女友達に自覚してないデブを紹介された時の話
朝から出張で忙しく毎日更新がついに途絶える危機に瀕している。
今東京から新幹線に飛び乗ったところだが緊急事態宣言の影響が続いているのか、それとも出張文化がなくなってきてしまっているかは定かではないが、東京駅はかつての雰囲気からは程遠くガラガラである。
新大阪まで時間があるのでチューハイ飲みながら、今日のところは飲み屋の雑談と思って取りあえず更新しておこうと思う。
27歳独身時代の話
もう14年前の独身時代になるが、大学時代まで仲良くしていた女友達からフリーなら彼氏を探している職場の先輩がいるので紹介したい、という少しワクワクするようなメールがあった。
今みたいに当たり前のようにマッチングアプリで男女が出会い、愛を育み、結婚に至る時代ではなく、 当時はmixiがあったものの
「ネットの向こうにいるのは怪しくてやばい人」
という認識で多くのネットユーザーがネット上の見ず知らずの他人に警戒感を持っていた。
僕が若い頃の出会いの場は、実際のリアル社会で関わりをもつか、友達繋がりの合コンか、友達の紹介くらいしかそういう機会がなかった。
女友達の「顔の素材が可愛い」は信じてはならない
女友達から届いたメールでは先輩のことを「顔の素材が可愛い」「性格は結構オチャメ、可愛らしい」とあった。
女友達が「顔が可愛い」ではなくて、「顔の素材が可愛い」っていうところが既に男には察しがつくところで、絶対可愛くないやろな、と思ったが女友達とは大学時代以来会っていなかったし、紹介頂く職場の先輩にも興味がないかと言ったらそうでもなかったので「三人で軽食する」という名目で会うことにした。
大観覧車がある大阪梅田のHEP前に15時に待ちあわせだったが、ギリギリになって女友達から「予定が入った!ごめん2人で会って!」と確信犯バレバレのメールが入る。
前日にどこでご飯食べようかと連絡した時に、心ここにあらずの当事者意識のかけらもない返信だったので、その予感は有る程度はしていた。
今の若者なら抵抗がないかもしれないが、当時は路上で見ず知らずの異性と
「初めまして」をすることは、それだけで「あ、こいつ出会い系を利用したな」って周囲にバレてしまうし、それはそれは恥ずかしい出会い方だった。
とは、言いながらも紹介を受けるのは久しぶりなのでどこかに楽しみにしている自分もいて、待ちあわせの20分前にしっかりスタンバって
「あの子やったらええな」
「あの子ちゃうのかなぁ」
なんて可愛いらしい子を見ては、
「そうであれ」と願いをかけて人間観察をしていた。
そうこうしているとふいに横から声をかけられた
「すみませーん、もしかしてゆづおくんですか?」
いや、もうね。
声がでかいわ。
僕の半径5mは確実に聞こえていた。
パッと振り向くと、、、
あぁね。
声の太さで分かったよ。
デブである。
女子同士の「最近太っちゃって〜マジ痩せなきゃ」「え〜そんなことないよ!全然気づかないよ〜」という馴れ合いの会話レベルですむデブではない。
斜め後ろからみても、髪の毛で顎のライン隠そうとも、一旦振り返ってみてもそこにはデブがいるのだ。
容姿を揶揄することを控えなければならない時代と分かっているがそれでも申し訳ないが匿名なので言わせてもらうがデブなのだ。
体型だけ例えて言うなら20代の痩せる前の柳原可奈子さんである。
※顔は柳原可奈子さんみたいに整ってない。
しかしだ。
僕が大声で「女友達のバカヤロー!」と叫んでもデブとこれから数時間過ごす状況は変わらない。不安そうに生きても楽しそうに生きてもこの先の数時間、一緒に2人で過ごすことに変わりはない。
だったら楽しく過ごした方がいい。
ある意味、自分の脳を洗脳して気持ちよく数時間後にさよならするように今を楽しもうと決意したのだ。
だけど一緒にいればいるほどイライラしてくるデブだった
このnoteの「ゆづお」ってのは僕の三人の子どもから一文字ずつとったハンドルネームであるが、本名の名前は4文字である。
ご存知のとおり4文字は呼び捨てしづらい。
たとえば僕が「まさのぶ」って名前なら
「まさ」や「まさ君」「まーくん」
って今までの人生で呼ばれてきたが、
「まさのぶくん」
とか言われると相当気持ち悪い。
初対面の人には名字に「さん」や「くん」付けで呼ばれるのが一般的だが、このデブは会った瞬間から「まさのぶくん」である。
更にうっとうしいことに僕にも自身の呼び名を指定してきた。たとえばデブの名前が「ウエムラアヤカ」という名前だったとしよう。自己紹介の時に
「ウエムラアヤカです。アヤっちって呼んでください。ウエウエでも良いよ」って。
・・・はぁ?
