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千葉科学大学で「防災士」を取得しました(取得方法・費用・振り返り)

昨年、防災に興味を持ち、防災士の資格を取得しました。

これからもっと学んでいこうと思っていた矢先、まさか2024年のはじまりがこんなことになるとは思いもしませんでした。

いま能登半島から遠く離れた場所に暮らす自分に出来ることの1つとして、「防災」にまつわる発信をしていきたいと思い、noteをはじめました。

まずは今回、防災士の資格を取得するにあたって、あまりインターネットに詳しい情報がなかったので、取得方法・費用・振り返りについて書きます。つたない文章ではありますが、どなたかのお役に立てれば幸いです。(内容等は変更の可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。)


そもそも防災士とは?

防災士とは”自助”“共助”“協働”を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構が認証した人です。

269,511名の防災士が認証(累計)※2023年11月末日時点

出典:日本防災士機構HP(https://bousaisi.jp/aboutus/)

なんとなく「士」と付くと国家資格かと思いましたが、更新はなく一生使える民間資格です。1997年の阪神・淡路大震災をきっかけに、民間の防災リーダーを養成する目的で2003年から認定開始されました。

それでは、防災士取得までの流れを振り返っていきます。

(1)「防災士養成研修講座」を申し込む

まず日本防災士機構が認証した研修機関が実施する「防災士養成研修講座」に申し込みます。内容は地域特性を考慮しているので、お近くの講座を受けるのがおすすめです。また、地域によっては自治体からの助成金学割があるので、ぜひ該当するか調べてみてください。

2日間みっちり授業なので、私は食事を作らずに済むし、ちょっと温泉に入ってゆっくりできたら〜と思い、観光も兼ねて千葉県銚子市にある千葉科学大学で申し込みました。

他の研修実施機関は6〜7万円したのですが、千葉科学大学は3万円と安かったこと、2004年にできた海沿いの広くて綺麗なキャンパスだったこと、日本初の危機管理学部を有する大学なので防災の専門家ともいえる先生方が揃っていることも決め手でした。

千葉科学大学の「防災士養成研修講座」費用
総額 30,000円
(事前に口座振込)

  • 講習料 18,000円

  • 教本代 4,000円

  • 防災士試験受験料 3,000円

  • 防災士認証登録申請登録料 5,000円

ちなみに私はホテルの費用に充てられる銚子市のふるさと納税を活用して、大学そばにある犬吠埼観光ホテルに宿泊しました。ごはんは地魚やブランド牛を使っていて、とてもボリュームがあって美味しかったです!食事と温泉で疲れを癒して、夜は個室内やラウンジで試験のために勉強する時間も取れて良かったです。

(2)「救急救命講習」を受ける

防災士の取得は、講座と試験を受けるだけではありません。

まず講座を受ける前に「事前学習」「履修確認レポート提出」と消防署または日本赤十字社等の公的機関が主催する「救急法等講習」・「普通救命講習」・「上級救命講習」を受講して、その「修了証」または「認定証」を取得する必要があります。

※講座の日時ではなく登録申請予定月時点で有効な救急救命講習修了証( 5年以内、かつ、その発行者が定めた有効期限内の修了証のもの)が必要です。

千葉科学大学では事前に「救急救命講習」も受講することができました。市区町村の広報にもお知らせがよく出ています。

千葉科学大学の「救急救命講習」費用
総額 2,000円
(当日現金払い)

講師の方とサポートしてくださる危機管理学部の学生さんたちとともに、「救助・救命に関する座学」「三角巾を使った止血法」「AEDの使い方」などを学びました。運転免許を取得したときに教習所の応急救護の講習を受けたことがある方は、イメージが近いのではないかと思います。最後に「救急救命講習修了証」をいただきました。

(3)事前学習をする→「履修確認レポート」提出

講座を申し込んだ数週間後に「防災士教本」「防災士養成講座資料」というテキスト、事前課題の「履修確認レポート」「防災士認証登録申請書」などの書類が送られてきました。防災士に関する記事やYouTubeで「防災士試験対策ブック」というものを持っている方々を見かけましたが、防災士研修センターで受講する方のみのようです。

