信頼のバトンを繋いで必要な支援を届ける-第14回だれ一人取り残さない防災研究会(ゲスト:認定NPO法人カタリバ 戸田寛明さん)
みなさんこんにちは。チャレコミ防災チームの瀬沼です。
毎月1回開催している防災勉強会ですが、先日全国の子どもたちの教育支援を行っている認定NPO法人カタリバの戸田寛明さんにお越しいただき、災害時の活動についてお話しいただきました。
災害が起こったときに子どもたちがどんな影響を受けるのか?何が見落とされているのか?といった問題提起はもちろん、地元のステークホルダーとどのように連携していくのか?行政だけではなく民間でできることはあるのかなど多岐にわたり意見交換を行いました。
今回は当日の様子のディスカッションで話された内容を一部お伝えしたいと思います。
なぜ教育のNPOが防災の取り組みを行うのか?
カタリバはもともと高校生の教育支援をきっかけに立ち上がったNPOです。2019年からは、災害時子ども支援「sonaeru」として発災時の子どもたちの支援にも取り組んでいます。
日々、中高生たちと接しているからこそ被災経験や災害後の環境によって、様々な課題を抱える子どもたちをしっかりサポートできる体制をつくっています。
現地のパートナーとどうやって連携する
カタリバの皆さんは普段は東京のオフィスにおり、平時はファンドレイズなど団体として必要な他の業務にあたっています。
しかし、災害が発生した際にいち早く現地入りし、状況を把握し必要な支援を届けるために、代表直下のチームとして、何か起こった際には現地に入り、災害の状況を見極め、現地での支援方針を決めています。
現地での支援を行うためには情報を集めることが非常に重要になってきます。
行政やボランティアセンター、社会福祉協議会などが中心となって立ち上がる情報共有会議に参加することはもちろん、「子どもたち」と普段接している教育委員会やなどとも連携して、子どもたちの置かれた状況の把握をしているとのことでした。
しかし、すべてのエリアでカタリバの活動が開始できるかというとそうではありません。
過去にはなかなか現地のステークホルダーと繋がることが遅れ、支援のスタートが遅れてしまうという状況も発生していたとのことでした。
助けを求められない人を助けるには「知っている人」を増やす
こうした支援活動が遅れる要因の一つが知らない人に助けを求めることへの抵抗感です。
2023年7月に秋田県の豪雨でも被害を受けているにもかかわらず、「うちくらいの被害では助けを求めてはいけない。もっと大変な人たちがいる。」など、なかなか外部に助けを求められない状況にも遭遇したそうです。
これは秋田での豪雨災害に関わらず全国の現場でも同様の現象が起きているとのことでした。
その背景には、知らない人に助けを求めることに対する恐怖心や申し訳なさもあるのではないかと思います。
そうした「助けてほしいけれど、本当に助けを求めていいの?」という気持ちを少なくするには、日常から地域内外で知っている人を増やしていくこと。そして、「知っている人が紹介してくれるなら信頼できるかも」という信頼のバトンを繋いでいくことの重要性を改めて感じました。
「知っている人たちが動く」ことも大きな力に
また、秋田ではいち早く民間の経営者たちが立ち上がり、自主的に災害支援の拠点を開設するなどの動きもあったそう。
この取り組みは普段からつながりのある地元経営者の方々が中心となりいち早く動いていったということで、知っているからこそすぐに動ける力強さも感じました。
災害時には行政や社会福祉協議会はただでさえ慣れない避難所の開設やボランティア対応などで手一杯になってしまうことも多いのが現状です。
そうした時に外の力を効果的に活用するために地域の中と外を繋ぐコーディネーターや中間支援組織の力がますます求められています。
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だれ一人取り残さない防災研究会では、災害が起こったときには日常からのつながりが重要になると考えています。
そのために、都市部の大企業や研究者の方々、地域のNPO、中間支援組織など立場の異なる方々が日常から学びあい、つながりをつくることで「もしも」の時にお互いのリソースを持ち寄れる関係性をつくること。
話を聞くだけでなく、参加するそれぞれの主体が自分たちの防災・災害支援に対しての取り組みを相談したり、仲間と組んで実際にやってみる機会にすることを目的に開催しています。
毎月第3月曜日に勉強会を開催していますので、ご関心のある方は以下のホームページをご覧いただき、研究会メンバーにお申し込みください。
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