンのベーススピリッツとして使うことができるからです。

でも、そのベーススピリッツの原材料に縛られないのは、ウォッカも一緒です。

ウォッカも、色々な原材料を使用することが可能です。

例えば、サントリーのクラフト・ウォッカHAKUは、国産米が100%となっています。

ジャパニーズクラフトウオツカ HAKU <白(ハク)> サントリー (suntory.co.jp)

日本酒を作った時の酒粕を有効活用するというSDG’s的な見地から、粕取焼酎を、ベーススピリッツに使っている蒸溜所もあります。

酒粕を活用してジンを造るエシカル・スピリッツ─捨てられてしまうものから新たな価値を見出す【日本酒とサステナビリティ】 | 日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」 (sake-times.com)

では、クラフト蒸溜所がつくるのは、なぜウォッカでなく、ジンが多いのでしょうか?

これは②へ繋がります。


②   入れて良いボタニカルが自由

ウォッカは、かなり高いアルコール度数まで蒸溜したお酒を、さらに木炭でろ過した、『すっきりとした味わい』が、特徴です。

そして、ウォッカは「すっきりとした味わい」が特徴のため、その反面『特色を出しずらい』という側面があります。

一方でジンです。

◇ジン
ベーススピリッツに、ボタニカルのフレーバーを添加したもの。

※ ジュニパーベリーの使用は必須

言ってしまえば、ジュニパーベリーさえ入れてしまえば、

あとのボタニカルは自由!
クリエイティビティが刺激されるぜ!!

というわけです。

私の好きなクラフト・ジンでは、こんな感じ↓

◇ボタニスト
(アイラ島:ブルックラディ蒸溜所)
アイラ島で手摘みされた22種のボタニカルを使用。

◇ROKU
(日本:サントリー)
日本を象徴する6種のボタニカルを使用。

◇PACHI PACHI パチパチ
(愛媛県:近藤酒造)
愛媛県内のJAなどとコラボして愛媛県産の温州みかんを使用。

逆に、超渋く、「必要最低限のものしか入れません」というスタイルもあります。

◇ハイト オブ アローズ ジン
(アイルランド:ホーリルード蒸溜所)
ジュニパーベリーの他には、スカイ島産シーソルト、天然蜜蝋のみ。


■こういうわけで

クラフト・ジンが人気なんだと思います。

◇クラフト・ジンが人気な理由
そもそもクラフトのお酒が人気ではあるが、特にジンは・・・

《理由①》ウイスキーブームだから
    → ジンは現金化が早いから

《理由②》特色を出しやすいスピリッツだから
    → ベーススピリッツが自由だから
    → 入れて良いボタニカルが自由だから

ただ、現在の日本のジンブームは、クラフト・ジンからの流れだけではなく、もう一つの流れ『翠ジンソーダ』からの流れがあると思います。

◇日本でジンがブームになっている背景
 《理由①》 クラフト・ジンからのブーム
 《理由②》 翠ジンソーダからのブーム

これについて、次回、ご紹介させていただきます!

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