講座申し込み後に送られてくる「防災士教本」と「防災士養成講座資料」と「履修確認レポート」

「防災士教本」は、380ページ!以前、「防火・防災管理講習」を受けたことがある方は、青い「消防関係法令集」などと同じサイズで少し薄いくらいです。「災害発生のしくみ」「公的機関や企業等の災害対策」などが写真や図を交えながら分かりやすく書かれています。

「防災士養成講座資料」は、当日の講座で使用するスライドがまとまっていました。

「履修確認レポート」は、412問!教本の最初から最後まで読み込むことを目的とした出題になっていて、自分で調べたり考える内容ではなく読み進めながら単語や短文を埋めていく形式でした。講座開催日の12日前が提出期限でした。事前に勉強できるように予定に余裕を持っておくと良さそうです。

(4)「防災士養成研修講座」を受ける

千葉科学大学での防災士養成研修講座は、 1日目は講義及び演習、2日目は講義及び防災士資格取得試験という形で、朝から夕方まで座学を受けたり、「避難所運営ゲーム(HUG)」をしました。

スケジュールは下記の通り。休憩時間にも資料や問題を配布されて、最後には試験、学生時代にもこんな2日連続で大変な授業は受けたことがなかった気がします・・!

出典:令和5年度 日本防災士機構「防災士」養成講座(千葉科学大学リンク)https://www.city.choshi.chiba.jp/shisei/page0401_00035.html

今回は定員80名、大学の授業のように階段教室で手元に「防災士養成講座資料」を開いて、プロジェクターを見ながら講義を聞くスタイルです。

持っていくのに必須〜おすすめなもの

  • 教材一式

  • 受験票

  • 筆記用具(鉛筆またはシャーペン、ボールペン、消しゴム、蛍光ペン等)

  • ひざ掛け、羽織るものなど体温調整できるもの

  • クッション(椅子が硬い)

  • お昼ごはん、おやつ

  • 飲み物(学食は開いていませんが、自動販売機は充実していました!)

  • スマホの充電器

  • めがね(必要な方のみ)

HUGは「Hinanjyo Unei Game」の頭文字を取っています

「避難所運営ゲーム」は、2007年に静岡県危機管理局が企画・開発した防災カードゲームだそうです。今回は7〜8人ごとに分かれて、読み上げ係が「かるた」のようなカードに書いてある「名前」「特性(性別・国籍・持病など)」を次から次へと読み上げて、残りのメンバーでどんどん避難所を案内したり、運営方法を相談して決めていくというものでした。

たとえば、「山田さん、40歳、猫を連れています」「田中さん、70歳、熱があります」「海外の団体旅行客が乗ったバスが来ました」「トイレが詰まっています」「両親とはぐれてしまった子を連れてきました」「タバコを吸いたいのですが、どこで吸えばいいですか?」「13時に布団が20セット届きます」など、あえて息をつく間も無く読み上げられます。

どんな人たちが来るのか分からないためレイアウトを決めきれず、「やっぱり保健室はこうすれば良かった」「あそこに通路を作るべきだった」なんて思うことばかりでした。実際、災害時の避難所運営を考えたら、だれもが精神的にも体力的にも不安定になっているなかで、もっと混乱状態が続いていることは容易に想像できます。こんな特性の人たちが来るかもしれないと、今回のゲームを通して可能性や選択肢を学べて良かったです。

また、普段ご近所の年配の方々と挨拶や世間話をするようなことはあっても、きちんと話し合って、何かを決めたりする機会は極端に少なかったため、今回のように老若男女が混ざり合って取り組むことは新鮮かつ価値ある時間でした。

