「ファウスト」
ファウスト伝説を現代に置きかえて描いた作品。
ファウストが街を歩いていると二人の男が地図を配っていました。地図には赤い印のある場所が。ファウストはそこへ向かい、いつの間にか不思議な世界へと入り込んでゆきます。その場所でファウストは悪魔メフィストと契約をします。
ファウスト伝説をざっくりとしか知らないので、どこまでがヤン・シュヴァンクマイエルのアイデアなのかがわからなかったのですが、結末はファウスト伝説とは違うのだそうです。
操り人形劇と、生身の人間の劇、そして人間に木彫りの頭をかぶせた操り人間劇、三つの表現が繰り広げられます。ストップモーションアニメもふんだんに使われていて、粘土の固まりがぐりぐりこねこねうごめいて、人間の顔の形になるシーンが好きです。
五月に観た「オテサーネク」と同様のカットがありまして、口元のアップなのですが、なんでなんでしょう、なんとも不安な気持ちになります。迫って来るような、責められているような、迫力と圧力。「ファウスト」でもそのカットは取り入れられていて、どういう意図なのかなと考えたりしていました。ヤン・シュヴァンクマイエルにとって“口”で語りたいこととは。
監督 ヤン・シュヴァンクマイエル
制作国 イギリス/フランス/ドイツ/チェコ
日本公開 1996年
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