自殺の名所

日本にはいくつか「自殺の名所」と呼ばれる場所がある。
有名どころで言えば、「富士の樹海」「華厳の滝」なんかは自殺の名所と聞けば誰でも思い浮かぶのではないか。
そんな称号を与えられて当人(場所に対して人というのもおかしいが)はいったいどう思っているのか。
不名誉?失礼?迷惑?
しかし自殺の名所と呼ばれる場所には確かな実績がある。
何人もの人間を、実際にその人たちの望む場所へ連れて行っているのだから。
高確率で死ぬことができる、ある種の信頼を得ているのだ。
人間が死ぬって実はすごく難しい。
筆者は現在躁鬱とパニック障害を患っているのだが、一度だけODをしたことがある。悲惨だった。胃が空になっても吐き続ける。
殺してくれと何度と思った。
死ぬのもすんなりいかないなんて、人間てなんてしぶとく厄介な生き物なのかとも思った。
話が逸れた。
まあそこまで死にたいと思ってもちょっとやそっとじゃ死ねない。
そんな時、同じ悩みを抱えていた先人達の成功実績が多数ある自殺の名所は、その人達にとっての救いの場所なのである。
そもそも自殺の名所という言葉は、ネガティブなイメージの「自殺」とポジティブなイメージの「名所」という言葉を組み合わせた、少し奇妙な言葉なのである。(筆者は学がないためもしそういった国語的技法なら申し訳ない)
この言葉はもしかしたら使う人、聞く人によって「名所」の意味が変わってくるのではないだろうか。
例えば自殺したい人からしてみれば、高確率で死ぬことができるというメリットのある場所ということで、ポジティブな「名所」になる。
逆に自殺に対してネガティブなイメージを持っている人からしてみれば、少し皮肉っぽいような、ネガティブな「名所」になると思う。

人によって捉え方が変わってくる、この言葉の意味は考えれば考えるほど面白い。

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