見出し画像

ブルガリア医学部卒であることを日本の現場でどう活かすか

『あなたって本当に上司運がいいよね。』
旧友にそんなことを言われた。私もそう思う。

初期研修が始まった初めの1ヶ月。慣れない日本の医療現場、上司との関係。私の目には周りの同期達は本当にうまくやっているように見えた。日本の医学部に行けなかったコンプレックスは自分が思っていた以上に凄まじかった。今なら同期達は要領の良さはあるものの、アンテナを張り巡らせて自分が出来る事を必死に考えながら働いていたんだと冷静に考えることが出来る。当時はブルガリアの医学部を卒業したからできないのか、みなできないのか悩みすぎて視野狭窄に陥っていた。本当に病んでいたと思うし周りにも心配されていたと思う。

そんな私を見かねてか、1人のオーベンが声をかけてくれた。

『君が最新の英語論文をたくさん読んで、最新の情報を他の先生たちに還元する。それだけで君の存在は組織に価値のあるものになると思うよ。』

今の私の師匠だ。師匠は自分自身がストイックだし、私にも妥協を許さなかった。初めは大量の英語論文を手渡されるところから始まって、孫引きの仕方を教えてもらって、ついには自分で論文を検索して師匠とディスカッションする。そんなことを私が働き始めてから数年間繰り返してくださっている。そのおかげで、分からないことがあるとまず英語論文を検索する癖がついたし、それをもとに周りの先生とディスカッションできるようになってきたと思う。扱える情報量も増えつつある。少しずつだけれど、ブルガリア医学部を卒業した私が日本の医療現場で働く価値を少しはあるのではないかと思えるようになっている。

ブルガリア医学部を出た私にしかできないこと。何を還元できるのか。
医師である限り考え続けていきたいと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?