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暗闇

目の前に広がる暗闇
どんなに目を凝らして眺めても
漆黒の闇にはどんな形もなければ
音すらも聞こえては来やしない。

どうにか辛うじて残っている理性が
じりじりと踏み出そうとする足を
踏みとどまらせている。

振り返れば
数え切れない輝く生活が
背筋を斬り炸いて
正しくなかった決断を
「ありがとう。」の一言で
正当化しようとしている自分の姿が
惨めったらしく佇んでいる。

ただただ幸せに満ち
楽しく笑顔に溢れていた日々が
忙しく積み重なって
過ぎ去っていた。

それが俺の全てだったんだ。
その中には
俺の知らない君はいなかったし
君の知らない俺もいいなかったはず。
いつも、いつだって
優しい笑顔と互いの思いやりの心で
過ごしていたはずなのに・・・

多分、シャツのボタンを
ついうっかり掛け違えた位の始まりだったはず。

ほんの小さな小さな些細なすれ違い。

隠していた訳ではなく
言わなかっただけ。

心配をかけたくなかったから
気遣っただけ。

お互いに
物事の全てを託し合っては
生きてはいけないんだ。

全てを知ろうとする事が
全てを失う切っ掛けになり得るのだと
こんな形で学びたくはなかった。

全身全霊で愛している。

と言う絵空事に酔って、くるまって、
人と人、男と女、
得るものと与えるもの、獲物と狩る物
白と黒、陰と陽の二極の理を
二人で踏み外してしまったんだ。

あなたと一緒に過ごしていた
あんあにも居心地の良い
温かく素敵な時間や空間が、
今は、
こんな暗闇と化してしまうなんて、
それは多分、

愛情の深さが闇の暗さに
反比例すると言う
節理なんだろうと思う。

それでも
「ごめんね。」ではなく

だからこそ
「ありがとう。」で締めくくるしか
言葉が見つけられなかったんあだ。

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