たぬきちゃん

フリーライター。 映画の鑑賞ノートをつけてゆこうと思います。

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【ポートフォリオ】

(最終更新 2024/3/1) こちらの記事に足を運んでくださり、ありがとうございます。 大西 知美と申します。 webライター(専業)をやっております。 以下についてまとめてみましたので、読んでいただけると嬉しいです。 ●webライターとしてのはじまり 10代から20代前半の時にSNS(GREE)で小説を書き始め、20代半ばから今に至るまではInstagramとnoteで一投稿1000文字程度で映画や本のレビューを書くようになりました。 その経験を発展させ、20

    • 「『ザリガニの鳴くところ』その感想」

      作・ディーリア・オーエンズ 訳・友廣純  閉じられている本の中身はどうなっているのだろうか。  私は、その瞬間瞬間がページ毎に止まっているのではないかと心配になる時がある。この本は特にその気持ちが強く、あのページで彼女がポーチのベッドで耳をそば立てていないだろうか、淋しさの中で波に囁きかけていないだろうかと考えてしまう。          この作品『ザリガニの鳴くところ』との出逢いは、誕生日プレゼントはなにがいいかと尋ねられ、所望したのがきっかけで二年程前のこと。  読

      • 「緑色の髪の少年」

        戦争孤児となったピーター。 両親が亡くなったと知った翌る日、一夜にして髪の色が緑色に変わってしまう。 町の人々は、ピーターの変化に態度を変えてしまいます。 そんなな中で、少年を引き取ったおじいちゃんと学校の先生は温かく彼を守ろうとします。 なぜ髪の色が変わってしまったのか、そして色の違う鳥が仲間外れにされてしまうように疎外されてゆく少年の姿を通して考えさせられること。 戦争がもたらした悲劇と、戦争をもたらす人間の有り様が描かれているように思えます。 劇中で何度も流れ

        • 「メイドインアビス 深き魂の黎明」

          世界は探索し尽くされ、残る謎はオースに深く深く空いた大穴アビス。 アビスを探検する者を探窟家といい、探窟家たちは色分けされた笛を持ち、その色ごとにアビスに潜れる深度が決められています。 その笛の中で最も深くまで潜れるのは白笛。 その白笛を目指す少女リコと、謎の機械人形レグ、そしてアビスで出会ったナナチの物語。 アニメ放送(第一期)の続きのお話であり、 コミックの4巻、5巻のお話です。 容赦のない描写と綿密な世界観が特徴で、私の大好きな漫画/アニメのひとつです。 アビ

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        【ポートフォリオ】

          「田舎司祭の日記」

          村の若い司祭は体が弱いことを隠しつつ、村人のために身を尽くそうとします。が、村人たちはなぜか司祭をよくは思ってはおらず、冷ややかな態度を取ります。信仰について熱心に説くもなかなか思うような反応は返ってこない。そのやるせなさ。彼はそれらを日記にだけこぼしてゆきます。 久しぶりのブレッソンです。 うまくいかない仕事、次第に体調も悪くなってゆく、散々。 司祭といえどもひとりの人間の子。悩みもまた私たちと同じような匂い。けれども司祭という立場上、人々を救う一助となるべく心を砕きま

          「田舎司祭の日記」

          「母なる証明」

          とある町で女子高生アジョンが殺されているのが見つかり、現場の遺留品からすぐに逮捕されたのはトジュンという青年。彼は記憶することが苦手でついさっき起こったことですら忘れてしまう障害があり、事件のこともなにもわかりませんでした。なにも覚えていないにも関わらず犯人であることを認めてしまったことで、母による懸命の調査が始まります。 インパクトのある冒頭の演出が印象的。 本作より前に撮られた「殺人の追憶」では、捜査の未熟さが取り上げられていましたが、今作でもそれは同様で適当な捜査で

          「母なる証明」

          「サスペリア」

          寒空の下、パトリシアは錯乱状態で精神科医のクレンペラーの元へやってきます。 彼女は自分の所属する舞踏団で、魔女たちによる悪魔崇拝が行われていると訴えかけます。はじめは精神的な疾患による幻想と捉えていたクレンペラーは、彼女の失踪を不審に感じ調べ出すことになります。 徐々に聞き覚えのある名前がちらほらと聞こえ始め、あの「サスペリア」との蝶の様な行き来が私の中で起こり始めました。 ナチスの影が色濃く残った冷戦時代のドイツのひりついた情勢も絡めつつ描かれているのが、アルジェント版

          「サスペリア」

          「ファウスト」

          ファウスト伝説を現代に置きかえて描いた作品。 ファウストが街を歩いていると二人の男が地図を配っていました。地図には赤い印のある場所が。ファウストはそこへ向かい、いつの間にか不思議な世界へと入り込んでゆきます。その場所でファウストは悪魔メフィストと契約をします。 ファウスト伝説をざっくりとしか知らないので、どこまでがヤン・シュヴァンクマイエルのアイデアなのかがわからなかったのですが、結末はファウスト伝説とは違うのだそうです。 操り人形劇と、生身の人間の劇、そして人間に木彫