「防災士養成研修講座」は学長の挨拶で「頑張りましょう!おー!」というアツい掛け声にはじまって、時間の最後の最後まで知識をどんどん詰め込んでいただき、長丁場なものの「よし!頑張るぞ!」と気合いを持ち続けられました。なんだか大学受験のための冬季講習を思い出しました。

(5)「防災士資格取得試験」を受ける

2日目の夕方、一通りの授業が終わると「防災士養成講座修了証」をいただき、数十分後に日本防災士機構が実施する「防災士資格取得試験」を受験しました。

防災士の試験概要

  • 50分間(途中退出可。10〜15分くらいで退出される方も多かったです)

  • マークシート・三者択一形式

  • 全30問

  • 出題範囲:該当年度 防災士教本掲載内容

  • 合格基準:8割以上(24問)の正解で合格

問題は回収され、模範解答も配布されませんでした。

インターネットや書籍での公式過去問題集や予想模試などの販売もありませんでした。私は不安だったのでKindleで下記の本をダウンロードして、講座前や休憩時間に2周しました。郵送で提出した履修確認レポートも講座当日に返却されたので、1日目の夜に復習しました。実際の試験問題は、2日間の講座はあくまでも補足であって、きちんと防災士教本を読み込んできていることが大前提でした。

試験日から1〜2週間後に試験結果の通知が届きました。点数や解答が書いていないので何を間違えたのか分からないのですが、全問正解の場合は「全問正解」と書いてあるそうです!ちなみにもし不合格でも無料で再受験できるそうです。

(6)合格したら認証登録申請→「防災士認証状」と「防災士証」が届く

試験に合格して「防災士認証登録申請書」「写真2枚」を提出すると、後日、試験結果の通知とは別に「防災士認証状」「防災士証」が届きます。千葉科学大学では「履修確認レポート」を郵送で提出するタイミングで一緒に送付しました。登録には「救急救命講習修了証の両面コピー」も必要ですが、同じ場所で受けたため提出は不要でした。

以上、防災士を取得するには、(1)〜(6)の流れで完了です。日付は私の場合です。

(1)防災士養成研修講座を申し込む 2023年8月23日
(2)救命講習を受ける 2023年9月24日
(3)事前学習をする→履修確認レポート提出 2023年11月27日まで
(4)防災士養成研修講座を受ける 2023年12月9〜10日
(5)防災士資格取得試験を受ける 2023年12月10日
(6)合格したら認証登録申請 2023年12月18日 →防災士認証状と防災士証が届く 2024年2月予定

「防災士」の資格を取得してみて

「防災士教本」や「防災士養成講座」の内容は、専門家だけが身に付けるべき知識ではなく、誰もが一般常識として知っておきたいことばかりでした。このテキストは今後、何度も見返すと思います。またコロナ禍を通して避難所運営が変化しているなど日々進化していて、これからも防災について学び続けて知識をアップデートしていく必要性を強く感じました。

以前、受けた「防火・防災管理者講習」は業務上必要な方が多いせいか若い男性の方が多かったのですが、「防災士養成研修講座」や「防災ライセンス講座」は、だいたい男女比率は同じくらい〜男性の方が少し多いくらいで、年配の方々が多かったです。

実際、地震や台風で避難が必要になったとき、避難所の運営が必要になったとき、チカラのある人たちは誰かを救助したり支援物資を運んだり、お料理や子守りが得意な人は避難所運営をサポートしたり、インターネットに詳しい人は情報を収集したり、老若男女あらゆる人たちにそれぞれ自分の特性を活かした役割があります。

天災とは切っても切れない関係の日本において、もっともっと「助けられる人」ではなく「助ける人」が増え、1人でも多くの人たちが助かる社会にしていきたいです。私自身、まわりの友人たちに防災士を取得した話をしたことで、「うちも防災グッズを見直さないとな」「◯◯が足りてなかったことに気付けたよ」と言われたことで、まだまだ学び始めたばかりではありますが、身の回りの大切な人たちを守るためにも積極的に発信したり声を掛け合っていきたいと思っています。また次回以降、防災にまつわることを書いていきます。

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