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「ゆる献立」で夕食づくりがラクになった

「毎日の夕食づくりが負担」という話はよく聞く。よく聞く、が、ここまで声高らかに「負担」と言われだしたのは、ここ5~6年くらいのことではないだろうか。それ以前は、夕食作りを担う人が、いくら「負担だ」と思っていても、手作り神話が強く、負担と言えない雰囲気があった。土井善晴さんの、「一汁一菜でよいという提案」という本が話題になった頃から、少しずつ、夕食作りに手をかけすぎていると、これでは負担なのが当たり前だと認識され、負担だと言っていい空気ができてきたように思う。

思い返せば10年前、初めての子どもを保育園に預け、いざ職場復帰となったとき、一番心に決めたことは「食事だけはしっかり作るぞ」だった。5時に起きてせっせとその日の夕食を仕込み、土日はつくりおき料理をつくった。時は流れて長女が生まれ、さらに次女を妊娠した。長男出産時から7歳分老化した上、つわりで体調不良。満員電車に乗って帰り、さらに保育園のお迎え、家に辿り着いたときは、もう微塵も体力が残ってなかった。そして悟った。これは無理だ。自分一人の力で、夕食づくりはできないと。

そこで導入したのが調理家電のホットクックだ。これは本当によかった。まだ体力のある朝のうちに材料をぶちこんでおけば、帰ってきたらカレーやシチューやらができている。ホットクックには本当に救われた。そして気づいた。自分の手をかけなくても、美味しくて栄養のある料理は手に入るのだと。

それに気づいた5年前から今までひたすら、楽でおいしく栄養のある夕食を手に入れる方法を試行錯誤している。調理家電は一通り持っている。夕食宅配も試した。調理済みの料理が入ったお弁当が毎日宅配されてくるタイプのものだ。ラクの極みであったが、1カ月もすると、家族から「飽きた」「ママの料理が食べたい」声が聞こえてきた。家族のQOLが下がっていると感じたので、辞めた。けれどもこの夕食宅配を試して、重大なことに気づいた。

そもそも、調理工程は家電によって、だいぶ省略化されている。それでもなお、夕食作りは負担に感じる。そして夕食宅配をしたことで、「買い物に行かなくていい」ことと、「献立を考えなくていい」ことが、こんなにもラクなのだと気がついたのだ。私の夕食づくりの負担は、この2つだった。

この場合、「一週間分の献立を決め、食材はまとめ買い」という方法が提案されることが多い。けれども、一週間分の献立を決めるのもしんどいし、貴重な週末に、騒ぐ幼児を連れて買い物に行くのもしんどい。ならばと考えたのが「ゆる献立」だ。

給食の献立表のようにガチガチに決めず、各曜日にどのジャンルのものを食べるかだけを決める。うちの場合は、
月:カレー類(シチューやハヤシライス含む)
火:和食
水:揚げ物
木:サボり
金:丼もの
という具合。土日は外食か買ってきたお惣菜、もしくは鍋やBBQなどみんなで楽しめるものを、家族で相談して決めている。

具体的に何を食べるかは、基本的に朝決める。そして、ウォーキングがてらその日の材料のみを買いに行く。そんなに品数買わないから、行き帰り合わせて30分くらいで済む。

思いつきで運用を始めた「ゆる献立」制度だけど、思った以上の効果があった。まず、献立の労力から開放された。膨大なメニューの中から「何をつくるか」を決めるのはものすごい労力だけれど、「カレー類」といったら「普通のカレー、スパイスカレー、ハヤシライス、シチュー」くらいしかない。その中から1つを決めるのは造作ない。「今日何食べたい?」と聞くと「おいしいもの~」くらいしか言わない家族も、「カレーシリーズのどれが食べたい」か聞けば、きちんと答えを返してくれる。

それから買い物。膨大なメモを持って車で行く「買い出し」はあまり好きではないけれど、ウォーキングのついでに行く買い物は楽しめるということに気づいた。おいしそうな惣菜や半調理品があれば、副菜として買うことも多い。これも、まとめ買いではやりづらかったことだ。

そして、家族が献立に文句を言わなくなった(そもそも作ってもらって、文句を言うなという話だが)。月曜はカレーって決まっているから、「またカレーか…」なんて言わないし、いまいち食指が伸びない和食でも、「明日は揚げ物!」と思えば乗り切れる、そうだ。

しばらくはこれで、運用していこうと思う。

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