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日本が世界に誇るプレミアム・ジン ROKU 《ジン⑬》



■イングランドのジンの後は・・・

前々回は「ワンショット」にこだわる『シップスミス』、前回は「ロンドン・ドライジン」のカテゴリーに入るのにはこだわらない『ヘンドリックス』をご紹介しました。

ワンショットへのこだわり! 新進気鋭のシップスミス 《ジン⑪》 | 記事編集 | note

プレミアム系クラフトジンの開拓者「ヘンドリックス」《ジン⑫》 | 記事編集 | note

これらは、ジンの本場英国産なので、今回は日本産の中で、一番売れているプレミアム・ジン『サントリーROKU』についてご紹介します。


■なぜROKUというの?

これは、ジュニパーベリーなどのベーシックなボタニカルの他に、『6種類の和素材』のボタニカルを使っているので、ROKU=6=六という名前になっています。

ちなみに、6種類の和のボタニカルは、すべて国産はもちろんのこと、「日本の四季」も表現していて、春夏秋冬それぞれの「旬」の中で、最も良い状態になったものを収穫して使っているそうです。

■春
①八重桜(小田原産)
②大島桜の葉(伊豆産)

■夏
③煎茶(鹿児島産)
④玉露(京都宇治産)

■秋
⑤山椒の実(和歌山産)

■冬
⑥柚子の皮(四国産)

特に、桜については、開花期間が非常に短いため、天候や気温を日々見極めながら、農家さんと「一瞬ともいえる旬」を逃さずに収穫しているのだとか!

『旬』って、四季を愛でるようで、極めて日本っぽくて、グっときますね!!


■ROKU 製法のポイント

ROKUの製法では、サントリーが伝統的に得意とする2つの技術が使われています。

◇ROKU 製法のポイント
 ① 浸漬技術
 ② ブレンド技術

◇浸漬技術

梅酒や、抹茶・桜といったリキュール製造で、長年培われてきた技術。
このボタニカルを浸漬したスピリッツ(浸漬酒)を、100年以上(※1)にわたって継承されてきた蒸溜技術で蒸溜している。(※2)

※1 スピリッツ製造工場であるサントリー大阪工場は、1919年に開設。
※2 ROKUは、ジンの製法としては浸漬法ということになります。

  浸漬法とヴェイパー法の違いはこちら↓
ジンの香りづけ 2種類の製法 《ジン⑧》|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)


◇ブレンド技術

これは言わずと知れた、サントリーのお家芸:ウイスキーと直結する技術。
サントリー創業者:鳥井信治郎から、現在へ連綿と受け継がれる高度なブレンド技術です。


この「浸漬技術」と「ブレンド技術」が、存分に発揮されているのがROKUなのです!


■ROKU 具体的な製法

◇ROKUの具体的な製法
① ジュニパーベリーを中心とした、オーソドックスなジン原酒をつくる。

② 6つの和素材を使った、和のボタニカル原酒をつくる。

③「ジン原酒」と「和のボタニカル原酒」をブレンドして完成!

ここで、「んっ!?」と思った方は、超マニアです。

最後に原酒をブレンドしているので、ROKUは「ロンドン・ドライジン」とは、名乗れません。

ロンドン・ドライジンとは↓
これを知っていればGIN通! 3つのカテゴリー分類方法《ジン⑥》|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

あくまで「日本の四季を表現したプレミアム・ジン」をつくりあげるため、EUのジン規定で、一番基準の厳しい「ロンドン・ドライジン」には、こだわらなかったのです。

この「ロンドン・ドライジンのカテゴリーに入ることにこだわらない姿勢」は、前回記事のヘンドリックとも似ていると思います!


■ROKU もっと具体的な製法《ジン原酒》

ROKUは、それを構成するジン原酒づくりにも、マニアックすぎるくらいこだわっています。

どういうことかと言うと、ジン製造において、ボタニカルをスピリッツに漬け込んで再蒸溜する場合、通常は1回の蒸溜で行います。

ROKUは、銅製のポットスチル(ロンドンの名門メーカー:ジョンドアー社製)で、まずジュニパーベリーを漬け込んだスピリッツを蒸溜します。(一次蒸溜/再蒸溜)

その一旦蒸溜したジン原酒に、さらにコリアンダー以下のベーシックなボタニカルを漬け込んで、もう一回蒸溜するのだそう!(二次蒸溜/再々蒸溜)

この時点で、立派なドライジンの完成です!!
(これだけで、商品化してくれないかな?)

この二次蒸溜までした立派なドライジンを、あくまでジン原酒としてブレンドに使うとのこと。

どんだけ、贅沢な製法なんだ!っちゅう話ですね。


■ROKU もっと具体的な製法《和のボタニカル原酒》

一方で、和のボタニカル原酒の製法です。
実は、こちらは、ボタニカルによって蒸溜器を使い分け、メインとして「2つの和のボタニカル原酒」をつくっているのだそうです。

◇「和のボタニカル原酒」の製造に使う蒸溜器

①銅製ポットスチル
 モルトウイスキーと同じで、銅素材が嫌な香りを取り除き、一方で銅がアルコール蒸気と反応してより複雑な香りを引き出します。

②ステンレス製ポットスチル
 焼酎などに用いられる減圧蒸溜できるポットスチルを使用。減圧蒸溜することで、すっきりとした酒質のスピリッツがGETできます。


■そしてブレンド

こうして、6種類の和のボタニカルごとに最適につくり分けられた
「銅製ポットスチルの和ボタニカル原酒」
「減圧蒸溜器の和ボタニカル原酒」

は、
再々蒸溜によってつくられた
8種のトラディショナルなボタニカルの「ドライジン原酒」
と、高度なブレンド技術によってブレンドされ、
日本の四季を表現したクラフトジンROKUが誕生するのです!

日本の春夏秋冬の四季のボタニカルにはじまり、超こだわりの製法。
ROKU、まじでハンパない!!


■ROKUの現在地と将来

プレミアム・ジン市場で2位のROKUを、1位のヘンドリックスを比較してみます。

◇$30以上のプレミアム・ジン市場(2021年)

◾️ヘンドリックス
<売上順位>             1位
<2021年販売量>   125万ケース

◾️ROKU 
<売上順位>      3位
<2021年販売量>    34万ケース

IWSR2022(2021年1~12月データ)

ヘンドリックス、すごっ!

でも、成長率を↓を見るとなかなか、ROKUも健闘しています。

          発売年  年平均成長率
■ヘンドリックス  1999年    7%
■ROKU        2017年   128%

2017年に発売して、すでに世界2位!
そして、近年も爆上げ中!!

実は、売上のほとんど(9割以上)を海外で販売しているそうなので、日本での伸びも期待できそうですね。

ROKU、今後が楽しみです。

今夜の晩酌は、翠ジンソーダじゃなくて、ちょっとリッチにROKUソーダにしよっと。

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