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最初から古さが好まれた変なお酒『ウイスキー』
■ウイスキーは長熟ものが美味しい!?
ウイスキーは、一般的には「長期熟成もの」が美味しいとされています。
そして、木樽熟成では、様々な要素が「熟成」に影響します。
◇木樽熟成に影響を与える要素
・木材の種類
・樽の大きさ
・何度目の原酒の充填か?
・前に入れていたお酒はバーボンか?シェリー酒か??
・熟成環境(温度/湿度、またその変化幅) etc.
木樽熟成もピークがあるので、そのピークを過ぎると
「過熟」=樽からの成分が原酒につきすぎておいしさ半減!
ということになります。
ただ、そういう過熟な原酒がそのまま出荷されて私たちの口に入ることは、まずないですし(例えばブレンドされる原酒の中の1つとして使用する)、我々としては
『長期熟成させたものほど、(高いけど)美味しい!』
と、思ってしまいますよね?
この「超熟ものほど美味しい」という認識は、今にはじまったことではありません。
というか、ウイスキーが市場に流通しだした時に、すでにその「古い方が旨い!」という考えが、広く伝わっていたようです。
■最古のブレンドされたウイスキー
複数樽の原酒がブレンドされたウイスキーブランドとして、最古のものとして知られているのが、アンドリュー・アッシャーさんによる、1853年の「アッシャーズ・オールド・ヴァッテッド・グレンリヴェット・ウイスキー」です。
ちなみに、これはグレーンウイスキーが入っていない、グレンリヴェット蒸溜所のモルト原酒をつかったシングルモルト・ウイスキーとなります。
オイッ!
最古のブレンドされたウイスキーが、シングルモルト・ウイスキーって、どういうことだよ!!
という話ですが、シングルモルト・ウイスキーも、原酒を混ぜ合わせて(ブレンドして)つくります。
これは以前に記事化しています。
シングルモルトウイスキーは、原酒を混ぜ合わせてつくります!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
山崎12年は、山崎18年になれない!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
シングルモルト・ウイスキーとは、
一つの蒸溜所でつくられたたモルト原酒
(コーンとか小麦を使わず、大麦麦芽のみを原材料としてウイスキー)
のみをブレンドしてつくったウイスキー。
ということなんですよね。
いわば、
シングル・ディスティラリー・モルトウイスキー
ということですね!
ただ、「シングルモルト・ウイスキー」は、1つの樽の原酒のみからつくられたウイスキーと誤解されやすいです。
こちらは、シングルカスク・ウイスキー(1つの樽からつくられるウイスキー)と言います。カスク=樽です。
これも
シングル・カスク・モルトウイスキー
と覚えると、頭の中を整理しやすいかも知れません。
■ブレンドの生みの親:アンドリュー・アッシャーさん
ウイスキー原酒を木樽熟成させると、1樽1樽で、熟成に差異が出ます。
それをそのまま瓶に詰めて売ると「この前と味が違うじゃねーか!」というクレームになってしまうので、「毎回、そんなこと言われていたら、かなわんなぁ」と思った、アッシャーさんが、
俺が仕入れているグレンリヴェットの
複数の樽(モルト原酒)を、
混ぜ合わせたら(ブレンド)、
味がブレずに、酒質が安定するじゃん!?
と考えたのです。
これも、以前に記事化しています。
『ブレンディッド・ウイスキー』、はじまりは雑貨屋のオヤジの閃きから!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
アッシャーさんの前にも、
◇パターン①
ちょっとこの原酒の味はドギツすぎるわ!
↓
複数の蒸溜所の原酒を適当に混ぜ合わせた、再現性のないその場限りのウイスキーをつくる。
◇パターン②
ちょっと原価を落としたいな!
↓
若いローランドモルトキーを混ぜて(この場合、希釈するといった感じですね)、原価を抑えたウイスキーをつくる。
といった、いわばブレンドをしたウイスキーはあったそうです。
ただ、アッシャーさんの、「アッシャーズ・オールド・ヴァッテッド・グレンリヴェット・ウイスキー」は、その場限りのウイスキーではなく
・味の均一化
・味の再現性
↓
「ブレンド技術」による、
商品のブランディング化
という点で、画期的な発明だったのです。
このブレンドの発明により、グレーンウイスキーもブレンドされる原酒に加わるようになると、その後にブレンデッド・ウイスキー全盛期が到来します。
有名ブレンディッド・ウイスキーの銘柄は、街の商店発!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)
■最初からオールド?
ここで注目したいのは、ブレンドされた最古のウイスキーブランド「オールド・ヴァッテッド・グレンリヴェット」の『オールド』というフレーズです!
この最古のブレンデッド・ウイスキーのネーミングが、すでにオールド!!
つまりは、この「オールド・ヴァッテッド・グレンリヴェット」が誕生した1853年の時点で、
ウイスキーは
古い=木樽熟成させた方が美味しい!
という認識が一般的に広がっていたわけですね!
他の商品を見渡しても、
◇19世紀後半に発売されていたジョニーウォーカーの当初の商品名(国外向け)
→オールド・ハイランド
◇1795年にアメリカでビーム家が発売した樽詰ウイスキー
→オールド・ジェイク・ビーム・サワーマッシュ
まさに、ウイスキーが「農民が飲む自家製酒」から、「市場経済に流通」し出した当初からオールドのオンパレード!!
基本的には、つくりたてが好まれてきたビールとは、真逆!!
■なんで最初からオールドが好まれたの?
このように昔も今も
長く木樽熟成されたものは、良いウイスキーだ!
と思われています。
では、なぜ人は「古い≒長期熟成」のウイスキーに魅せられるのでしょうか?
次回は、これについてご紹介したいと思います。
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