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「自分の薬をつくる/坂口恭平」読書連想文03


パステル画家、小説家、建てない建築家、総理大臣etc...。様々な肩書きをもつ坂口恭平さん。躁鬱病と長い間付き合ってきた彼は、2019年の秋、じぶんの薬を手に入れたことによって躁鬱病の薬を断つ。そして、2020年秋。ついに1年間の間、鬱になることなく日々を過ごすことができた!とツイッターで報告していた。


この本「自分の薬を作る」は、彼自身が自分のために調合した薬のこと。そして、様々な悩みをもつ人々が、(ワークショップという形で)坂口恭平さんの病院に来て、病状を話し、坂口さんと対話(診察)し、処方箋をもらうという一連の流れを記録したものである。医者(坂口さん)と患者の会話は、他のワークショップ参加者にも筒抜けになっていて、後半になればなるほど、患者はすでに自分の病状を自己解決している。最後の患者さんなんか、「君は問題ないね!」という坂口さんに「何か困ったことがあればいつでも連絡ください!」と、あべこべな状況が出来上がっている。


前回の読書連想文はこちらから「「山奥ニート」やってます。/石井あらた」


薬とは日課である

ここでいう薬とは、日課である。日々、私たちは歯を磨くとか、眠るとか、毎日やることがある。そして、病院にいって処方される薬というものも、基本的には毎日飲む。つまり「薬→毎日すること→日課」となるわけである。

薬を飲んだ先の自己というのは、居心地があってほしいと、ぼくは願う。ならば、どんな時に居心地がいいのか。何をすると居心地よくなれるのか。坂口さんは、指先を動かすことだと言う。坂口さんの日課は、いくつかあるが、例えばそれは物書き、料理、畑、絵を描くこと。などなど。


じぶんでやれるようになると、お金になる

朝起きると、毎日原稿用紙10枚。4000字をタイピングする。それを久子さんという方に送っているそうだ。絵を描くことも毎日している。彼のパステル画は、彼が欲しかったから描いたそうだ。Twitterでしかみたことないが、見事だ。会田誠さんも感心していて、その光景をタイムラインで眺めて幸せだった。彼は、欲しいものは買うんじゃなくて、自分で作る。そうすると、それを作る能力が身につくだけでなく、それを欲しい!という人が現れる。お金になる。

ある時まで坂口さんは料理を全然しなかったが、ちょっとしたきっかけで料理をするようになった。料理も、指先を動かすこと。生産活動。その料理の写真をとって、考えたことと一緒にA4の紙にまとめた。それは彼の日課だったが、いつのまにかそれは「COOK」という本になった。またお金になったらしい。現在は、畑を耕し、そこの猫にノラ・ジョーンズと名付け、畑での日々を「土になる」という連続エッセイに仕上げた。それがまた、面白かった。

日課とはアウトプットすることである

つまり日課とは、自分の指先を動かすことである。ここからは僕の話をする。ぼくは、書くことが好きだ。描くことも。料理も。でも、毎日やらない。だから、毎日やろうと思う。この本を読む前から、日課のことは考えていた。中学生の頃から、1日の計画をたてるのが好きだった。だから、その時の生活に戻ろうと思う。

本を読んでわかったのは、日課はアウトプットと一緒になると強いということ。坂口さんは毎日書いた原稿を久子さんに送り、絵を写真に撮ってギャラリストに送り、などしている。だから、ぼくも書いたものを人に送る。候補は2人もり。1人目のゆきちゃんさんは、会ったことないけど、noteを読んでくれて何度か編集を頼んでいる。もう1人の塩さんは、8年前くらいに会ったことが度々長電話をする。最近はご無沙汰だが、日課について理解がある。そして、2人ともぼくの書いた文章を比較的好きそうだ。

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アウトプットという流れをつくる

そう考えてみると、ぼくには、色々なアウトプット先がある。例えば、いい音楽を見つけたらぼくは牧大我に送る。spotifyのDiscover weeklyを聞き流して、いい曲が見つかるとそのリンクをコピーして、毎回「今日のお寿司です」とメッセージをつけて送る。すると、牧大我からは「今聴いてます。重軽綺麗系でイイですね〜」「バラバラになったガラスの破片みたいで綺麗です」とか「まことさんぽくない選曲。イケイケ系になりました?」とか返信がくる。そして、牧大我からも曲が送られてくる。

他にも、色々な人と、色々な情報交換をしている。現代詩はかよちゃん。きのこと器はアキラ。フードロスや狩猟はゆーすけ。文化人類学はtaeさん。食のことはミッキーくん。植物のことはレナさん。路上観察はともの。黄色のことはイエローさん。香りのことは和泉侃さん。茶の湯のことはTakaiさん。性愛の話は葵さん。身体操作・ダンスのことはろうゆくん。家具、生活動線のことは翠。ビジネスや絶滅危惧動物のことはまさる。

こんな風に、じぶんの興味のあるトピックについてはそれぞれ話す人がいる。そしてさらには最近、マネージャー的なひとが3人できた。また、「困ったらいつでも言ってね」と同級生に言ってもらったり、「お金に困ったら、全部僕がなんとかするから」と先輩のアーティストからメッセージももらった。だから、どんどん、自分のことを発信して、困ったりアイディアが欲しかったら、誰かに相談しようと思う。

ぼくにとって、興味のあることを、自分の中で終わらせずに、誰かにボールを投げると言うのは、薬かもしれない。滞らせずに、流れを作る。坂口さんは言っていた。「お金の流れ、ではなく、流れがお金になる」と。滞りなく流れ始めると、それがお金になる。そう考えると、ぼくは原稿を時々しか書いていないし、絵も時々。料理も、心臓コーラも時々。流れを産むこと。他の人は、これを「行動する」と言うのかもしれない。流れにのる。


自分にとっての流れを今一度確認するために、列挙してみます。

新しい音楽、変な音を見つけた → 牧大我

性愛、悩み相談 → 葵

文章・編集・アウトプット → ゆきちゃんさん

アイディア、無茶振り → 並木

カレー → Asukaさん

家具、空間 → 翠

黄色 → イエローさん

ダンス、身体操作 → ろうゆくん

食、料理、道具 → みっきーくん

古民家、木、パン耳 → インク中島さん

ADHD、服、蟹 → 文目さん

香、感性 → 和泉さん

小田原情報、茶の湯 → たかいさん

文化人類学 → taeさん

植物、路上観察 → Rena

ゴミ、路上観察、ピクニック → Tomono

ビジネス、漫画、料理、art → まさる

思想、お金周り、仕組み、無茶振り → 内山くん

手続き、デザイン、触覚 →岡崎 


今後、流れをもっと作りたい人たち。

死、釣り、1→0デザイン → ひなたくん

マネージャー → えんひろ、やさまくん、Igaさん

現代音楽、"PARK"、noise → Y.O

頼る → 別府くん、久野さん

詩、刺繍、メイク → kayo

秋田、鬼 → Shugo

髪 → Sayuriさん、つんちゃん

庭、植生 → gebeさん

長文 → 小河さん

音、ライフ → 瀬藤さん

映像、フィールドワーク → 遊さん

思想、路上 → 三茶 Kotaro

料理 → chitose屋さん

写真を送る → 未定

快楽、サウナ → S

建築、広告 → Tomoyaさん

路上 → Yukakoさん

作品批評 → ? 

ジュエリー → まぶねさん

宗教 → koichiさん

作品制作、植物 → ちほさん

飲食 → しばちゃん


話すと楽しい、気分がよくなる人

別府くん、みちのさん、德田さん、永井家、こもちゃん、しろーちゃん、なりささん





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