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読書記録58 『泣き童子 三島屋変調百物語参之続』

宮部みゆき
『泣き童子三島屋変調百物語参之続』
(文藝春秋 2013年)


三島屋変調百物語シリーズの三巻目
主人公やその脇を固めるバイプレイヤー。キャラが立ってきてさらに面白くなってきた。

人間は本来、語りたい生き物らしい。
聞いてもらうことで癒される。聞いてもらいたい。聞いてくれる人がいるということは幸せなことだ。
主人公のおちかには、一種救われたい人が集まってくる。
凄惨な話を聞くと、おちかはそちら側へ引き込まれそうになるが周りの人たちによって連れ戻される。
主人公が元々持っていた強さもあるだろうが、人とのつながりが彼女を強くしている。

これは自身の考え、100%偏見であるが心療内科やカウンセラーの方々の噂や内容を聞くと「危険さ」や「うさんくささ」を感じてしまう。
カウンセリングを受けた人を囲ってしまう。カテゴライズする。他の人との繋がりを断つようなイメージすらある。
……話がそれた。おちかの立ち居振る舞いに善い「カウンセリングマインド」を感じただけかもしれない。

6編からなるこの本のなかで一番面白かったのは、「節気顔」だろうか。二十四節気がくるたびに死者の顔になってしまう話。
これもまた、放蕩のかぎりを尽くした男が最期には人の縁やつながりを求める話だった。

おちかの姿と重なる。やっぱり「カウンセリングを受けた人を囲ってしまう。=社会から隔絶する」そんなことは間違っているのではないか??

私が住む田舎で決して潰れない大繁盛している業態が3つあるなと頭に浮かんだ。
それはラーメン屋、セレモニーホール、そして心療内科である。

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