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法律家資格を活かすためには知っておかなければならないこと。

はじめに

 法学部でも、法律の勉強に興味がある人でも、

「折角法学を勉強しているんだから」

と言うことで、法律家資格取得を目指す人が多いと思います。


 そして、折角法律家資格を取得したら、

「活用したい!」

と考えると思います。


 しかし、法律家資格を取得しようとしている受験生の大半、私が知る限りでは8割以上は資格取得のことしか考えていません。


 資格を取得した後の資格の活かし方や、経営を何も考えていない受験生が余りに多すぎます。


 法律家資格を活かす上で、最低限知っておかなければならない、見落としがちな部分を独断と偏見でご紹介します。



1、法律家

 定義的に特に重要ではないのですが、一応ここで法律家とは、

【行政書士、司法書士、弁護士などのような人達+受験生+有資格者】

としておきます。


 【有資格者】は他の資格ではあまり見かけないので少し説明します。

 有資格者は資格試験には合格しているも、登録などはせず活用は出来ない状態の人を指します。



2、資格を活用するための方法

 法律家の資格試験に合格するだけでは、法律家として資格を活かしてはいけません。

 その資格に対応した協会に登録をして初めて資格を活用して良いんです。


 そのため、登録していない合格者は【有資格者】と特別な呼び方をし、法律家を名乗ることも、法律家として仕事をすることも禁止されています。


 登録するためには

◎、事務所を構える

◎、登録料を支払う

◎、年会費を支払う

が必要になります。



3、基本的に就職できない

「法律家資格は就職の役に立たない」

と言われますが、少し違います。


 法律家の知識は役に立ちますが、

「法律家の立場で就職出来ない」

です。


 役に立たないとか、評価されないわけではなく、法律家として就職出来ないんです。

 つまり、法律家の身分で雇われてはいけないんですね。


 弁護士は弁護士として一般企業に就職してはいけないんです。

 行政書士や司法書士等もです。


 これはそれぞれの法律(弁護士法、行政書士法、司法書士法等)に規定されています。


 そのため、もし一般企業に就職しつつ、法律家としての仕事もしたい場合は、事務所を別に構え、自分の働いている企業からの委託・嘱託・顧問と言う形を取る必要があります。


 そもそも、資格を活かすための登録時点で事務所を構えている必要があるので、どちらにしても自分の事務所は構えておかないといけないですが。



4、資格だけで仕事は来ない

<知名度がない>

 世間的に弁護士は知名度がありますが、それ以外の行政書士、司法書士等はほぼ認知されていないと言っても過言ではありません。


「法律の勉強に興味がある!」

となる前の段階での貴方を思い出して下さい。


 行政書士や司法書士と言う存在を知っていましたか?

 更に、知っている貴方は、彼らが何をしてくれる人達か知っていましたか?


 恐らく8~9割以上の人は知らないと思います。

 世間の認知度はそんなものです。

 受験しようと意識している人くらいしか知らないのが現状です。


 ライバル達しかその存在を知らないわけですが、彼らは基本的に顧客になりません。

 その存在を知っている人達は顧客にならない状態なのですから、資格を持っているだけで仕事が入ってくるはずありませんよね。



<説明が難しい>

 行政書士は専門範囲が広すぎて説明が難しいです。

 司法書士はそもそも登記や法務局と言う存在が一般的にあまり知られていないので、根本から説明が難しいです。


 行政書士を例にしますが、貴方なら

「行政書士って何をしてくれる人なの?」

行政書士や法学を全く知らない人達に対してどう説明しますか?


