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カズオ・イシグロと音楽

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カズオ・イシグロ作品に登場する音楽について、修士課程にて研究したものをエッセイにしました。
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#評論

“死”に対抗する手段としての音楽、そして記憶。カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

“死”に対抗する手段としての音楽、そして記憶。カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

「記憶」は、ものを見るためのレンズであり、不確かな自己肯定であり、「死」に対する部分的な勝利である。

イシグロ文学の根源とされる「記憶」のテーマは、読み込むほどに多様な解釈を生む。

長編第6作「わたしを離さないで」は、カズオ・イシグロの名をさらに世界へ広める作品となった。2010年にはイギリスで映画化され、ハリウッドでも活躍する若手俳優らが起用された。日本でも2014年に蜷川幸雄演出により舞台

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旅する音楽家は“壁”を超えるーーカズオ・イシグロ『充たされざる者』

旅する音楽家は“壁”を超えるーーカズオ・イシグロ『充たされざる者』

ブッカー賞受賞後の意欲作『充たされざる者』

「日の名残り」でブッカー賞を受賞したイシグロが次作で挑戦したのは、混沌とした夢の世界を言語化することだった。

長編第4作「充たされざる者」は、主人公ライダーの視点で物語られるまま、時間が錯綜し、空間が歪み、悪夢のように展開されていく。

ピアニストのライダーは、リサイタル出演のため、東欧を思わせる小さな街を訪れる。“芸術的危機”に瀕(ひん)していると

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カズオ・イシグロが初の短編集に仕掛けた「カラクリ」とは

カズオ・イシグロが初の短編集に仕掛けた「カラクリ」とは

2017年のノーベル賞は、例年になく盛り上がったと言えるだろう。日本人としては特に、記憶に残る年となった。

長崎県出身の英国人作家カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞し、核兵器廃絶国際キャンペーン『ICAN(アイキャン)』がノーベル平和賞を受賞した。

特に文学賞の場合は、毎年最有力者として名前の挙がる村上春樹を抑え、日本出身のカズオ・イシグロが受賞したのは、我々日本人にとっても、世界中の文学

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