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懐かしい友人から「ところで、いまの趣味はなに?」と聞かれてエエ格好した結果、撃沈した話

久しぶりに東京に出張し、一週間の滞在中に不本意にも「冷や汗」をかく出来事があった。もうタイトルに書いた内容以上でも以下でもないのだが……

その前に…

昨日の東京駅は、リクルートスーツを着た学生で溢れていた。

女子学生は真っ黒の髪を一つに結んでいる。
男子学生は黒いバッグを持って、耳周りの髪の毛をスッキリさせて涼し気な顔でスマホを見ながら足早で歩いていた。

そうか、内定式か。

僕が大学4年生のときには全く意識もしていなかったけど、就活生は遠くから見てもすぐに分かるくらい「theフレッシャーズ」だ。

オッサンになって社会の酸いも甘いも噛み分けるようになると、汚れた瞳を通して映しだされる彼らは独特の光を放っており、パッと見ただけですぐに

「あ、就活生だ」

とわかってしまう。
そして個の光はやがて集団となり、まばゆいオーラとなってより強力に光り輝き、東京駅の中でも一際の存在感を示し始める。

そんな若さに満ちた東京駅で、懐かしさがこみ上げてきた。

そうだ。振り返ると僕もそうだった。
面接が終わった後に

「この会社の面接って、めっちゃ意地悪やったっすね〜」

みたいに、自然な感じで話しかけた他大学の子と仲良くなって、そのまま帰宅せずに一緒に夕ご飯を食べに行ったりして連絡先を交換した経験は、それはもう数え切れないくらいたくさんあった。 

社会人になると、継続的に連絡を取り続ける関係性はなかなかできない。

正確に言えば、深い友達でい続けることが本当に難しい。新しい友達ができても希薄なままの関係性で終わってしまうのだ。

なぜずっと友達を継続するのが難しいのか?

友達を続けるためには「高度な『付かず離れず』の距離感を保つ能力」を要するからである。

この「高度な『付かず離れず』の距離感を保つ能力」とは何か?

仕事やライフイベントが各々の時間の大半を占める中、お互いの好意レベルを40~60%でキープする能力である。これが本当に難しい。SNSの力を持ってしても難しい。 

自分のLINEを見てみると、学生時代に交換した数え切れないくらいの連絡先が死に絶えている。

社会人の関係は、お互いを強力につなぎ止めるコミュニティがないため学生の時と違ってどうしても希薄となってしまうのだ。

学生時代の友達と会ってきた

実はこの東京に滞在中、学生時代に少しだけ仲が良かった男友達と会ってきた。
先日LINEのアカウントが変わったと連絡を受けて、互いに近況をやりとりする中で成り行きでそういう流れになった、、、う〜ん、なってしまった笑

そうだな、最後に会ったのは15年前の彼の結婚式の二次会だ。

当日は旧友に会うだけのことなのに、朝からどことなく緊張した。
お互い「老けたね」「もうオッサンやな」なんて言い合っちゃうのかな、なんて想像しちゃって。

別に同性やし、お互い結婚もしているし、
「もうそんな外見なんて気にするなよ」
なんだろうけど、

いやいやいやいや、それは違う。

そこそこの仲という微妙な関係だからかもしれないが、全てをさらけ出せないというか、彼の脳裏においては過去の僕のイメージのままで留まっておきたいという心理的な「慣性の法則」が働いたのだ笑

集合時間よりも早く待ち合わせ場所に到着してしまった僕は、尋常ではないほどソワソワした。まず、待っている時のポーズが気になって仕方がない。

腕を組んでエラそうに突っ立っていたらダサいかな?
ポケットに手を突っ込んでたら格好つけていると思われるかな。
マスクして会ったら、食事でマスクを外すときにもう一回勇気がいるな。

