【SS】愛は失せども友はあり
「なんか、思っていたのと違ったの」
そんな一言で失われる関係とはなんて儚い。
俺は小石を蹴り上げた。
いつもそうだ。
自分でこんなことを言うのもおかしいが、容姿は良いほうであると思う。
けれど、大体の場合において「何か違う」というその言葉で終わるのだ。
もちろん人生において恋愛が全てではない。
だけど、俺だって人並みに恋愛をしたいしゆくゆくは家庭を持ちたい。
こうもフラれることが続くと
自分に欠点があるのではないかと思えてきて落ち込みもする。
「お前はいつもそーだよなぁ!!」
そういって俺の肩を叩きながら笑う友人が恨めしい。
他人事だと思って・・・いや、
他人の不幸だと思って面白がってやがる。
俺のことを仲間内で残念王子なんて呼び始めたのも確かコイツだ。
「人の不幸を楽しがるな、あほ」
「いやいや、お前は確かに残念だけどさぁ・・・
おもしれーしいいやつだからさ!
いずれ素のお前を好きになってくれる子が現れるって!」
「うるせー」
「ま、今日はあいつらも誘って飲みでもいこーや」
指で示された方にはいつもつるむ仲間が数名。
なんだろうな、落ち込んでるのがアホらしくなってくる。
俺のことを本当に好きになってくれて、
なんか違うなんて言わなくて。
そんな女の子がいつ現れてくれるのかは分からないけど。
素の俺を信頼してくれる仲間が言うのだから間違いないはずだ。
とりあえず今日は落ち込むのは終わりにして、
この仲間たちと盛り上がろうではないか。
幸いにもよい友人たちに恵まれているということが分かった。
俺は今充分に幸せ者だ。
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