 私もついこのように言ってしまうことがあるのですが、

「民法とか行政法を学んでいるから思い浮かぶようなトラブルに対してならほぼ何でも出来ちゃうよ!」

とか

「裁判以外のことならほぼ何でも大丈夫だよ」

とか。


 行政書士や法学を知っている人からすれば、これでも何となくわかると思います。

 しかし、普通の人からすると

「民法って何?行政法って何?」

「そもそも裁判以外のトラブルって何?」

ですから、こんな説明では何も説明になっていません。


 私自身にも言えることですが、全く知らない人に対して説明するなら、相手が

「相談してみたいかも」

と思えるような、具体的な例をあげないといけませんよね。


 例えば

<会社員に対して>

◎ 仕事中に起こした事故の責任について

◎ 取引先との契約行為について

◎ 倒産した場合の給料について

のようなことで力になれますね。



<主婦に対して>

◎ 訪問販売での購入について

◎ ネット上でのフリマのトラブルについて

◎ 補助金について

◎、相続や親族が死亡後の手続き

のようなことで力になれますね。



<独立を考えている人に対して>

◎ 開業のための手続きについて

◎ 法人設立の手続きについて

◎ 会社設立の手続きについて

のようなことで力になれますね。



<介護関係者に対して>

◎ 遺産相続について

◎ 遺言書について

◎ 認知症状のある人の契約トラブルについて

◎ 成年被後見人について

◎ 役所への届出や申請について

◎ 介護施設の新規開設について

のようなことで力になれます。



 行政書士はこのように言い出すとキリがないくらいに、法的なことが沢山できるんですよね。

 それを全部無関係なことまで、何でもかんでも説明しようとするからわけがわからない説明になるんですよね。


 それでは知名度も上がらないのは納得ですよね。

 でも、実はこのように相手の受容に合わせた個別な説明も難しいんですよね。


 そもそも相手がそこまで行政書士に興味を持っているわけではないので、ここまでの説明を聞いてくれないことがほとんどなので。


・・・難しい

と言いつつ、私は色々と顧客に結びつき得る形での認知度を広める施策をしているんですけどね!

 それは教えません!


 もっとも、これは私の性格・私の環境に適応させた私のための方法なので、教えたところで他の人に行えるとは思えませんが。



5、維持費がかなり高い

<資格維持にお金が掛かる>

 最初の方でも言いましたが、法律家資格を活かすためには登録が必要です。

 そして登録するためには事務所開設だけではなく、登録料と年会費が掛かります。


 この部分を見落としている受験生が余りに多いです。

 仕事をする以上、維持費は計算しておかないと商売云々以前の問題で、論外です。


 しかし、この部分を知らない、調べていない受験生が本当に多い。

 法律家は知識やスキルを売るので物的な出費は少ないのですが、それ以外の資格維持費が高額ですのでキチンと知っておきましょう!


 法律家の仕事は

【客が来ない=ゼロ】

ではなく

【客が来ない=マイナス】

なんですよ!


 一応目安の金額をご紹介しますが、都道府県によって維持費等に違いがあるので一概には言えませんので、貴方の都道府県の協会で調べて下さい!

 

<行政書士>

【登録料】約20万円

【登録手数料】約3万円

【免許税】約3万円

【会費】 月:約6000円(年:約7~8万円)



<司法書士>

【登録料】 約5万円

【登録手数料】約3万円

【免許税】約3万円

【会費】月:約2万円 (年:約14万円)



<社労士>

【登録料】約5万円

【登録手数料】約3万円

【免許税】約3万円

【会費】月:約8000円(年:約10万円)



<弁護士>

【登録料】3万~60万円

【登録手数料】約3万円

【免許税】約6万円

【会費】月:約4万~10万円(年:約50万~120万円)



6、ダブルライセンスは自分のクビを絞める

<ダブルライセンスを選択する心理>

 ここまで見てきたら分かるように、

【認知度が低いため】

仕事がありません。


 しかし、法律家受験生の多くはこのように考えます。

「仕事がないのは、この資格ではやれることが少ないからだ!」

と。


 資格取得のために長い間法律の勉強ばかりしているので、何故仕事が来ないかを見誤ってしまうんですね。


 認知度が低いなんて致命的な理由とは思わないので、能力不足と勘違いしてしまうんですね。


 すると別の法律家資格も取得しようとするんです。

 行政書士を持っているなら、登記についても行える司法書士を取ろうとするわけですね。


 このように複数の資格を活かそうとするのをダブルライセンスと呼んでいます。


 普通の感覚の貴方ならこれがいかに無駄で意味のない行為かわかりますよね?

