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56 おかあさんへ


1年前の今日
私は上司に泣きながらお母さんの状態を話したっけ。

仕事は1年で一番忙しい時期だったけど、上司はすぐに帰って!と言ってくれた。本当に有り難かった。

他のスタッフさんたちに泣き顔がバレないように、チャリを飛ばして新幹線に飛び乗ったよ。


1年前の今日
お母さんはもう車椅子で、それに手が痺れてご飯が作れなかったから、私がご飯作ったね。
野菜炒めしょっぱいな、なんて言われつつ4人で話して、笑い合っていたね。

1年前の今日
この家に、このリビングに、このキッチンに、あなたはいたのに。



この家に戻ってきて丸3ヶ月経ったよ。

でも不思議なんだ。 

元気なお母さんがいる家が何処か別にあるような気がして。

私はこれまでのアパートのように、今も、お母さんがいない家に引っ越してきてるだけで

あなたが住んでいるこの家が、
同じ家が、また別に何処かにあって

そこで何事もなかったかのように

ばあちゃんの世話をして、愚痴をこぼして、大好きなALFEEを聴いて、美味しい栗ご飯をつくってる。

そんな気がしてならないよ。

もしかしたら、心のなかに生きてるってそういうことなのかな。


ちゃぴお、今日はなにしったー?って

彼氏とはどうなの?って

ばあちゃんボケてだめなんだ〜って

いつまでも、話しかけてよ。

お母さんとちゃぴ、生きる世界が変わってしまったけど

あなたの居る、私の本当の実家に
いつか帰れる日が来ると思うんだ

それまで見ててよ。

空からでも私の心からでもいいし
どんな姿でもいいからさ。


家に帰ったときには、
私の人生の話いっぱいするから。

それまでに、そのために、
話、ためておくからさ。

この世界に生んでくれてありがとうって
あなたがくれた人生とことん楽しんでから、

またお礼言わせてね。

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