「万引き家族」
下町に暮らす五人家族。おばあちゃんの年金と夫婦のお給料、そして、父と息子の万引きによって生計を立てていた。ある日の夕暮れ、家の外に寒い中佇んでいる少女を見つけ、見かねて家へ連れて帰る父・治。六人になった家族の貧しいながらも温かさのある物語。
久しぶり二度目の「万引き家族」です。
この映画、本当に役者さんの演技がそれぞれ素晴らしいのですが、なかでもハッとさせられたのは海岸のシーンの樹木希林さん。
砂浜になげだした脚に砂をかけるのですが、その表情、仕草から語られるものに、もう胸がぎゅうっとなります。
そして、
息子の祥太が読んでいる国語の教科書の「スイミー」。どうしてこの作品なのかなと考えつつ観ていました。祥太は“どうして大きな魚をやっつけるの?“と治に問いかけます。仲間の魚を食べたからだろと治は言うのですが、ここがこの映画にテーマにも通ずる部分なのだと思います。
気になったので図書館で「スイミー」を読んできました。
大きな魚は生きるために小さな魚をたべているだけなのに、なぜ悪者なの?と祥太は言いたいんじゃないか、必死に生きているだけなのに、なぜ追い払われる存在なのか?と疑問に思ったのではないでしょうか。
絵本を読んで感じたのは、小さな魚の目線もこの映画には深く繋がっているのではということです。
スイミーは群れから一人ぼっちになりますが、懸命に泳いでいるうちに世界の素晴らしさを知ります。中でも、うなぎの感想が好きです。
祥太は、スイミー。あの家族からは離れ今は淋しいと思いますが、これから外の世界を知りその素晴らしさの中を泳いでゆくのだろうと、そう感じました。そして、大きい魚や小さい魚、両方の気持ちのわかる柔らかさを身につけてゆくんじゃないかなとそう思いました。
監督 是枝裕和
制作国 日本
日本公開 2018年
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?