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読書記録29 『レヴィ=ストロース』

渡辺公三『レヴィ=ストロース』
(講談社学術文庫 1996年 2020年)


脱構築という言葉から遡って、構造主義も知りたいと思うようになった。

深く知ることなどとうていできるはずがなく、まずは通史的に哲学を学びたいと新書やら文庫やらを片っ端から手に入れている。

レヴィ=ストロースって人類学者だったのか?っていうくらい無知。哲学者ではないのか?なんて…。いやそもそも、様々な視点=専門、学問領域から物事を捉える。それが哲学や思想となるというかカテゴライズされるだけというのもようやく気がつく始末…。

さらりと構造主義というものを…。思想というものを…じゃないんだな。簡単に答えなんてあるはずがないのに、ググるように容易に見つけようなんて、お話になりませんでした笑

この本は、歯ごたえがあり。だいぶ読了まで時間がかかってしまった。レヴィ=ストロースも当たり前を疑う。決めつけることを疑う。なによりも、何事にも丁寧に自身で確認をしていく。そんな旅をしてきた人のようだ。

レヴィ=ストロースの様々な著作がどのような過程でどのような内容でといったものが、時系列にほぼ沿って語られていく。

メモや疑問を書き留めながら、読み進めるだけでルーズリーフが30ページくらいになってしまった。気になったところも興味深かったことも多々あるが、以下は自身の備忘録として。

1、偏見のない異文化への理解を訴える文化相対主義をとるレヴィ=ストロース。西欧という唯一の歴史主体を示す自文化中心主義をとるカイヨワの対立。→〇〇史観の対立は今でもあるので、ああ変わらない。なくならないよなと再確認。

2、構造言語学のヤコブソンと、モースの贈与論で展開される交換論の視点から着想を得て政治的な性急な変革とは違った仕方で世界を構成しなおそうとする。→これは、たかだか数世紀しか持続していない一方向からの文明の在り方が反映された価値観や常識を疑う姿勢だ。レヴィ=ストロースは、より抽象度の高さを求め、研究の領域を親族関係から神話へと移していったがその中に不変の特性を見出そうとした。その流れの中でフロイトの業績すら独創的ではないとする。(私はフロイトもよくわからない。不勉強なので要確認!!笑)

3、効率を追求する近代の科学的な『飼い慣らされた思考』と対比されるのが『野生の思考』→私自身、野生の思考というものをとらえきれてはいない。ただAIで一瞬で多様な答えを出してくれるよりも、時間かけてその場にいって聞いて触れて確かめる無駄な移動時間や人との出会いとかがすてきだよなとは思う。

一見優れている、遅れているようにみえるような文化もよくよくみてみると同じような構造から成り立っている。一周も二周もまわって、レヴィ=ストロースの考えは新鮮に感じることができた。

民俗学にも感じたことだが、直接地に足をつけて時間をかけることの説得力に脱帽する。(話はややそれる。私の偏見→地方に入ってくる環境ビジネス、地方創生コンサルはいつもまにやらいなくなる。オシャレでスマートさ。うさんくせえな…なんて)哲学や思想も、そこに生きている人を無視した高尚なものだけになってしまうと、とたんに嘘くさくなっちゃうんじゃないかなと思います。

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