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J1昇格プレーオフ決勝 12/2の日記

国立競技場に向かう小田急線の車内がめちゃくちゃ年末の雰囲気だった。
ダウンに身を包んだ乗客は皆どこか気だるけで、車窓から差し込む日差しがその顔を照らしている。

1か月前になんとなく観に行った東京ヴェルディvsジェフ千葉の試合で0-2から3-2という年イチあるかないかの大逆転勝利を目の当たりにしてしまい、そこからまんまとヴェルディのファンになってしまった。
そして今日、清水エスパルスとのJ1昇格を賭けたプレーオフの決勝が国立競技場で行われたのだ。

千葉戦奇跡の逆転の瞬間

応援したいという気持ちももちろんあるが、何より国立競技場の中に入ってみたいという好奇心がチケット購入のきっかけだ。
オリンピックが行われ嵐が『カイト』を歌ったあの新国立競技場の雰囲気を味わってみたいとずっと思っていたから絶好の機会だった。

千駄ヶ谷駅に着くともう人人人。年末の雰囲気も相まって初詣みたいだなと思った。
どうにか入場し、誘導に従ってひたすらエスカレーターで上る。私が通った通路はほとんどが鉄骨とコンクリート打ちっぱなしみたいな見た目で、オリンピックの会場としての特別感は特に感じられなかった。
それでも3階席のゲートをくぐると、開放感と座席の多さに圧倒された。

デカい
見上げた

上を見上げると本当に木材を使っているようで、通路の無機質さと比べるとかなり温かみが感じられた。ところどころに目立たないようにクソデカスピーカーが設置されているのもさりげなくてイイ。
ただ、座席がミチミチに詰められていたのがやや不便に感じた。
ホールやアリーナで10列ごととかで大体設けられている座席がなく人が通れる導線が一切なくて、左右に移動する場合には絶対「すいませ~ん」と知らない人とヒザを擦り合わせながらカニ歩きをしなければならなかった。

国立競技場の設備を満喫したところで試合開始。
5.3万人の応援は凄まじい。J2の試合の過去最高来場者数だったらしい。
お互い1点も取らせねぇよという気概を感じる堅実なプレーのまま45分が経ち、0-0で前半終了。
5.3万人の尿意も凄まじく、ハーフタイム中のトイレの列がとんでもない長さになっていた。

あっという間に後半が始まり、両チームともやや攻撃的なプレーに変わっていったように見えた。
清水のフリーキックで自陣ゴールエリアがわちゃわちゃしてるな~と思ったら審判の笛。よく見るとPKのアクションをしていた。
「「「「オォイ!!!!」」」」大量の松木安太郎があちこちで文句を言っていたが、どうやらハンドらしい。わちゃわちゃの中を見る審判すごいな~とか思いつつ、観客席にも緊張が走る。
清水のチアゴ・サンタナに落ち着いてPKを決められ、観客席は臨時の学年集会みたいな最悪の空気になる。
そこからもどんどん時間が過ぎていき、0-1のままアディショナルタイムに突入した。

千葉戦で見せてくれたあの奇跡をもう一度…!!
と思った後半45+5分、ヴェルディの染野が倒されPKを獲得。観客席はロードレース大会が雪で中止になったあの時に匹敵するぐらいの歓喜の声で埋め尽くされた。
だがまだ得点を決めたわけではない。もう時間がないので、おそらくこのPKがすべてを決めるだろうと全員が思った。決めればJ1昇格、外せばまた来年もJ2。。。
キッカーのプレッシャーを考えるとこっちまで胸が張り裂けそうだった。
一瞬の静寂。染野が蹴った球はゴール右隅に突き刺さった。
また奇跡を起こしてくれた!!!!サポーター全員が1つになった瞬間だった。

このままどうにか耐え切り、1-1で試合終了。年間順位によりヴェルディが16年振りのJ1昇格を手にした。
正直もっとアグレッシブなスーパーゴールが見たかったが、昇格できたんだからそれでいい。

オメデト

ホクホクのまま帰路に就く。なんだかんだ良い試合だった、観に行って良かったとチケットを思い切って買った自分を褒め称えた。
帰路の途中で工事現場のオジさん警備員たちから「あの頃はラモスが…」という会話が聞こえてきた。Jリーグ初期を知るオジたちも喜んでいるようでこちらも嬉しくなった。

たまたま観に行ってたまたま好きになったヴェルディが凄いことをやってくれた。
来年以降もちょくちょく観に行こう、と心に決めたナイスゲームだった。

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