見出し画像

【2020年】メディアビジネス仕事3つ、さくっとまとめ

こんにちは、川口です(@kawaguchiai

いわずもがなですが、2020年は新型コロナウイルスの影響で仕事も生活も激変し、メディアビジネスに関わる人間としても非常に衝撃的な1年でした。業界も打撃を受け、再編や撤退などの大きなニュースが相次ぎましたしね。

そんな2020年、メディアビジネスに従事する人間として、たいっへんに学びのあった「現場の仕事」を3つ、ポイントとともにまとめます!

スポンサードで雑誌をつくる

1社スポンサードで制作するワンテーママガジン『NewsPicks Brand Magazine』の第2弾を刊行しました。

パーソルホールディングスさんのスポンサードで、『人生100年時代の生き方・はたらき方』をテーマにまるごと1冊を制作。

クライアントの目的(=ブランディング)と雑誌という形式の相性がよく、登場する語り手が自由に発する言葉から、テーマに連動するメッセージが自然と表出されました。

それに関連して、最近読んだ本でとても学びが多くおもしろかった『ブランデッドエンターテイメント お金を払ってでも見たい広告』という本があります。

新しいブランディング手法であるブランデッドエンターテイメントの本質について以下のように書かれていました。

「伝えたいストーリーとブランドの交差点を見つけることが、ブランデッドエンターテイメントの最終的な目標である。それは必ずしも、コンテンツの中にブランドを物理的に存在させることではなく、むしろブランドの本質を作品に落とし込んで、人々に伝える方法を見つけることである。(略)コンテンツの芯に意味を織り込むのだ」

体裁などは違えど、この雑誌の仕事も本質はまさに同じだったと思いました。だからこそ?  なのか、「クライアントとの共創」感も存分にありました。

メディアビジネス系の仕事で大変なことのひとつが、クライアントとのやりとりですよね。期待値コントロールだったり、コンテンツの中身についてだったり、コンセンサスを取るのにも細かな調整力が必要です。

こうした「1冊雑誌をつくる」ような仕事を機に、長期的に深く付き合い、メディア側の得意なことや相性のいいところなどを探り合えたのは、とても貴重な経験となりました。

コメントの「感情」を分析する

あとは何といっても、新しい指標の開発に足を踏み入れたこと。これは前からずっとやりたいと思っていた目標のひとつだったので、大変に意義深い仕事となりました。

コメントの感情分析とは、ざっくりいうと、コメントの感情をグラフで可視化して、「型」で定義する、というもの。

(詳しくはこちらのnoteに書いたのでご一読ください)

とにかく、数字以外の要素でコンテンツの価値を可視化したかったのです。

数字主義は過当競争を生むだけ、大事なのはPVを追うことだけじゃないよ…と言われ続けても、そこに対する明らかな回答がないというのもひとつの事実なわけで…。その状況がちょっとでも変わればという思いもありました。

このコメントの感情分析の指標を実装し始めて、半年が経過しました。

新しいことなのでたくさん疑問もあるし、説明しづらいとか、この価値をそもそもクライアントに伝えるためにどうすれば…というようなリアルな声もあります。

フィードバックをもらいながらアップデート作業を行い、反省と課題を少しずつクリアして徐々に手応えも感じ始めています。

あとは何より、こういうのは「続けていくこと」がいちばん大事。数字には変えられないコンテンツの価値を、意義を、こうした形で模索し、発信し続けたいと思います。

7媒体集合。メディアビジネスのオンラインイベント

これは仕事ではないのですが、メディアビジネス系の仕事をする友人らと有志でオンラインイベントを実施しました。クローズドで、現場感満載のオフレコ話なども聞けたのがよかった。

9月だったので、コロナ禍でのメディアビジネス面での影響や変化についてがメインテーマとなりました。

在宅前提の営業やコンテンツ制作をどう工夫するか? 媒体とプラットフォームの関係をどう見るか? 広告傾向の変化、コロナ禍のPVバブルで得たものと失ったもの…などをお題に、ざっくばらんに対話。

なかでも、コロナ直前まではイベントやコミュニティなどの「オフライン」が隆盛を極めていましたが、それがまったくゼロとなった2020年、媒体は読者とのエンゲージメントをどのように高め、信頼関係を構築するか? といった話は、それぞれ独自の視点から語られてとても勉強になりました。

「このコロナ禍で、媒体として何ができるのか、どう生き残るかを考えた。自分の人生を内省するように、メディアも内省する時間となった」──というような意見が飛び交い、改めて、信頼性を根拠にメディアビジネスを構築せねばならぬと、襟を正す機会となりました。

番外編:2020年、個人的に注目したメディアビジネス

そんな私が今年、個人的にもっとも注目したメディアビジネスが「ランドリーボックス」さんの取り組みです。

ランドリーボックスは、女性の体や性をめぐる環境について情報発信するメディアコマース。

“あらゆる私に選択肢を”というビジョンを掲げ、生理やセクシャルウェルネス、フェムテックから更年期まで、さまざまな記事を掲載しています。

そのなかで、ユニ・チャーム株式会社のスポンサードで実現した「#がんばれシンクロフィット」という企画が秀逸でした。

シンクロフィットという生理用品は、いわゆるナプキンでもタンポンでもない第3の生理用品と言われています。

一部のファンたちに熱烈に支持されており、彼女らの「廃番にならないで」「シンクロフィットがないと困る」という声を起点に、商品を応援する人たちの思いをつなげる企画がサイト上やSNSを中心に展開されました。

愛用者のSNS投稿などがきっかけとなってドラッグストアでの取り扱いが増えるなどの影響もあったとか。これぞ応援消費。やっぱりユーザーの声が経済を動かすのだなと実感しました。

2021年のメディアビジネス、どんな新しい展開が?

2020年はメディアビジネスの領域においてさまざまな取り組みにチャレンジできました。引き続き2021年も、メディアビジネスの在り方について模索していきたいと思います。みなさま、引き続きよろしくお願い申し上げます。

嵐がいなくなる…と泣いている場合ではありません(35歳)。

来年の目標は『メディアのマネタイズ辞典』をテーマに不定期で発信すること。自分で言ってて震えますががんばります。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?