          「ファウスト」

          「アルファヴィル」

          コードナンバー003レミー・コーションは、人工知能アルファ60に管理されている都市アルファヴィルに潜入。ブラウン教授が作り上げたこの街は、感情を制御され自由な思想が許されていない街でした。レミーの体験を通して、アルファヴィルを覗いてゆきます。 この作品を知ったきっかけは、村上春樹さんの著書である「アフターダーク」に登場するラブホテルのアルファヴィル。 音の響きが気に入っていたのと、感情の自由を奪われた都市の名前をラブホテルに付したというのが面白くて、そこからいつか観てみたい

          「アルファヴィル」

          「息もできない」

          サンフンは子どもの頃の出来事がきっかけになって、大人になった今はヤクザのような暮らしを送っていました。取り立てに行けば人を殴るのは当たり前ですし、後輩たちにもすぐ手をあげます。ある日、通りすがりの女子高生のヨニと口論になったことで二人は出会い、不思議な交流が始まります。 ヨニも、家庭に問題を抱えていて気が滅入るどころではない毎日を過ごしています。 ヨニは思ったことを真っ直ぐに言い放ち、サンフンもそれに応戦しますが、言い負かされてしまったり、喧嘩しながらも友だちのような関係

          「息もできない」

          「ドイツ零年」

          第二次世界大戦後のドイツ。 少年エドモンドは12歳だというのに15歳と偽ってまで働きに出かけ、大人たちからは仕事泥棒と蔑まれていました。戦後のドイツは仕事が豊富ではなく、貧しい人に溢れていたのです。 しかしエドモンドは病の父、姉、そして戦時中に兵隊であったが故に身を隠す生活を送っている兄の三人を養う必要に迫られていたのです。 父はいつももう死んでしまいたいと零し、兄は自分の不甲斐なさやはっきりとしない態度に不安定になっています。 ある日、エドモンドは昔お世話になっていた教

          「ドイツ零年」

          「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」

          病に侵された母と、兄の三人で暮らす少年イングマル。母をゆっくり療養させるためにイングマルは田舎のおじさんの家に預けられます。そこでの少年の暮らしと成長、そして悲しみや淋しさを紛らわせてくれるユーモラスな出逢いの数々の物語。 イングマルは淋しいだなんて一言も言いませんが、代わりに“僕はあの人よりずっとましだ“と一人語りをし、誰かと比べることで自分はずっとましなのだからと言い聞かせます。 その誰かは人だけではなくて、スプートニクに乗せられて宇宙へ飛ばされたライカ犬のことに及び

          「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」

          「リンダリンダリンダ」

          高校の文化祭がもうすぐ始まる。 軽音学部の恵(けい)は、ちょっとした意地の張り合いで仲間の一人と不安定な関係になってしまいます。そのことでやむなく、ボーカルをいちから探すことになります。 なかなか適当に声をかけたのは、韓国からの留学生のソン。人前で歌うなんて無理だと言っていたソンですが、ライブで披露するTHE BLUE HEART の曲を聴くうちにやってみようという気持ちになってゆきます。 ライブまでの三日間で曲を仕上げなくてはならず懸命に練習をします。その中で共鳴し合い、

          「リンダリンダリンダ」

          「万引き家族」

          下町に暮らす五人家族。おばあちゃんの年金と夫婦のお給料、そして、父と息子の万引きによって生計を立てていた。ある日の夕暮れ、家の外に寒い中佇んでいる少女を見つけ、見かねて家へ連れて帰る父・治。六人になった家族の貧しいながらも温かさのある物語。 久しぶり二度目の「万引き家族」です。 この映画、本当に役者さんの演技がそれぞれ素晴らしいのですが、なかでもハッとさせられたのは海岸のシーンの樹木希林さん。 砂浜になげだした脚に砂をかけるのですが、その表情、仕草から語られるものに、も

          「万引き家族」

          「パンズ・ラビリンス」

          内戦後のスペインは、独裁政権とそれに反抗するレジスタンスの戦闘がまだ続いていました。そんな時代、物語が大好きな少女オフェーリアは、母の再婚相手のビダル大尉の拠点である深い森にある要塞に母と引っ越します。彼女は、きな臭く残酷な現実と、不思議なおとぎ話の世界が混在した世界を生きていました。彼女には、妖精の姿が見えていたのです。 妖精の存在や、迷宮の番人パン、そして彼らから告げられるオフェーリアは地下王国の姫であるということ。これが、現実のことなのか、それとも辛い現実から逃避する

          「パンズ・ラビリンス」

          「ほえる犬は噛まない」

          とある大きな団地に住むユンジュは大学教授になるためにはどうしたらいいのか悩んでいました。団地ではよく吠える犬がいましたが、ユンジュの気に障ったらしく彼は犬を殺そうとします。 一方、団地の管理事務所で働く女性ヒョンナム。最近、犬の失踪事件があり迷子犬のポスター貼りや経理で忙しくしていました。 団地を舞台にしたブラックジョークに満ちた物語が始まります。 映画の中には、鬱憤がたまってそれを他人の迷惑を考えずに晴らしてゆく人がたびたび描かれています。 酔っ払って車のサイドミラーを

          「ほえる犬は噛まない」