21 最後の家族旅行
滝に行く前日。
シンプルに、楽しみだった。
明日着る服
頓服、痛み止め
たくさんのクッション
たくさんのタオル
ストローに食具
飲み物も取り揃えて
排泄介助に必要なものも
そして母が好きなCD
車椅子でのおでかけで何が必要かはよくわからない。その分不足がないようにいろいろな物を取り揃えた。
加えて母が、どこかでお弁当を食べたい!というので聞き取り調査。【からあげと卵焼き】 は必須なようだ。
当日、調理担当の私は気合を入れて早起き。
正直、母の状態は良いとは言えなかった。
目眩止めと痛み止めを先に飲んでおき
レンタルした福祉車両に車椅子ごと乗車する。
(前日にリハビリの方から、車椅子への乗せ方や注意点を伝授いただいた。)
母の好きな音楽をかけてドライブスタート!
片道1時間の道。揺れたときの痛みを抑えるために首周りをぬいぐるみでおさえた。
途中の道の駅で駐車。お弁当をたべて休憩しつつ滝へむかう。
結果、母は体調に大きな変化なく滝を見ることができた。
ただこの時点で母の意識は決して、ハッキリしている状態とは言えなかった。
寝ている時間が長く、会話が成り立たない時も増えてきた。
そのせいか滝を見ても、正直嬉しそうには見えなかった。
あれ、期待してたより喜んでない…??
しかし、後日いろいろな知人や看護師さんに滝に行けた話をする姿を見て、やはり行けてよかったのだと安堵した。母のためにも、家族のためにも。
これが、かけがえのない最後の家族旅行になった。
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