アヤっちもないよ。
だけど、ウエウエは絶対にないやろ。
28歳と27歳の呼び名として。
確かに、最初にあだ名で呼び合うことで後々に二人が発展的な関係になるのであれば改めて呼び名を変えなくてすんでスムーズになることは分かる。
そりゃ、向こうにも選ぶ権利はあるし一方的な選択権が僕にはないことは重々に分かってますよ。だけどその上で言わせてもらうけどこういった形で会うのは今日でおしまいであることは僕の中では確定している。
絶対に発展的な関係になることはない。
何より腹がたつのが自分がデブ体型であると肯定していないのだ
パッツンパッツンのミニに近い膝上丈のスカートを履いて変に気取った振る舞いをして、少し顎をひいて話をする。
いや、それでも全然二重顎ばれとるけど。
僕はデブなら全て悪いと言っているのではない。ここまでデブで紹介された相手に初見で会おうものなら、先手をとって
「はじめまして!デブです!」
くらいしてくれた方が場が和んだり、会話が弾んだりするものである。
唯一の二人をつなぐ女友達について話しになった時、「あの子な、ちょっと痩せすぎで不健康やから周りから心配されてる」って。
はぁ〜??
いやいやいや。
それはないよ、ウエウエ。
自分基準で語るからそうなるだけで、大学時代もそうやったし、数日前に写メが送られてきて確認したが普通体型で何も変わらないね、ってメールしたばかりだった。
「歩くの昔から遅いからごめん。」
「水分肌なので化粧崩れがしやすいからトイレに行ってくるね。」
なんかこのもう、自分に可愛らしい若々しいイメージをもってるわけ。
ウエウエは自分のことデブと自覚してる?って聞いてみたくて仕方ないけど、さすがにそれはあかんなと思って何度も踏みとどまる。
歩くのが遅いのはデブが息切れしやすいからやし、水分肌って初めて聞いたけど秋の涼しい時期なのに化粧落ちするのは汗っかきの体質になってるからとちゃうのって。
楽しく過ごすと決意したけど、自分のデブさを自覚していない身格好や発言がやたらと腹立ってきて、それとまぁ周りから彼女と思われるのもちょっと嫌やし、今いる喫茶店を出て、梅田でウロウロせずにさっさと夕飯食べて帰ろうと。
そう決意した。
彼女でもないし、その後の発展もないし、僕の方が年下で社会人歴も短いけどもう良い。ウエウエに奢ったる。
生まれも育ちも大阪って言うてたから無難やろ思って、高くも安くもないありきたりなお好み焼き屋に入った。
お好み焼き屋での出来事
店に入ったら体育会系の元気な店員さんである。いらっしゃいませの挨拶や、オーダー受けする時の声が響き渡って活気がある。
ウエウエがトイレに一目散に行ったから先に僕が注文した。なかなか戻ってこない。
また水分肌の化粧直しか。
今からお好み焼きで火が入って熱くなったらどうせ化粧崩れするやろ。今、化粧直しする必要あるんかいなって思ったらこの数時間のことが走馬灯のように蘇ってきてイライライライラしてきた。
もうこれで会うのも最後やしな。
あまりにも腹が立ってきて、
「自分を自覚してもっと気をつけなあかんとこあるよ」
って言うたろ思った。
本当にトイレから戻ってくるのが遅い。
イライライライラ。
僕のミックスお好み焼きの材料はテーブルの鉄板にきた。チューハイもきた。
ようやくトイレから出てきた。
う○こではなくて化粧直しをしていたアピールをしっかり聞かされた後に店員さんにメニュー表を指さしながら「これ」と注文。
よっしゃ、さぁ言うたろ思った瞬間に奇跡が起こった。
店員さん、大きな声で厨房に叫んだ。
「3番テーブルさん、ブタ追加!」
狭い店内に響き渡った。
あまりにも頭のイライラ要素と店員さんの声がリンクしてしまって、笑いたいけど笑ったら口にふくんだチューハイふきだしてしまう。だから取り急ぎ何とか口に入ったものだけでも飲み込もうとするけどうまく飲み込めなくて鼻の方に入ってしまって。
ウエウエは
「え?」
って顔で僕の悶絶する姿を冷めた顔でみていてそれも笑いをどんどん誘発する。
腹が痛い、苦しい。。。。
・・・楽しかったなぁ。
いやぁ、思い出した。
とりあえずアルコールが鼻に入ったらツーンと痛くて結構長引く。
皆様もお気をつけくださいという話でした。
さ、そろそろ新大阪に着く。
子どもたちに「りくろーおじさん」でも買って帰ったろうかな。
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