子どものことばを育てる身近な遊び
ことばの力は、豊かな思考力にも直結する。子どものことばを伸ばしてあげたい、育てたいと思う親は多いのではないだろうか。
この前、娘と2人で出かけた時にふいに娘が言った。
「あのね、わたし、えいがとテレビのちがいわかるよー!」
なあに?と聞くと、得意げに娘が答える。
「1つめ、くらい!」
「2つめ、こわい!」
「3つめ、ながい!」
ほう!と私は感心した。4歳ながらちゃんと2つの違いを捉え(正しいかどうかはさておき)、ポイントを3つに絞って簡潔に伝えている。しかも全て3文字の形容詞で韻を踏み、リズム感も素晴らしい。…はい、親バカです。
しかしこれは、ものごとの違いをことばで伝える力のトレーニングにぴったりだと思った。
試しに、帰り道の自転車で「ねえねえ、だいこんとニンジンの違いを3つ言える?」と聞いてみた。すると、
「1つめは、だいこんが白くて、ニンジンはオレンジ」
「2つめはー、だいこんのほうが重たい」
「3つめは、うーん、えーーっとね………わかんない!」
今度は3つ出てこなかったので「そうだねー、味も違うかな?」と言うと「あー、そっかー!」と納得した様子。ついでに「1つめは色、2つめは重さ、3つ目は味、だね!」とまとめた。
帰宅後その話をすると、夫が「じゃあ、パパとママで同じところ3つある?」と娘に質問。少し考えた後、娘の答えは「おとな!」「わたしのことがすき!」「2人とも天才じゃない!」…だった。笑
こんな風に「〇〇と△△の違いを3つ言える?」「▲▲と××の同じところは?」というクイズは、子どものことばと思考力を鍛えるのに良さそうだ。誰でもどこでも簡単にできて、道具も何も使わないし、タダだし。
うちでは、よく「しりとり」もやっている。娘がしりとりで遊べる年齢になった時は、ちょっと感動した。それだけことばの引き出し、ボキャブラリーが育ったということだから。
しりとりも何も使わないし、どこでもタダでできる。でも結構アタマを使っておもしろい。親としても、思いがけないことばが飛び出したりするので、これがまた発見があっておもしろい。
うちの娘は「る」の時には必ず「ルンバ」と言う。んー、イマドキ。
「あ」は「あいしてる」が出てくるし、「ぱ」はパンダでもパンツでもパイナップルでもなく、「パセリ」が飛び出すおしゃれなチョイス(主観)。「め」は「めんどくさい」が出てくるのは、えっと、私のせいだろうか。
しりとりなんて言わずと知れた身近な遊びだけれど、こんな遊びを100%楽しめる年齢のうちに一緒に楽しんでおきたい。自分の中にあることばを集めて取り出す作業は、きっとことばの力につながる気がする。
ほかに私と娘がよくやっているのは、即興ものがたり。これはそのまんま、適当にその場で“それっぽい”ストーリーをつくるということ。たいてい、寝る前のお布団で繰り広げられる。なぜかというと、絵本を読むのがめんどくさい(眠い)ために編み出された技だからだ。
「あるところに、アンパンマンと○○ちゃんとキュアスターがいました。今日はよく晴れているので、みんなで公園に行くことにしましたが…」という具合に、登場人物も話の展開もなんでもアリ。すでに世のママ・パパたちは日頃からやっているかもしれない。
私だけではなく、娘にも話をつくってもらう。というより、娘からやりたがることが多い。話がよく分からなくても意味が破綻していても、ほほえましく聞いていられる。しあわせ。これがまただんだん上手になってくるので、成長を感じられるのだ。
ストーリーをつくる、という遊びはEテレ「みいつけた!」の「おててえほん」のコーナーでもやっている。子どもの創造力を伸ばすのにぴったりだし、話を組み立てる力はもちろん、ことばのトレーニングにもなると思う。
たとえば「そして」「すると」「ところが」のような、接続詞の使い方。複数の文をつなぐ時にどんなことばを選べばいいのか、自然と学ぶことができる。「コンコンコン」「えーんえーん」「パカッ」のようなオノマトペ、表現の幅も広がる。――と、個人的には思っている。
…とまぁいくつか紹介してみたけれど、やっぱり、いつでも・どこでも・何も使わず・タダで・簡単にできるのが良いところ。我が家はあまり知育に力を入れてはいないものの、なにげない遊びの中で成長につながるのなら嬉しい。
そして、こんな身近な遊びをする時にも「ことばを育てる」という観点を持っておくと、親が補足を加えたり「こんなことも言えるね」と幅を広げるサポートができると思う。
月齢やその子の個性に合わせて、楽しみながらことばを伸ばしてあげられるといいな。もちろん、うちの娘も。
それでは、また明日。
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