「いい文章」とは、目的を果たしている文章だと思う
いい文章とは、どんな文章?
この問いに対する答えは、一つではないと思う。なぜなら「いい」とは、誰かの評価・判断によるものだから。文章は0か1かの世界じゃないし、等しくいい/悪いを決めることはできない。
とはいえ、私も編集に長く携わる一人。「いい文章かどうかって難しいよね〜」と言うわけにもいかない。
自分なりに一つの答えを提示するとしたら、いい文章とは「目的を果たしている文章」だと思う。
◎メールなら、伝えるべき内容がきちんと相手に伝わっているか。
◎レポートなら、概要から結論に至るまで正しくまとめられ、読む人にも理解できるか。
◎企画書なら、企画自体の魅力が伝わり、前向きに採用を検討してもらえるか。
◎セールスコピーなら、商品やサービスのよさを最大限引き出し、売上につながるか。
◎誰かのために書く手紙なら、伝えたいことを伝え、相手の心に届けられるか。
◎小説やエッセイなら、自分の個性や世界観を表現し、読者の感情を動かせるか。
――こんな感じではないだろうか。
細かい話はもっとあるけれど、逆に言えば、それだけ一般的な「いい文章」は存在しないということ。
私は会社でも原稿に赤入れ(添削・修正)をするし、最近では個人でも「文章を添削・アドバイスして欲しい」という依頼が増えてきた。
その時にまず考えるのは、やはり「目的は何か?」ということである。目的地がなければナビのしようがない。そして「相手・読者は誰か?」という点もあわせて確認する。
こういう要素が揃ってはじめて、その文章が「いい文章」なのかという判断ができると思うのだ。
(本当は、判断なんておこがましいのだけれど)
そして上の例を見れば分かる通り、いい文章かどうかに「文章力」が直結するわけではない。多少ハチャメチャな文章でも伝わるものは伝わるし、文章力があれば商品やサービスが売れるというわけでもない。
だから、
いい文章を書くには、文章力をつけなければ!
文章力がないから、いい文章が書けない!
という人は、ちょっとだけ誤解があるかもしれない。
もちろん、文章力があるに越したことはない。
豊かな言葉の引き出しがあれば、幅広い表現ができるようになるし、個性も出せる。
文章構成や話の展開を練ることができれば、話の説得力が増すし、読み手の感情を揺さぶることもできる。
読みやすい文章であれば、中身がきちんと伝わり、最後まで読んでもらいやすくなる。
つまり、目的を果たせる可能性が高くなるのだ。
でもやっぱりそれはあくまで枝葉の部分で、大事なのは文章の幹。いい文章を書くには、誰にどんなことをもたらすのが目的なのかを、しっかり考えることが大切だと思う。
ちなみに、たとえばnoteを書いていて「目的なんてない」という人もいるかもしれない。そんな時は、自分が満たされているかを考えてみてほしい。
文章は必ずしも他者のために書くものではない。目的らしい目的もなく書いている…と言いつつ、それは多くの場合、自分のためではないだろうか。
だから、文章を書いていて自分が満たされていればOK。それはきっと、十分に目的を果たせているはず。
その中で「もっと多くの人に読んでもらいたい」「もっと表現豊かな文章を書きたい」という“欲”が出てきたら、今度はその目的に照準を合わせて書いていけばいいのかな、と私は思う。
それでは、また明日。
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