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建築も福祉も人もつながりながら広がっていくー現在計画中の児童福祉施設についてー

2021年最後の日に、noteを開設してみました。
植松千明建築事務所での取り組みを書いていこうと考えています。
みなさま、よろしくお願い致します。

はじめましての方は下記の記事をお読みいただけると嬉しいです!

その第一号の記事として
現在、設計中の児童福祉施設の紹介をしていきます。

※児童福祉施設とは?
児童福祉に関する事業を行う各種の施設のことを言います。児童福祉施設は、児童福祉法をはじめとする法令に基づいて事業を行っていきます。

1、児童福祉施設、現在の計画中の建物について

今回の計画は、千葉市の医療的ケア児・重症心身障害児から高齢者までの方が過ごせる共生型のデイサービス施設です。
障がい者・高齢者が20名、医療的ケア児・重症心身障がい者が5名ほど通所
できます。

また、看護・介護をする側の人々も楽しく働き・学び・癒される場をつくることも目的としています。

持続的な取り組みとなることを目指して、運営する法人の皆さまと話し合いを重ね、建築も人も福祉も『つながり広がっていく』ことが重要であると考えてこのコンセプトに決めました。

ちなみに医療的ケア児ってお聞きになったことがありますでしょうか?
私は恥ずかしながら知らず、その家族がおかれている状況についても全く知りませんでした。

※医療ケア児とは?
医療の進歩(NICUなど)により、命が救われた後も日常的に医療的ケアが必要な子供たちのことを言うそうです。まだまだ施設などが足りていないので、24時間体制で介助されているご家族も多くいると言います。なので現代社会の問題でもあるとも言えます。

2,建て主はどのような方?

現役看護師であり経営者のお2人

『皆が笑顔で輝く世界を福祉からつくりたい!』
そう考える現在、千葉市と東京の2拠点で訪問看護ステーションを経営しているお2人の経営者でもあり、現役看護師の中さん、鈴木さんです。

緊急課題

・千葉市内の医療的ケア児受け入れ施設が全国的に比較しても極めて少ない ・看護師不足等による医療崩壊の対策及び地域住民からの強い要望

建物ができたその後の計画

そんなお2人が経営する法人が建てる建物内では、デイサービスだけでなく、周辺住民が参加できるマルシェイベントが多く開催される予定のようです。
高齢になるとスーパーまで行くのが大変。宅配もいいけれど、近所で野菜などが買えると楽しそうですよね。

地域でとれた野菜などが販売されるマルシェなどが行われる


それだけでなく、施設を基点として数多くの事業展開をされていくそうです。こちらも設計段階で展開しやすいように盛り込んでいます。

・周辺の子供たちも受け入れられるように施設内での里子受け入れの推進
・地域で新しい関係性を考える共同墓地プロジェクト
・施設周辺の空き家を活用をしたアートインレジデンス
 音楽療法やアート療法を進めていくそうです!
・介護・看護者を対象としたホリスティック教育・研究
・共生型施設(グループホームなど)の展開

施設を基点とした事業展開


3,どのように考えて建物形がみえてきたのか

ミッションは、持続可能な福祉施設になること!

まちに開かれた持続可能な福祉施設になる

建物の建設自体も大変ですが、運営する方ももちろん大変です。
看護・介護者の皆さんがモチベーション高く、笑顔で働けることも結果として通所される皆様にとってもいいと考え計画がスタートしました。
どんなことを考えて現在の形になったのかを書いてみたいと思います。


まず最初に、地域の多様な人が多く集える場所をつくりたいと考えていたので大きなホールのような大空間をつくることが大切であると考え設計をしてみましたが、近所の人が集まりやすくなる仕組みが必要という結論に至りました。立ち寄るきっかけみたいなものがあると交流が生まれそうですよね。

次に考えたことは、地域住民の参加なんとなく寄りたくなる施設にするために、内部の様子がわかりやすいようにボリュームを分割してみました。
しかし、子供から高齢者まで、障がい者というくくりはあるけれど、障がいの程度もそれぞれであるためしっかりとエリア分けをすることは難しいことも分かりました。

実際にどのような方が来るかはその時にならないと分からないので、ある程度の自由度ができるように、余白としてのホール空間を取り込み、さまざまな方やイベントに対応できるにしてみました。
そのホールをエントランスホールと兼ねることにします。
また空間を分割しながらも枝分かれしてつながっている空間とすることで内部の様子が分かりやすくなるのではないかと考えました。

もっとまちに分かりやすく開かれていることを示し、参加しやすい場をつくりたいと考え、入口部分にカフェテラスを設けました。
人と人との交流が生まれやすくなる環境が予防医療としてのメンタルケアにつながり効果が高いと考えたからです。
これで、配置計画を決定しました。

計画平面図※一部変更になる場合があります


2階部分にカフェテラスを設ける予定です。
医療的ケア児の親子や平日休みの看護師さんが利用しやすいように工夫しています。

4,施設が完成するとみなさんも利用できます!

カフェやイベントスペースは一般の皆さまにも公開される予定です!
ぜひ完成後は遊びにきてください!

今後も計画の様子をnoteに記録できたらなと考えております。

2021年は、このプロジェクトの関係者の皆さまに出会えたこと、携われたことが大変嬉しく、日々看護や福祉の領域から多くのことを私たちも学ばせていただいております。

また、看護師の方の予防医療を中心とした新しい働き方に私たちの生活をより豊かにしてくれるヒントがたくさん詰まっているのではと感じております。

年をとることは誰にでも来ることですし
いつ自分が障がい者になるか、また障がい者の親になるか、大切な人がそのような状況になるかは分かりません。

どのような状況になったとしても
安心して生きていける社会になるように
私たちも全力で建築側からサポートしていきたいと考えております。

2022年は、2021年よりダイバーシティとインクルーシブの考えを伝えながら、より豊かな建築が多くできるように全力で取り組んでいきたいと考えております。

ご興味がある方は一緒に活動ができると嬉しいです。
また、応援をぜひよろしくお願い致します!

植松千明建築事務所 一級建築士事務所
代表 植松千明

※紹介している計画は一部変更になる場合があります。
https://npo-ihan.net/established_dayservice/?fbclid=IwAR1onoJWpJy8kRKrecxDIkJYvfhwjDgJepJiebzSnzP7ez5gQmcf57RVEWY


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