 行政書士も、司法書士も世間からは

「何それ?何するの?」

程度なわけですから、両方持っていたところで何も変わりません。



<資格維持費が高額になる>

 前項でも見ましたが、法律家資格は維持費(会費)がかなり高額です。

 普通の国家資格はそもそも維持費が掛からない資格も沢山ありますので、その高額振りは分かりますよね。


 人気の行政書士と司法書士のダブルライセンスをした場合、年会費だけで20万円を超えます。


 そもそも仕事がなくて悩んだ結果のダブルライセンス。

 しかも、仕事が来ない原因を見誤っているので、ダブルライセンスにしても仕事は増えない。

 そこに来ての会費だけ増大


 この悪循環に陥る受験生が物凄く多いので、直ぐ廃業する事務所が多いんですね。


「行政書士や司法書士が喰ってはいけない仕事」

とネットで言われているのはこのような理由からです。



7、法律家資格の評価を下げている人達

<ネガティブ情報の発信>

 この記事に辿りついた貴方は既に見てきたかもしれませんが、

「行政書士なんて儲からない」

「行政書士なんて無くなる職業」

「行政書士なんて馬鹿でも受かる」

のようなネガティブな情報が数多く見られます。


 このような情報を発信しているのは恐らく元受験生や、行政書士として開業しすぐに廃業した人達だと思います。


 警察の業界も警察学校で挫折した人達が

「警察学校はブラック!いじめや差別が横行している酷い場所」

なんて実状も知らないくせに言い回っていますからね。


 警察のその部分に興味がある人はこちらを併せてお読みください。

【警察学校にイジメはない!?警察学校を卒業しないと気付けないこと】



<普通の感覚からズレテいる>

 行政書士資格について知らない人に一つ言っておくと、行政書士資格は合格率10%未満の国家資格です。

 どうですか?

 普通の感覚だと、難しい、難関資格だと思いませんか?

 それが普通の感覚です。


 しかし、ネガティブ情報を発信している人達の多くは

「行政書士なんて一般常識さえあれば誰でも受かる。」

と言います。


 本当にSNSで行政書士受験関係のアカウントは

「行政書士試験なんて簡単。馬鹿でも受かる」

のようなことを平気で言っている人達がとても多いんですからね。


 このような発言は、失敗等からの妬みもあると思いますが、普通の世間一般の感覚からしたらとてもズレテいますよね?


 私から言わせると、

「そのように世間の感覚から大きくズレテいるから行政書士として失敗しているのでは?」

としか思いませんが。



<顧客を見ていない>

「行政書士のレベルが低い」

と発言しているズレテいる人達は

「自分は優れている」

と言いたいのかもしれません。


 しかし、その発想は、自身の優秀さを言っているようで、実は顧客となり得る人達を見ていない証拠でもあります。


 行政書士試験を本当に簡単だと感じて発言している人は

【法律家の基準】

で物事を見ています。


 確かに法律家としては基礎知識に毛が生えた程度の知識だけで取得できる資格です。

 しかし、これの基準はあくまでも【法律家】としての基準です。


 行政書士の顧客は法律家ですか?

 違いますよね。

 法学を学んだことのない、世間一般の人達です。


 つまり根本的な部分から

【顧客の感覚を無視している】

と言うことなんです。


 その資格や仕事を評価する際に、その中から

【顧客の感覚を排除している】

わけですからとてもズレテいますよね?


 商売の上で、無意識的にでも顧客を無視していて成り立つはずがありませんよね?

 そんな意識、発想だから失敗するんですよね。



<他人のせいにしている>

 行政書士として事務所がすぐ廃業してしまう理由は、自身の感覚が顧客とズレ過ぎているとか、自身の経営能力不足です。


 それなのに

「行政書士は資格が弱い」

「需要がない」

と言う人がとても多いです。


 この発言をしている時点でやっていけるはずがありません。

 何故なら、この発想は行政書士として事業が成り立たない理由を

【資格や顧客のせいにしているから】

です。


 自身に原因があるのに、それを認めず、他人のせいにしているのですから商売として成り立つはずがありません。


 こんなの当たり前ですよね?

 それなのに法律家と言うだけで、この感覚が抜け落ちている人がとても多いんですね。



8、最後に

 何度も言ってきていますが、ここまで見れば法律家と呼ばれる人達の多くが事業に失敗するのは当然だと思いませんか?

 その貴方の感覚は正常だと思います。


 成功している法律家はその正常な感覚を持っているだけだと思います。


 感覚が普通で顧客をキチンと見ており、人の役に立つ莫大な知識を持っているわけですから、頼りたくもなりますよね?

 だから経営が成り立っているんですよね。


 なんてことはない、普通のことです。

 経営とはそういったものですよね。


 顧客を見ないで、無視し続けて成り立つほど甘くないですよね。

 もし法律家のこのような発想を初めて知った貴方は、今後このような発想や意見をしている法律家関係者を見たら笑ってあげてください。



【記事の紹介・拡散について】

 友人やネットの掲示板等に記事を紹介してくれる方がいらっしゃるようです。

 本記事は無断でも紹介可な記事です。


 スマホからだとURLをコピーするのが面倒だと思いますので、本記事のURLは

https://note.mu/chakufuta/n/nb81b077b66c1

ですので、このままコピーしてご使用下さい。

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