見出し画像

これを知っていればGIN通! 3つのカテゴリー分類方法《ジン⑥》

■そもそもジンとは?

すでに5話にわたって、「GIN=ジン」についてお話ししてきましたが、そもそもジンとはどういうお酒なのでしょうか?

ジンは、一般的には下記のように説明されます。

◇ジンとは(一般的には)
ベースとなるスピリッツ※1に、ジュニパーベリーをはじめとして多様なボタニカル(草根木皮)を加えて香りづけしたお酒。

※1 ベース・スピリッツの原材料に指定はない。

また、ジンの定義についてはEUの規定に基づいて語られることが多いです。
その規定は以下の通りです。

◇ジンとは(EUの規定)
アルコール※2に、ジュニパーベリーを主とする香り※3を加えた、アルコール度数37.5%以上のもの。

※2 農作物由来のエチルアルコール。
※3天然および人工の香料を使用し、ボタニカルのジュニパーベリーの使用は必須。

ちなみに、アメリカではアルコール度数40%以上(ウイスキーと一緒)という規定となっていて、少し異なります。

日本では、酒税法以外の細かな規定がありません。

◇ジンとは(日本の酒税法上)
スピリッツの1種という位置づけで、明確な法律上の定義や分類はない。

(ジンは、ウォッカやテキーラとともにまとめて“スピリッツ”に分類される。)

<4D6963726F736F667420576F7264202D20303034308EF090C5964082C982A882AF82E98EF097DE82CC92E88B608B7982D195AA97DE2E646F63> (nta.go.jp)


■ジンの分類

EUではジンの定義とともに、「ラベル表記に関する製法上の定義」があり、3つに分類されています。

◇ジンの分類①(EUの法律上)

① ジン(≒コンパウンド・ジン / バスタブ・ジン)
 いわば梅酒のような作り方。スピリッツにボタニカルを漬け込む!

② 蒸溜ジン=ディスティルド・ジン
 一般的なジンの製法。スピリッツを再蒸溜して、その時にボタニカルの香りを加える。

③ ロンドン・ドライジン
 ②と基本的には一緒。
  ただし、天然ボタニカルのみが使用可能で、再蒸溜後に香料などを添加できないなど、基準が厳しい。

※ ①の基準が一番緩く、③に行くほどに基準が厳しくなります。

これは製法によって3つにカテゴライズしていますが、実は、ジンを語る上で、製法の違いによって、あと2つの分類方法があります。

◇ジンの分類②(再蒸溜でボタニカルの香りを抽出する製法の違い)

① 浸漬法(=スティーピング法)
スピリッツにボタニカルを漬け込んでから、単式蒸溜器で再蒸溜する製法。

② ヴェイパー法(=ヴェイパー・インフュージョン法)
単式蒸溜器(ポットスチル)の上部にボタニカルを入れた「カゴ」を設置。
再蒸溜のスピリッツ蒸気がそのカゴを通過する際に、香味成分が加わる製法。

◇ジンの分類③(仕上げ時に「水で希釈するのみか、どうか?」)

① ワンショット
 再蒸溜後の「ボタニカルのフレーバーがついたスピリッツ」に水のみを加える。

② マルチショット
 再蒸溜後の「ボタニカルのフレーバーがついたスピリッツ」に水以外のスピリッツも加える。

それぞれのジンの説明文では、これらの『ジンの分類①②③』のフレーズが入り混じって使われるので、ジンというものはちょっとわかりにくくなっています。

ただ、そんなに難しい話ではなく、一度、覚えたら忘れない内容なのでご紹介させていただきます!


■ジン(≒コンパウンド・ジン)とは

まずは、EUの規定による以下3つの「ジンの分類」についてご紹介します。

◇ジンの分類①(EUの法律上での規定)
 ① ジン
 ② 蒸溜ジン
 ③ ロンドン・ドライジン

一番、レギュレーションが緩いジン(≒コンパウンド・ジン)の規定です。

◇ジン
・37.5%以上のスピリッツに、ジュニパーベリーの香りがつけてあればOK!
・ジュニパーベリーの香りは、人工でもOK。
・着色料、砂糖、食品添加物を加えるのもOK。

この分類の中には、ジンの香りづけでは一般的に行われる「再蒸溜」を行わない場合も多いです。

再蒸溜を行わないジンの場合、ベース・スピリッツにフレーバーをコンパウンドする(混ぜ合わせる=コンパウンディング)だけなので、そのような梅酒的なジンをコンパウンド・ジンと呼びます。

また、このコンバウンド・ジンは、バスタブ・ジンとも呼ばれます。

バスタブ・ジンとは、アメリカ禁酒法時代(1920~1933年)に流通していた密造ジンのことで、その名の通りバスタブで、つくっていました。

この時代、密造が盛んにおこなわれた。名高い密造酒にバスタブ・ジンがある。密輸されるジンは高価過ぎて手が出せない人々は、密造の純度の低い粗悪なスピリッツを入手する。次にジュニパーベリーの代用として、似た香りである松の樹脂から抽出したテレピン油を粗悪なスピリッツに混ぜてジンとした。

18世紀前半のイングランド、ジン・クレイズ(Gin Craze/狂気のジン時代)にはびこった悪酒をよみがえらせたものであり、これを大量につくる者たちがいた。彼らはバスタブの中に入れて混ぜ合わせたのだった。ここから密造ジンをバスタブ・ジンと呼ぶようになったといわれている。

オンドリのしっぽ 第100回 サントリーHP

第100回 ジン、飛翔 ジャパニーズジン翠(SUI) オンドリのしっぽ | Liqueur & Cocktail | サントリー (suntory.co.jp)


■蒸溜ジンとは

もっとも一般的なジンです。

◇蒸溜ジン
・ベース・スピリッツを単式蒸溜器(ポットスチル)で再蒸溜する製法で、ボタニカルの香りづけをしたジン。
・香りづけ方法は、浸漬法でも、ヴェイパー法でもOK。
・再蒸溜後に香料や着色料、砂糖、食品添加物を加えることもOK。

必ず再蒸溜しないといけないので、蒸溜(ディスティルド)ジンと呼ばれます。

ちなみに、ボタニカルごとに再蒸溜してもよく、別々に再蒸溜して香りづけをしたアルコールを、ブレンディッド・ウイスキーのように、ブレンドすることもOKとなっています!


■ロンドン・ドライジンとは

もっとも規定が厳しいジンです。

◇ロンドン・ドライジン
・蒸溜ジンと製法は一緒!
・ただし、ボタニカルは天然モノのみOK。
・再蒸溜後に香料などを加えることはNG。
 (1Lに対して、0.1gの砂糖のみ添加OK)
・ボタニカルごとに再蒸溜するのもNG。

ロンドン・ドライジン、なかなかレギュレーションが厳しいですね!

このロンドン・ドライジンについて、次回、掘り下げてご紹介をしたいと思います!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?