「待っている時のポーズ」なんて人生で一度も気にした事がなかったのに、それが急に気になってきたのだ。

そうだ、スマホだな。
いかにも仕事してそうな雰囲気でスマホをイジっておいて、声をかけられたら顔を上げようか。

じゃ、最初の一言目はどうしようか。
「おっ、久しぶり!」が良いのか
「ういっすぅ!」が良いのか
「変わってないね!」が良いのか

ああでもないこうでもないと考えて、スマホを見る身体の角度に微調整を加えているうちに、友達が現れて不意打ちをくらってしまった。

「お、おぉぉ・・」

と、あれだけ様々なパターンを検討したのに、あまりにも普通の一言が口から出てしまった。

しかし、それよりも現れた彼の姿を見て唖然とした。

なんかクールビズを物ともせずに、誰が見てもわかる高級スーツで身をまとい、手にはブルガリのビジネスバッグ。髪型はツーブロックで七三分けでツヤのある毛先。先の尖った茶褐色の革靴を履いてコツコツ音を鳴らしながら歩く。

もう雰囲気は「絶対に仕事ができるマン」なのだ。

一方で僕はラフな格好で出張中。
彼とのコントラストも相まって、出鼻から僕の文句無しのダサさを余すところ無く露呈してしまった。

やべぇ、同類だったくせにこいつ絶対にこの瞬間に俺を見下したな。

「こんなクソ暑いのにスーツでくるなよ、、お前はホントに、、、ハハハ(汗)」

なんて冗談にもならない、笑いにもならないことをその場しのぎで言いながら、彼を雲の上の存在に感じてしまったのだろう。
あろうことか友人相手に極度に緊張してしまった。

ついには、受けたギャップをごまかすために我を忘れて喋りまくってしまう人と化し、次から次へと、誰も聞いていないような意味不明な近況の話をしまくったのだ。

そう、とんでもなく鼻息を荒くして。

もう、序盤に何を話したのかまでは覚えていないが、飲食店に入って高級スーツを彼が脱いだ頃には多少、昔の感覚を取り戻しコミュニケーションが成立するようになった。

「ところで、いまの趣味はなに?」「休みの日は何をしているの?」の質問の破壊力

学生時代と違って、今は相手の生活状況を全然知らない状況下において、限られた時間の中で相手の現況を知っていく必要がある。

そこでしばらく再会を懐かしんだ後に、端的な質問として「いまの趣味は何?」「休みの日は何をしてるの?」と聞かれたのである。 

この何気ない質問の破壊力はヤバい。

静まった空気の時に実は非常に汎用性が高い質問となるが、この距離感の相手に一体何を答えれば良いのか、皆目検討もつかない 。

過去の僕を知る間柄において「趣味を語ること」をあまり求められてこなかったせいか、すぐに答えが出てこない。

そしてある程度僕の素性を知っているものの「そこそこ」の仲の「同級生」にすぎない関係性がさらに回答を難しくしていた。

回答次第では「え、こいつショボ」と思われてしまう、そんな気がした。いや、多分その段階ですでにショボいと思われていた。

対等だった同級生に出鼻をくじかれたしな。
これ以上は舐められたくない。
この時は変なプライドがあった。

「投資」は趣味とは言えない。
「仕事が趣味」というとプライベートが充実していない残念な人間に思われるだろうし、野郎同士で「育児」なんて言っても何かな。

noteなんて言った日にゃ、次に「ID教えて」ってくるだろう。この関係性の旧友に斜に構えて綴る僕のエッセイを晒し続けるのは、裸を晒すくらい恥ずかしいことだ。   

そもそも大前提として「休みの日には何をしてるか」なんて、決まってコレをしてるというような定番の活動が「寝てること」くらいしか僕には存在しない。

「マラソンが趣味」
まあ、これが一番無難だけど彼は運動とは無縁の人間だ。

人は同じ話題を共有できる人に安心感を抱く性質がある。お互いが本当に好きなものや、本気で取り組んでいるものについて話すと、自然と意気投合する。

僕は、会話が盛り上がる方向に舵をきることにした。

さて、こいつになんて言おう。
結局正解がわからず、悩みに悩んだあげく次の瞬間、自分の口から想像もつかない趣味が飛び出した。

・・・・

ここまでで3500文字。長いですね。疲れますね。noteの記事は2000~3000文字が一番読んで頂けるとありました。
僕自身がダラダラ書いて、まとめる能力が致命的にない。楽しみに読んで頂いている方には大変申し訳ございません。
4記事連続となりますが、続きは「後編」記事とさせて頂きます。近日中にアップします。

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